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- 黄昏の森の鬼娘 2
* あらすじ
俺の名前はミツキ。訳あって禁忌とされている異世界、黄昏の森に送られてしまった。だが毎日楽しく生きている。
そこで突如カーディリア王国という俺が元々住んでいた国から騎士たちと、王様と王女様たちがやってきた。
そこでまぁなんやかんやあって今では一緒に暮らしているが、そのなんやかんやあってもう2週間が過ぎようとしている所からが今日の始まりだ。それじゃまぁ楽しんでくれ!
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* 住居を作ろ……う?
「なぁ、クロエよ」
「なぁに?ミツキちゃん」
今俺は自分のベッドで目を覚まし、横で俺に腕枕をして腰に手を回しているカーディリア王国の第3王女、クロエ・カーディリアに声をかける。
「なんで、2日に1回は俺のベッドにお前がいるんだ?」
「んー、毎日来るのはだめって怒られたから?」
そう、こいつは前にも同じようなことをしていた。しかも頻度は毎日だった。
「あのな、俺は2日に1度ならいいと許可した覚えはないぞ?」
「えー?でも毎日は来るなーって…」
「阿呆!毎日は来るなって、毎日じゃなきゃいいって意味じゃない!」
顔を上げて、クロエの方を向きながら異を唱える。
まぁこんなこと言ってもこいつは聞かないような気がするが……
「んー、じゃあもう部屋一緒にしちゃおうよ!」
「馬鹿者!そっちの方が問題あるわ!!」
「えー、じゃあどうしたらいいの?」
「普通に俺のところに来なきゃいいの!」
「え…そんなの無理だよ!ボクはミツキちゃんなしじゃ生きていけない!」
「なんでだよ!!」
この野郎…話が通じねぇ、
だいたい俺がいなきゃ生きてけないってなんだよ!俺はお前のなんなんだ!
「あー、もういいや…とりあえず起きるから離してくれ」
「えー、でもこうしてた方が暖かいしいいと思うけどなぁ」
「別に寒いかどうかなんて話はしてないの!」
「それにまだ髪もボサボサだし…服だってまともに着てないから恥ずかしいんだよ!」
「んふふ~、ミツキちゃんは可愛いねぇ」
「あ゙ー!!うるさいうるさい!いーいから離せー!」
無理やりクロエの腕から抜けて、ベッドから降りる。
「ったく…ほら、着替えたりするからはよ出てけ」
「あ、そういえばいつも気になってたんだけどさぁ、あのミツキちゃんが着てる服ってなに?」
「あー、あれは着物って言って、動きやすいし着やすくて便利なんだ」
「へぇー、あれ、なんかあの血の悪魔も似たような服着てたような気がする…」
「は?そんなはずはない。この服を着てたのは俺と親友だけだったし、この着物って言う服を作ったのも俺の親友だ。だからそんな事はありえない。絶対見間違えだろ」
「んー、ミツキちゃんがそう言うならそうなのかも?」
「とりあえず早く出ろ」
「わっ!」
クロエを部屋から追い出し、扉にロックをかけた。
着替えてるところまで見られんのは死んでもやだ!
