「これが全てで、八左ヱ門クンを変えてしまった元凶だ。」
そういった雑渡はお茶をすすった。
「そんな事があったなんて、」
「だから八左ヱ門、あんなに俺達にアドバイスとかくれたのか。」
「そりゃあそうでしょうとも。今回の作戦が上手くいっても、他で死なれたら意味ないんだから。」
雑渡が当たり前だと言わんばかりの顔をする。
「、あの!雑渡さん!」
「何だい?伊作クン。」
「……八左ヱ門の、左半身の弱体化ってどういう、」
「………先ほども行った通り、八左ヱ門クンは5年前の任務で大火傷を負った。左半身に。」
「っ!まさか!」
雑渡の言葉に、善法寺先輩が声を荒げる。
「そう、そのまさかだよ。」
「伊作、どういうことだ!?」
食満先輩が問うと、善法寺先輩は青ざめた顔で話し始めた。
「おそらく竹谷は、任務で負った大火傷のせいで左半身が弱体化してるんだ。」
「その通り。ひどい火傷の上に発見が遅れてしまったのもあって、跡が残り、その部分は機能が働きにくくなってしまったんだ。左目はほとんど機能していないと言ってもいい。筋力が落ちているため、左手は物を持つだけでやっとのはずだ。」
「っ!そんな状態で今まで戦ってきたのか!?」
私が声を上げると、雑渡は無表情になった。
「そんな状態になってでも、彼は君達の生きてる未来を望み続けた。5年前のこの世界に来て、彼がどれだけ喜んだか、知っているか?」
「は?」
「君達が死んでから一度も流すことのなかった涙を流したんだよ。隠れてみていたが驚いたよ。無表情で、何をするにも冷血だった彼が、喜び、泣いたんだ。そこから彼は君達を守ると誓ったんだろう。お前たちの知る、『竹谷八左ヱ門』を演じ、作戦を立てた。」
「………。」
「僕は君達が死んでからの彼を見てきた。だからこそ、彼を止めることはできない。」
そういった雑渡は、今までに見たことのないくらい優しい顔をしていた。
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続きが楽しみです!
続き楽しみにしてます!!