注意事項
・現パロ
・ゆうむい?むいゆう?人によっては
むいゆうって感じる人の方が多いかも
・付き合ってる
・前世の記憶持ち
最初に
まだまだネタはありますが皆さんの
小説のリクエストを募集します。
ゆうむい、むいゆう限定です。
暗い系、激しい系、かわいい系、や、
詳しく内容を書いてもらっても構いません。
「あ、兄さん。そういえば今日ね。
天気予報ですごく晴れるって言ってたよ!!
今日 出かけるからちょうど良かったね。」
兄さんはそうだな、とでも言いたげな
顔で僕の目を見て頷いた。
僕の兄さんは声が出なくなった 。
声が出なくなったからと言って、
耳も 聞こえない訳では無い。
聞こえてはいるのだが、声が出ないのだ。
なったのは最近の7月中旬。
突然兄さんから声が出ない、と
紙に書かれ渡されたのだ。
僕は一瞬冗談かと思ったが、兄さんが
こんな笑えない冗談を言うはずがなくて、
本当に声が出せなくなってしまったらしい。
それを見た両親は心配して兄を病院に
連れていったが、原因は不明のまま。
声が出せない、と言うだけで、その他に
異常はない。
……ただ
────────────いつものように叱ったり
たまに褒めてくれたりする兄さんの声が
聞けないだけ
「兄さん、準備できた?そろそろ行こ!!」
僕たちはこれから水族館に出かける。
僕の友達から、ちょうど水族館の
チケットを貰ったのだ。
今日はちょうど休日だし、天気もいいので
二人で行くことになったのだ。
とはいえ、兄さんは声が出せないから
スマホのLINEで兄さんは話している。
声が出なくなったのは 最近だけど、
もう1ヶ月以上 最愛の 兄さんの声が
聞けないのはやっぱり 寂しい。
『水族館、久しぶりじゃないか?』
「そうだね。楽しみ〜!イルカのショー
見れるかなあ?」
『時間があればな』
「よーしっ!早速行こう!!」
.
水族館に着くと、僕たちはチケットを
見せ、中に入った。
中に入るとジンベイザメやサメ、見たことの無い魚などが見られた。
「わぁー!ここ、明かりが少なくて
なんだか落ち着くね。海の色で周りが
青く見える!!」
『そうだな……。ほら、左見てみろよ。
あそこにクラゲがいるぞ』
兄さんの言われた通り左を向いてみると、
そこには15匹くらいの少し大きいクラゲが
ぷかぷかと気持ちよさそうに浮いていた。
「凄い……!!きれい…………
クラゲってほぼ水でできてるんだよね。
凄い綺麗だなぁ」
『クラゲには感情ないしな。』
「えっ、そうなの?」
『まぁ、…本当かは分からないが。 』
「へぇ、、なんで産まれたんだろう。
生きてて楽しいのかな?」
『知らない。感情ないんだから辛いとか
楽しいとか何も無いだろ』
「なんだか前世の僕みたいだね」
『……ちょっと思った』
「記憶ない時は…、本当にぼーって
してたな。今もそうだけどね。
何も 楽しくも面白くも無かったし全部が
どうでも良かった。きっと記憶のない時の
僕が水族館に行ったら興味無さそうに
そこら辺 歩いてるだろうなぁ、」
『やめろよ。水族館でそんな話
聞きたくない』
「ぁはは……そうだね。次行こっか」
暗闇の中に照らされている水槽を抜けると
外に出て、太陽が輝いていた。
『眩しいな』
「暗いところにいたからね……でも
そのうち慣れるよ!」
『……そうだな、そういえば後10分で
イルカショーが始まるらしいが、
行くか?』
「えっ、行きたい!!」
そうすると兄さんはよし、と頷いて、
僕の手を取って、手を繋いで歩いた。
僕の手を兄さんが取るなんて、幼稚園
ぶりだから少しドキドキしてしまったのは
内緒。
目的地に着き席に座ると、タイミングがよく
ちょうどイルカショーが始まった。
「わぁっ、すごい!!!イルカが
飛んでるよ!!!」
『ショーなんだから当たり前だろ。
にしても水飛沫が凄そうだな、 』
そういうと兄さんは無言でカーディガンを
僕に渡してくれた。
「えっ、でも兄さんが濡れちゃう……」
『俺はいいんだよ。早く着ろ』
少し申し訳ないが、僕は渋々兄さんの
カーディガンを着た。
「…………兄さんありがとう、」
LINEから返信が帰ってこない。
きっと照れているんだろう。
兄さんの視界に写るようにニヤニヤ
していたらさすがに調子に乗りすぎたのか
口パクで黙れと言われたままデコピン