数十分後…
「よし!着替えバッチリ!」
「あ、終わったー?」
「うわぁ!?」
なんとクロエのやつが扉をすり抜けて顔だけ出してこっちを向いてきやがった…
「な…なんだそれ!」
「あーこれ?ふふ~♪これはねー、ボクのスキルなんだー!」
「そんなヘンテコなスキルまであんのか…」
「むっ…ヘンテコとは心外だなぁ、このスキルを使えば敵に思いがけない不意打ちなできるんだよー!」
「なるほど…要は使いようって事か…」
「あ、!もしかして今までもずっとそうやって俺の部屋に入ってきてたのか!!」
「お、せーかーい!」
「はぁ…どうりでエリーゼたちにバレないわけだ…」
「それにしてもこの家すごいよね、流石に全員分の部屋はないけど皆家には入るし」
「うーん、確かに、入りはするんだが…部屋がないのは何かと不便な気がするんだよなぁ…」
「………よしっ!ここら一帯に全員分の家でも作るか!」
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俺はここら一帯にこいつらの住居を作るため、外に皆を集合させた。
「よし、皆こんな朝っぱらから集まってくれてありがとう、今日はお前たち全員分の家をここら一帯に作ろうと思う!」
「え?い…家、?」
「でも、もう既にジーク様が作ってくださった家に全員入りますし問題ないのでは?」
こいつは騎士団の副団長、ダン・カーレイヴ。俺の素性はカーネルと王女たちは全部知ってて、あとエリーにも俺の名前と姿だけ明かした、あとの大事な部分は何も説明していないが。
そして他の騎士団員には俺の名前は”ジーク”と、性別は男で、そしてこっちの民族だと言うことにしている。(だいぶ苦しい言い訳だが誰も違和感を抱いてはいない)
「うーん、だが全員分の部屋はないだろ?それだと何かと不便だろうと思ってな」
「なんと…これは失礼を。出過ぎたマネでした」
そう言いダンは頭を下げてきた。
「え、あ、待て待て!全然いいから、顔を上げろ!」
「いえ、ジーク様のお心遣いを察することが出来ず、つい出過ぎたマネをしてしまいましたこと、反省しております…。」
「な…なぁ、やめてくれって!エリー、お前からも言ってやってくれ!」
「……ぁ、えと、ダン。ミツ____」
あ、バカ!
「ん゙っ、ん゙ん゙」
おー!カーネルナイス!!
「ハッ!えっと、ジーク様ももう許してくださっている。頭を上げよ」
「団長、…はい。ジーク様、ありがとうございます。」
「あ…あぁ…」
……カーディリアの身分が高い奴らは皆何処かしらが変な奴なのか?
「それで、どうやって我らは家を作ったらよろしいのでしょうか…ここはこの家の周り以外大木で覆われていますし…」
「それについては俺に考えがある。まずこの家の周りの木を全部切り倒して、さら地にする。」
「「「!?」」」
「そ…そんなの、私たちだけでは時間がかかりすぎる!」
「まぁ落ち着けエリー。さら地には俺がしてやる、お前たちの仕事は木を削り、家を作るための素材にする事。それで各々好きなところに好きな家を作るんだ!」
「え?えっと…この周りの大木を…1人で?」
「ジーク様だけにやらせるわけには!我らもお手伝い致します!」
「ふっふーん!手伝いなぞなくても、ここら一帯をさら地にするのにさほど時間はかからん!」
「あ、でもお前たちは危ないかもだから少し遠くにでも行っててくれ、何かあったらすぐ駆けつけてやるから!」
「…皆の者。今の言葉、しかと聞いたであろう。ジークがこう言うのだから我らはただ待てば良いのだ」
「陛下の言う通りだ。ここはジーク様を信じて、訓練がてらみんなで狩りでもしようではないか!」
皆半信半疑といった様子だが、エリーとカーネルの言葉で納得はしてくれた様だ。
「カーネル、もし何かあった時には頼りにしてるぞ」
「うむ。任せておけ!」
俺はそっとカーネルに耳打ちした。
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「さて、やりますか」
皆がそろそろ遠くへ行ったであろう頃(推定)で、俺は辺りを見回して
「刀剣創成___太刀」
そうして俺は刀身が長い太刀を作り、それを木の方を向いて、刀を鞘に仕舞うかの様に構えた。
「風魔法___風刃(ウィンド・カッター)」
「無属性魔法___身体強化(エンチャント・フィジカルアビリティ)」
「身体強化」
刃に風刃を纏わせて、身体を無属性魔法の誰でも使える身体強化と、自分のスキルによる身体強化を更に重ねて、通常では出来ない身体強化×2をしてみた!
