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「お前、そんな奴じゃねぇじゃん!何で……..ッ!何でこんな酷いこと出来るんだよ……..!?」


クラスで一番人気のあの子は俺の幼馴染の楓。頭が良くて、運動も出来て、困ってる人に損得関係なく手を差し伸べるような優しい奴。俺のことも「ちーちゃん!」とずっと慕ってくれて、俺が喧嘩することや東卍に入ることを咎めることはなかった。ただ、怪我した時には真っ先に気付いてくれて、文句を言いながらも手当をしてくれた面倒見のいい姉貴みたいな奴だった。

そして、今俺の腕の中で泣いているこの女は、人によって態度を変える。裏表が激しい代わりに隠すのが下手だから皆コイツを嫌っている。

何か揉めた時に圧倒的有利なのは楓だ。

それなのに、どうしてこんなことをしたのか。手に持っている物からおかしい。ロープ。どう考えても絞め殺す気だったのだろう。その証拠に、女の首には縄の跡が付いている。もし俺が通りかからなかったら、と思うとゾッとする。


「なぁ、何か言えよ!!目を覚ませって!!俺、お前が人を殺すとこなんて見たくな……..」

「松野。」


この声は本当に楓の声なのか。初めて聞いた、楓のひどく冷たい声は俺の背筋を凍らせた。

彼女が、俺のことを苗字で呼んだのもこれが初めてだった。


「ま、松野って……..」

「見たくないなら見なくていい。松野が愛した女は、こういう女。早く見切りをつけるんだな。」










𝙴𝙽𝙳


補足】

人は、髪型や服装が似ていると「本人なんだ」と錯覚することがあります。

本当の楓は千冬の腕の中で泣いている女です。彼女は、今までの嫌な自分を、嫌いな楓と共にロープで絞め殺し、新しい人生を楓として歩むつもりだったのでしょう。

見切りをつけろ。つまり本当の楓でないことにいち早く気付くであろう幼馴染は、邪魔だから早く消えろということですね。

千冬は、嫌われ者の彼女を「楓」と呼ぶことはありませんでした。幼馴染の勘でしょうか。心のどこかで彼女でないことを見抜いていたのかもしれません。

ドラマティック・アイロニー

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