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5 - 第5話 「おやすみ、良い夢を」あかアク

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2023年07月01日

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あかねside

私はアクアくんにそっと近づき、膝枕をした。

心地よさそうに寝ているアクアくんは、本当に幸せそうにしている。


アクア)ん…あか、ね……?


あかね)おはよう、アクアくん


アクア)にいさ…姫川さんは……?


あかね)金田一さんに呼び出されて慌てて帰ったよ。『星野にたくさん食わせてやれ』って言って5万円渡されちゃった


アクア)ごまんえん…………5万円!?


私の言葉に驚いたアクアくんは、ふわふわした目をぱちぱちさせて、飛び起きた。その時におでこがぶつかりそうになり、慌てて避ける。


あかね)っと、いきなり起き上がらないでよ。危ないでしょ?


アクア)わ、悪い……


あかね)謝らなくて良いよ。それに、私の前でも姫川さんの事、『兄さん』って呼んで良いよ


アクア)…気づいてたのか


あかね)うん。気づいてたよ


私はアクアくんの頬に手を優しく添え、耳元に囁いた。


あかね)大好きなアクアくんの事だから


アクア)あかね……


何か言いたそうなアクアくんの口に人差し指をそっと当てる。アクアくんは口を噤んだけど、不満そうに口を尖らせている。


あかね)だーめ


そんな可愛い反応しても、その先の言葉は言わせない。


あかね)知ってるよ。アクアくんが私に対して恋心なんて持っていないこと


アクア)……


知ってる。アクアくんは誰も愛せないこと。そして、誰も愛さないこと。でも、それと同じくらいに愛したいと思ってる。それは矛盾してて、歪で、理解してくれる人なんて中々いない。


あかね)でも、私は諦めないから


私がアクアくんの事をどれだけ好きかなんて知らないでしょ。誰よりも愛してる。この愛は誰にも負けない…負けたくない。


あかね)アクアくんは私がもらう。かなちゃんにも渡さないから!


アクア)…熱烈だな


あかね)形は違えど、私とかなちゃん以外にもアクアくんを愛してるよ


アクア)随分と重たく言うな


苦笑いするアクアくんに、私も笑みを返す。


あかね)これくらい言わないと、アクアくんに伝わらないもん


そう言うと、アクアくんは少し困った顔をした。

困ってるのはこっちの方だよ。沢山の人を巻き込んじゃって。君がどれだけ周りに愛されているのか、知って欲しい。


アクア)…俺は誰も愛せないし、誰も愛さないぞ


あかね)そんなの、私が変えさせる


アクア)まだ父親だって殺せてないし…それどころか、そいつの手によってこんなにされてしまった


あかね)時間をかけて、ゆっくり治していけば良いよ


アクア)……


必死に言葉を探してるのか、アクアくんは口を閉ざした。どんな事を言われても、私はアクアくんから離れるつもりなんてないのに。


あかね)アクアくんが何も言おうとも、私は貴方から離れない


それは私だけじゃなくて、かなちゃんやルビーちゃんだってそう。


アクア)…どうして、そこまで俺に執着するんだ


あかね)貴方を幸せにしたいから


アクア)幸せって、そんな曖昧な……


あかね)曖昧の方が良いでしょ?ミリ単位で固められるよりかは余っ程ね


アクア)…好きにしろ


あかね)そうするよ


冷たく感じる言葉だけど、アクアくんが言うと、どこか温かさを感じた。



アクアside


アクア)それより、この大量のデザートなに?


あかね)あはは…少し、注文しすぎちゃって


目を逸らしながら言われても、説得力ないぞ。


アクア)太る気か


あかね)ふ、太るとか言わないでよ!だったら、アクアくんも食べて!姫川さんも『たくさん食わせとけ』って言ってたし!


早口めにそう語るあかねを見て、つい笑みがこぼれる。


アクア)言っておくけど、流石にこんなには食えないからな?


あかね)分かってるもん!



あかね)ご、ご馳走様でしたぁ……


空になった容器を見て、思わずため息が溢れる。1ヶ月は甘いもんはみたくないな。


アクア)食べ過ぎだろ…明日のスケジュール大丈夫なのか?


あかね)んふふ、明日は久しぶりのオフなんだぁ〜


アクア)幸せそうだな


あかね)アクアくんの方こそ、ずっと幸せそうな顔してたじゃん


あかねにそう指摘され、手で顔を触る。


アクア)そんなこと……


あかね)してたってば


アクア)っ……


あ、これ、やばい…かもしれない。


アクア)…あかね、ちょっと


あかね)アクアくん、眠い?


アクア)ん……


素直に頷くと、あかねは微笑ましそうな表情をして、頭を撫でてきた。


あかね)寝ていいよ


アクア)でも…あか、ね……が………


あかね)大丈夫。ちゃんと家に送り届けるよ


アクア)あり、が……と………


強い眠気に襲われ、再び眠りについた。





続く

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