っと、ここで初めて魔法を使ったから少し解説すると、魔法にはそれぞれ属性がある。火、風、土、木、水、霧、無、毒、魔、光、闇、この属性は生まれ持って使える属性が決まっているんだ。
例えば俺なんかだと使える属性は、火、風、無、闇、この四つだ。ただし一つ例外がある。それが無属性魔法だ。この属性魔法は基本的に使おうと思えば誰でも使える。”ただし”訓練をすればだ。そう簡単には使えるようにはならないが、その無属性魔法のなんでもいいから、それを使えるまで、魔力が尽きるまで使い続ける、それを繰り返していけばいつか使えるようになるかも。
っと言った感じだ。
まぁ長ったらしい解説はここまでにして、本来の目的に戻ろう。
「ふぅ……すぅ」
俺は息を吐いて、さらに深く吸って、大きく右足で前に踏み込み
ダンッ!!
「____っっ!!」
全力で前方に刀を横に振った。
………ドゴォォォォォン!!!!!
どデカい音が遅れて鳴り、振った方向の木々が次々に倒れていった。
そこにはさっきまで木々が生い茂っていたが、今はもう木の丸太が転がっているさら地とかしてしまっている。
少なくとも数百メートル先まで切り落としているだろうな、流石にやりすぎたか……?
まぁいいや、とりあえず他のところもやるか
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一方同時刻、騎士団や王様達は………
ドゴォォォォォン!!!!!
「「「!?」」」
「な…なんだかすごい音がしたが……」
「一体…何をしているんでしょうかね…」
今、ボクとお姉様達とお父様とエリーで狩りに出た騎士たちを待っている所で、遠くからすっごい音がした。多分ミツキちゃんだと思うけど…何をしたらあんな音が出るんだろう…
「それにしてもここは、本当に魔力に満ちている。これ程までの魔力が…一体なぜ」
「…詳細は分かりませんが…この森の影響かと思われます…」
「森、ですか?」
「はい…。なぜこれ程大きい範囲で木々が生い茂っているのかが不思議でしたが…ここの木は見たことも無い品種なので確実にそうとは言いきれませんが…この木が直接魔力を放出しているものと考えられます。」
「え、?そんな事…有り得るのでしょうか?」
「それは、薄々ボクも感じてたよ。あまりにも自然に魔力が充満してるから分かりにくいけど…確かにこの辺りの魔力はこの木から出てる」
「クロエがそう言うなら、ネラのその仮説が正しいかもしれないわね」
「つまり、この魔力がここにいる魔物達を強くしている可能性があると?」
「そ…そういう事です…!」
「なるほどのう…そうなると、騎士たちにもこの事を説明する必要があるやもしれんな…」
ドゴォォォォォン!!!!!
またあの轟音が聞こえた
大丈夫?何かと戦ってるわけじゃないよね?
まぁ、こっちは戦いそうだけど…
「でもさ、その前にまずはこっちの様子をずっと伺ってる”何か”の対処をした方がいいんじゃない?」
「「え?」」
「うむ、確かにクロエの言う通りか…」
「そうですね」
「なに、お姉様達は気づいてなかったの?」
警戒心無さすぎなんですけど…家のお姉様方。
「すぐに襲ってこないところを見ると、知能はあるようだな…」
「そうですね。こちらに戦えるものがいると理解しているようです」
「で?どうする?こっちから仕掛けちゃう?」
「いや、少し様子を見よう。相手は未知の魔物じゃ、先に仕掛けるのはリスクが大きい」
「それに今ここにはミツキ殿は居らんからのう。もしもお前たちに何かあれば___」
お父様が突然言葉を止めて、辺りを見回す
「陛下…?」
「これは…まずいのう…」
「「「?」」」
「っ!あー…なるほどぉ…」
「クロエも気づいたか」
「うん。これはー…どうしよっか」
「エリー。風魔法で団員の皆にすぐにミツキちゃんの所に戻るよう伝えて」
