テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ベリアン・クライアン
ぷち
276
『春の桜に恋焦がれ』
〜その姿に…恋に落ちた〜
第八舞『涙泪恋愛』
『主様が居ない…?』
『はい…きっと、元の世界に帰られたんだと…。』
『……私のせい、です…。』
『ベリアンさん…?』
『何かあったんですか?』
食堂に集まる執事達。昨日のことは年長者しか知らない。だが、主様のベリアンに対する気持ちを知っている執事と…ベリアンの主様に対する気持ちを知ってる執事には恐らく察しがついている。
『主様に…話したんすよね。俺達悪魔執事が歳を取らないこと。』
『…昨日ベリアンは全て打ち明けようとしたんだ。でも、主様に聞かれてしまってね…。』
『面と向かって話せば…受け入れてくれるかと思ってたのですが…やはり、難しいですね…。』
『話さない方が良かったんじゃないですか
?』
『っ、ラムリ…』
『だってそうでしょ、ローズ君。僕は主様のいない世界で生きていたくない。逆も同じで主様だって……。』
『ラムリ。』
『ボス…。』
『取り乱してるのも無理はねぇよ。俺達は4年以上一緒にいて…秘密を隠してた訳だ。それも些細なことじゃない。俺たちの関係に関わる、大切なことを。ずっと一緒にいるって言う約束をしたのに…自分だけ歳をとって俺達だけ出会った時のままなんて……残酷だよな。
嫌でも思い知らされるんだからな。』
私はみんなとは違うんだ。って。
『……。』
ボスキの言葉は…執事のみんなに重く伸し掛る。
『…ベリアンさん。主様とベリアンさんは…両思いなんですよ。』
『え……?』
『やっぱり、気づいてなかったんですね。』
フルーレ君が私を見つめて話し出す。
『きっと、お互いに葛藤してたんですよね。
気付かれちゃダメだって。この関係が壊れてしまうかもって。怖かったんですよね。二人とも。』
『っ…私は…主様の執事です。
こんな気持ちを抱いてしまうのは悪い事だと…だから、伝える気などありませんでした。でも、主様と過ごすうちにこの気持ちは薄れていきました。伝えたい。伝えなきゃ。と…。
臆病なのは私でしたね…。』
『……主様を好きという気持ちって、悪い事なの?』
『ベレン…?』
『俺はまだ主様と過ごして2年だけど…主様としてもそうだし、執事としても大切で、大好きだよ。この気持ちを悪だと決めてしまうのは俺は嫌だな。ベリアン。自分の気持ちに嘘をついたら、主様の気持ちも否定することになるよ。』
『それは……。』
『ベリアンなら大丈夫。自分の気持ち…主様に伝えてみなよ。指輪越しに。』
『私の、気持ち……?』
私は主様の部屋に行きテーブルに置いてある指輪に声をかける。
『……。』
私は口を開く。
『主様。聞こえていますか?…私の顔も見たくないのは分かります。だから、そのまま聞いていてください。』
『……。』
『ずっと黙っていて申し訳ございません…。
私達悪魔執事は悪魔と契約したその代償として歳を取らない身体になりました。そして、この魔道服を着ている限り、この身体は朽ちることはありません。…ずっと話そうとしていました。でも…貴方を悲しませるのが怖かった。
拒絶されるのを…恐れたのです。』
『……。』
『現実を受け入れたくないのは私の方です。伝えてしまえば…。壊れてしまうと思ったのです。主様との生活も…主様との思い出も、そして……私のこの気持ちも。』
『…え――?』
『主様。私は……貴方のことが好きなのです。初めてお会いしたあの日から……。』
『……!』
(そんな、ベリアンが私のことを…?)
『今伝えなければ、もう二度と貴方に伝えられないと思ったんです。主様の返事は結構です。これは私の一方的な想い。私のことを許してくれるまで、答えは聞きません。許してくれなくても構いません。私の気持ちには嘘をつきたくなかったので……。』
『っ……。』
私は口をつむぐ。そして、口を開く。
『ベリアン、私――。』
と、その時――。
ヴーヴー!!
『天使の警報…!主様、申し訳ございません。失礼致します…。』
『っ、待って、ベリアン――!』
『天使の警報…。っ、行かなきゃ。』
私の気持ちを伝えなきゃ。
私ももう自分の気持ちに正直になる。
私は指輪をはめる。
次回
最終舞 「告好白愛」
コメント
1件
ああ…読んでて胸がぎゅっとなりました。ベリアン、ずっと隠してた秘密をやっと打ち明けたんですね。「拒絶されるのが怖かった」って言葉、すごく刺さりました。フルーレの「両思いだよ」って気づかせる台詞も良かったし、ベレンの「好きって気持ちを悪だと思いたくない」って言うのも優しくて…。最後、指輪をはめて主人が自分の気持ちを伝えようとしたところで警報、次回が最終回なんですね。どうか二人に幸あれ。