されてしまった。
痛い。
うう、と唸り声をあげていると、
スタッフの人がイルカに乗って移動する
パフォーマンスや、イルカの大ジャンプ
などが見られた。
「いいなぁ、僕もイルカに乗ってみたいな」
『お前には無理だろ。』
「んぇっ、酷いなぁ、2ヶ月で柱に
なれたんだからこれもきっと練習すれば
すぐ出来るもん!、」
『できたからと言って何になるんだよ。
水族館のスタッフになるつもりか?』
「兄さん……、ほんっとに夢無いよねぇ、 」
『うるさい。ぐたぐたとそんな事言ってないでパレードに集中しろよ。』
「……そうだね」
イルカのショーをみて数分後。なんと
ついに水飛沫のすごいパフォーマンス
になった。なるべく水を浴びたくないから
と言って、水槽から少し遠い所を選んだが
水飛沫が凄すぎてこっちまで飛んでくるのが
わかった。
「ぅわっ……!ちょっとかかっちゃった…って、兄さん!?」
ふと兄の横を見てみると、運が悪かったのか、びしょびしょになって濡れていた兄を
見た。
「に、兄さん……!大丈夫、!?」
またもや兄さんから返信が来ない。
兄さんの手元を見ると、スマホにも水が
かかってしまったのか、水で上手く画面が
動かないようで、文字で伝えられずにいた。
幸いスマホは壊れてはいなかったが、
少し大変だ。
「……ごめんね、兄さん。僕が
そこに座れば良かったね……。僕だけ
全然濡れてない……。ちょっとまってて。
僕のカバンにタオルあるはずだから、… 」
カバンを漁りタオルを渡すと、兄さんは
濡れてしまったスマホと服、髪もろもろ
を拭き、拭き終わるとメッセージが
届いた。
『助かった。ありがとう』
「えへっ、大丈夫だよ!兄さんのカーディガ
ンも少しだけ濡れちゃったから、帰ったら
洗濯しておくね」
『あぁ。』
そうしているうちに、いつの間にかショーは
終わっていた。
「もう終わっちゃったね……。でも
楽しかったなぁ。ねぇ、次は何処行く?」
『……腹、減ってないか?』
「お腹空いた!!ご飯食べに行くの??
僕も行くっ!」
『……じゃあ行くぞ。確かこの近くに
あるはずだから』
「さすが兄さん。心配症だから先に調べて
おいたんだね。」
『一言余計だ。ほら行くぞ』
イルカショーのせいで昼ごはんが大分
遅くなってしまったが、 兄さんについて
行き、ご飯を食べれる 場所について行った。
*
「……ここ?すごい……!!海を見ながら
食べれる所なんて、ロマンチックだね!」
『……ここしか無かったからな。ほら、
メニュー表に沢山あるぞ。』
「どうしよう……じゃあこのカレーと、
アイス食べたいな」
『……俺もそうする。』
決まったところで店員さんを呼び、ご飯を
頼むと、数十分後にご飯が届いた。
「んー!美味しいね、何杯でも食べられそうだよ」
今はご飯を食べているので、兄さんはそれに
返事をすることができない。さすがに
ご飯を食べながらスマホを弄るのは行儀が
悪いため、表情や手の動作などで会話
している。
「兄さんもおいしい?」
「……」頷
「……ふふ、 無言で頷くのなんだかちょっと
可愛いなぁ。……っいた!!」
可愛い、と言われて恥ずかしくなったのか、
兄さんのデコピンを食らってしまった。
「もー、なにするの!?僕は褒めた
だけなのに。兄さんは格好良いし可愛い
んだよ」
……睨まれた。睨まれたけど若干照れてる
な。この人。ほんとに可愛い。
兄さんが僕より先にご飯を食べ終わると、
スマホを取りだしそれに返信しだした。
『うるさい。余計なお世話だ。スマホで
返事が出来ない時にいじるのやめろって
いつも言ってるだろ』
「え~?そんないじってるつもり ないんだけどなぁ」
『いやニヤニヤしてるだろ、気持ち悪い。』
「相変わらず冷たいなぁ。ま、そこが
好きなんだけどさ。……さて、僕も
食べ終わったしそろそろ行こうか」
『……あぁ、そうだな』
*
気づけば辺りが夕方になっていた。
青空の下の綺麗な海とはまた別に、
オレンジ色に輝く海もまた悪くない。
きらきらと輝いている海がすごく綺麗で、
思わず見とれてしまう。
「今日は楽しかったねー!」
『……そうだな』
「…………この生活にも慣れた?」
『まぁ、……。』
「そっかぁ、早く声聞きたいなぁ」
『、ごめんな。俺のせいで』
「……えっ、なんで兄さんが謝るの?