「え?あ、わ…分かりました!」
「風魔法___精霊の囁き(スピリッツ・ウィスパー)」
『この森に居る騎士団員よ。団長命令だ、すぐにジーク様の家に戻り待機せよ!』
「よし、でもどうしよう…この状況じゃお姉様達は逃がせない…」
「仕方あるまい。エリーゼのスキルで自身とネラを守ってもらうしかない」
「あの…お父様、クロエ、何が起きているのでしょうか?」
「うーん。落ち着いて聞いてほしいんだけどね、さっきこっちの事を見てた魔物と同じのに囲まれちゃってるの」
「え!?」
「そのようですね…私も今魔法を使うまで気づきませんでした…」
「数はどれくらいだと思う?」
「えっと、推定ですが…5体程しかいないと思われます」
「そっかぁ、てことは敵には相当自信があるのか…ミツキちゃんが数を減らしすぎちゃったのか…」
「後者なら安心は出来るが…前者の方を考慮しつつ戦わねばな」
『シャァァァ!!』
「くるよ!!」
「金獅子!」
「結界___完全結界!(パーフェクト・バリア)」
お父様とお姉様がスキルを使って、お父様が前方の魔物に突っ込んでいった
「じゃあボクはあっちで、エリーは向こうお願いね!」
「あ、はい!」
「一騎当千___無双」
エリーのスキル、一騎当千。敵の数がこちらよりも多ければ多いほど無敵になっていく能力。誰を敵として、誰を味方とするかは本人の意識次第だから、味方でも敵と思えばそれを敵になるから、他の国と戦争する時なんかは10万の国民を敵と認識してもう無敵の権化とかす恐ろしいスキルだよほんと
更にその力を他の人にも分けられるってのがすごいところだよね。
さて、じゃあボクはこっちに集中しようか
近づいてみてよくわかったけど、相当奇妙な見た目をしている。蜘蛛と竜が混ざったみたいな、頭と尻尾が竜で身体が蜘蛛みたいで、すっごくでっかい…これ、ボク1人でいけるかなぁ…
「クロエー!!」
「!?」
急にお父様に呼び止められ、思わずお父様の方を向いて
「いかん。こやつはクロエ1人の手には余る!この余でさえ少し時間がかかるやもしれん!だから無理はするでないぞ、こっちが終わったらすぐ其方へ向かう!!」
「っ!任せて!!」
やっぱりなぁ、自分でも分かってたし残念とか悔しい気持ちはないけど…まぁいつかは勝てるようになるし!!
とりあえず今は死なないように集中しないと…。
『シャァァァ!』
シュルルル
「おっと、」
ザシュッ!
「えぇ…嘘じゃん…」
あれの尻尾?お腹?から細い糸のようなものが出てきてボクの後ろの木に刺さったり、切れたりした
硬度すごくない…?しかも早いし柔らかいのに…
ブワッ! ボンッ!
「え!嘘嘘!火も吐くなんて聞いてないー!!」
やっぱり、竜と蜘蛛が混ざったみたいな攻撃だ、なんでこんなのが…
それにミツキちゃんが言ってた魔物もスキルを持ってるって言うことは、こいつはなにかスキルを持ってるって事だから警戒しとかないと…
「ぐあっ!!」
「!?、お父様!!」
「…!陛下!!」
急にお父様がボクの方へ吹き飛んできた
ボクはお父様の方に駆け寄り、エリーもあれの脚を何本か切り落とし、こちらへやってきた
「お父様、大丈夫!?」
「あ…あぁ…」
「陛下…お怪我を、」
「なに…こんな怪我ぐらい許容の範囲内じゃ…ほれ、やつにも一撃見舞ってやったでのう」
お父様が指を指す方向には翼と糸が出ていたお腹が抉れていた
きっとお父様が深手を負わせたのだろう
「だが…あんなのをあと4体も相手するのはちときついのう」
「どうする?逃げる?」
「ですが…この囲まれている状況でどうやって…」
『グルルルル…』
「!まずい…囲まれた!」
「先程落とした脚が…再生している…」
ボク達は魔物達に囲まれて、逃げ場がない。
そしてどうしようかと頭を巡らせていると、魔物達はボク達に一斉に炎のブレスを吐こうとしていた
