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──あれから数ヶ月、秋
シオンとカラスバの二人の関係は最初の頃とはかなり変わり対等に話せるような存在になっていた
「レックウザ!!メガシンカ!!」
「ペンドラー!オレらの絆見せつけたり!!」
2人がキーストーンに触り、2体のポケモンが一気にメガシンカする
そして2人の熱いバトルがサビ組のバトルコートで繰り広げられた
「今日もカラスバさんの勝ちか〜!悔しー!」
「ええ試合やったで。シオン」
そう笑いながらシオン達を称えるカラスバ
あれからシオンはポケモンバトルに興味を持つようになったがZAロワイヤルへの参加は〖実家〗が許してくれないどの理由でカラスバからたまに練習相手としてポケモンバトルを頼まれることがあった
2人の実力は少し差はあるものの、シオンもここ数ヶ月で一気にバトルの腕に磨きを上げていた
「ゲホッ……ゴホッゴホッ…」
「大丈夫か」
「ッ…大丈夫ですよ!!」
1度深く呼吸した後、笑顔でカラスバに笑う
しかし、いつからだったか気がついた時には日に日に酷く咳き込み苦しそうにするシオンを見る事が多くなったように思える
そんなシオンを心配するもシオン自体は大丈夫の一点張りだった
「それより、私の正体分かりました?」
「分かる所かますますわからんなっとるわ。
そんな苦しそうなのも、ただの風邪やないやろうし。」
「え〜、もっと頑張ってくださいよ〜」
そう笑いながらリザードンをボールにしまい、カラスバに近寄る
「お前が、話せば楽なんやけどな」
そうカラスバが言うと少し間を開けて「……そっかぁ〜…」と歯切れの悪い返事をする
「まぁそろそろ時間もないし…」
「なんや、なんか言ったか?」
「いや!なんでも!!あ、そうだ!!」
シオンがボソッと呟いた言葉にカラスバは聞こえなかったのか聞き返す
それに対しシオンは再びいつもの笑顔を向ける
「じゃあ、冬になったらエイセツシティに2人でデートしてくれたら話しますよ。全部!」
「デート?お前と?したないわ、そんなん」
「えー!じゃあ息抜きとして!!」
慌てて言葉を変えるとカラスバは笑みを浮かべ「それならええで」と頷く
それにシオンは笑みを浮かべ嬉しそうにする
「やった〜!私雪ずっと見たかったんですよ」
「それなら今からでもエイセツシティ行けばええやろ。」
「ムードがないですね〜。冬に!エイセツシティに行きたいんです!!」
「はぁ、ようわからんわ。お前は」
「へへっ、」
シオンに苦言を零しつつも笑顔で楽しそうに微笑むカラスバとそんなカラスバの言葉に嬉しそうにするシオン
「お前の正体が知りたいから仕方なくついて行くんやからな」
「はいはい、分かってますよー」
そう言ってカラスバはシオンから背を向ける
しかしその瞬間シオンの笑みが小さくなり、目は切なそうにカラスバを見つめる
「…正体、か」
カラスバside
「ボス、寒い所は……」
「大丈夫や。」
シオンが居なくなった静かな事務所でジプソが声をかけてくる
確かにジプソの言う通り寒いとこは嫌いや
惨めなあの頃を思い出すから
『フシデ…大丈夫や。こうしたらあったかいやろ?』
〖キュ…!〗
冷たい路地裏でクリスマスで嬉しそうに家族へプレゼントの話をする子供達を見ながら薄いブランケット1枚で過ごしたあの日々
フシデと抱きしめあって、必死に寒さに耐えたあの夜の事を思い出すと今でも心が締め付けられ苦しくなる
「──なんでやろな、アイツと行ってみたい思ったんや。」
「なるほど…」
「それにアイツの正体だって知りたいしな。」
寒くても、太陽のように眩しいアイツとなら寒さも吹き飛ぶんじゃないかと思ってしまった
それに、アイツの事を知りたいというのが一番の気持ちだった
結局こっちで調べてもシオンの情報はイッシュ地方出身としか分からなかった
イッシュ地方のどこで生まれて、何人家族なのか、何故ミアレに来たのか
そして何故───オレが好きなのか
「…気になるんや、アイツのこと」
もっと、知りたいんや。シオン