兄さんは悪くないでしょ!急になったんだし
仕方ないよ」
『……でも心配かけたし』
「心配はしたけど……。兄さん、そんなこと
言わないで。僕は兄さんの味方なんだから
無理しないで」
『…………いや、大丈夫だ。もう慣れたし』
あぁ、兄さんまた嘘ついてる。
本当は辛いくせに。僕に心配かけたくない
からって、そうやって嘘をつくのは
嫌だなぁ。
僕は兄さんの手を取って真剣な眼差しで
伝えた。
「もう、やめて。」
兄さんはびっくりしていた。
手を繋いでいるため文字を打つことが
できない兄さんは、ただわたわたと
慌てていた。
「……その兄さん、嫌い。また優しい嘘で
僕を安心させようとしてるのが。
……辛いくせに、何言ってるの?ずっと
思ってたけどもう限界。毎回毎回
大丈夫大丈夫って……、馬鹿じゃないの。
大丈夫じゃないでしょ、兄さんの本当の
気持ちが知りたいよ。1人で抱え込まない
で。 それに僕は心配いらないよ。
兄さんが心配。
1人で解決しないで僕を頼ってよ。」
話している内に、何故か涙が溢れてた。
なんでだろう、泣きたいのは兄さんの
はずなのに。急に声が出なくなるなんて、
僕には耐えられない。
『…………俺、は』
『……はなし、たい、またお前と。
スマホじゃなくて、ちゃんと声で、
お前と話したい、……』
「……うん」
『お前に心配、かけたくなかったから、
ずっと平気なフリを装ってたけど、
本当は、苦しかった。』
兄さんの返信に集中しているせいで、
兄さんの顔が見れなかったため、ふと
スマホを視界から外し兄さんを見てみると、
兄さんの目には涙が溜まっていた。
……この人は本当に、1人で抱えすぎだと
思う。ずっとひとりで解決しようとして、
僕のことも頼らずに。本当に、馬鹿。
いっそ僕が変わってあげたいのに。
なんで優しい人ばかりが不幸な目に
合うのだろうか。
そんな辛い思いをしている兄さんに
出来ることは、励ましの言葉と、
兄さん自身を抱きしめることしか
できなかった。
僕は兄さんに寄り添いたい。だから、
そっとに兄さんを抱きしめて、
背中をさすった。
「大丈夫だよ。僕はここに居るよ。
兄さんはひとりじゃない。僕を頼ってよ。
迷惑なんかじゃないから。むしろ頼って
くれない方が僕は嫌。お願いだからもう
これ以上抱え込むのはやめて。
兄さんの声が聞けないのは悲しいけど、
兄さんの温もりを感じるだけでも僕は
嬉しいよ。泣く時は沢山泣いていいんだよ。
兄さんだって人間だもん。 」
兄さんは励まされたせいで
一撃食らったのか、
我慢出来ずに泣いてしまった。
兄さんの泣き顔を見るなんて、小学生以来
かもしれない。泣き顔綺麗だなぁ、
と思ってしまうのは置いておき、僕は
ひたすら兄さんに寄り添った。
『ごめん。ありがとう』
「ふふっ、落ち着いた?兄さん久しぶりに
泣いたんじゃない?」
『……うるさい』
「……ほんとに、もう無理はやめてね」
『……あぁ』
「海も見た事だし、そろそろ帰ろっか」
『電車の中で寝るなよ』
「えぇっ、酷いなぁ、分かってるよ」
まだ泣き終わったばかりだからなのか、
兄さんの目には若干膜が貼っており、
目が赤かった。そんな目が夕日に
照らされていて、綺麗だと思ってしまう
僕は、兄さんの事が本当に
好きなんだなぁ、って改めて思った。
いつ声が治るのか分からないけれど、
僕は兄さんをずっと支えていきたいと思う。
支えられる方が多いかもしれないけど…
笑う時は笑って、怒る時は怒って、
泣きたい時は一緒に泣きたい。
僕はそっと兄さんの唇にキスをして
愛の言葉を伝えた。
「すきだよ。兄さん」
.
コメント
2件
有一郎ぉ······· きっと治るよ······!
やさしい人って不幸がくるよね。 なんでだろう。 どうか有一郎くんがまた無一郎くんと楽しくおしゃべりできますように🙏😣