絶体絶命だと言うのに…不思議と頭は冷静で、何とかなるような気がずっとしている…これが現実逃避と言うやつだろうか…
「これは…万事休すだな…ッ」
「闇魔法___代償の枷(グレイプニル)」
その声とともに、黒い鎖の様なものが魔物達全員を地面に縛り付けた
「!あ…あれは、ネラお姉様の魔法!!」
「あれは闇魔法か…全く…なんという無茶を…」
「ですが、これで助かりそうですね」
「皆様ー!!」
ネラお姉様だけがこちらへと走ってきた
あれ?エリーゼお姉様がいない…
「おー、ネラよ!」
「ん?エリーゼはどうした?」
「ぁ…お姉様ならミツキ様にこの事を報告するため先にお戻りになられました」
「あの、第2王女殿下…その片腕と指は…」
ネラお姉様の右腕と指と、左腕の指が黒く変色していた。
そう、これが闇魔法を使う上での代償…
「ぁ…こ…これは…その、お姉様を家まで送るのと…先程のあれで…」
「全く…無茶をしおってからに…」
「こ…これくらい全然平気ですから…!気にしないでくださ____」
ブチッ パキッ バキバキ
なんだか嫌な予感がするとともに嫌な音までし始めた。
「っ…皆…見て」
ボクは魔物達の方に目を向けると、なんとお姉様の魔法を噛み破ったり、自力でちぎろうとしていた
「えっ…そ…そんな…こんなはず…」
ブチッ!ブチチチッ
ブワッ!
魔物の内の1体がお姉様に向かってブレスを吐こうとした
「まずい!お姉様!!」
ボクは急いでお姉様の盾になろうと走り出したその瞬間____
「血液操作___血の生贄(ブラッディ・サクリファイス)」
ボクの、今一番会いたかった人の声が聞こえた。
そして、その声が聞こえた瞬間、その魔物の動きが止まり、魔物の身体の無数の場所から血が吹き出し、空中に飛び去った血が無数の針のような形になってその魔物を穿った。
「お前ら、無事か?」
「おぉ、ミツキ殿!」
「よし、怪我人はカーネルだけだな。ネラもあまり無理をするな、確かにあの闇魔法はよく練習はされているが今のままじゃ代償と対価が見合っていない。」
「は…はい…すみません…。」
「(ミツキちゃん、もしかして怒ってる…?)」
「いいか?闇魔法って言うのは本来こういうものだ」
「闇魔法___破滅の大虐殺(カタストロフィ・カーネイジ)」
その言葉と一緒に、ミツキちゃんの指が2本黒く変色して、その少し後にミツキちゃんの背後から無数の黒い手が伸びて、魔物たちに向かっていき…そして…
ブチッ! ブチュッ!!
ボキッ! バキバキッ
魔物が1匹ずつその無数の手によってあちこちを握り潰されていた。
『ギャァァァァ!!!』
『グガッ!ガガガガ!!』
『グゴッ…グゥゥゥゥ!!』
魔物たちの悲痛な叫びがボク達の耳に飛び込んできた。
闇魔法が…こんなに残酷なものだったなんて…今まで知らなかった…。
「「「……っ」」」
お父様とエリーとお姉様はそれぞれ苦虫を噛み潰したような顔をしながら、その光景を見つめていた。
きっと皆は今のミツキちゃんに恐怖を感じているのだろう…。
ボクだって少しも怖くないと言ったら嘘になるけど、それよりも…それ以上に、ミツキちゃんがこういう魔法を覚えた、使っていた…いや、使えるようになってしまったという事になんだか悲しくなった。
それ程までに残酷な出来事や、辛いことが今まであったのだと思うと…ボクの心まできゅっと締め付けられるような感覚になった。
それと同時に、ボク達の為にここまで怒ってくれることが嬉しくもあった。
「よしっ…それじゃあ帰ろうか。」
ミツキちゃんはボク達の方を向かなかった
「ミツキ殿……」
「いい。お前らが生きてるならそれで…。」
「先に行ってるから、ゆっくりでもいいから気をつけて帰ってこいよ」
そう言ってミツキちゃんは先に行ってしまった