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ガーベラが咲くころに
第1話 隣になった春
春。
桜の花びらが舞う季節。
烏野高校。
3年生になった私は、新しい教室へ向かっていた。
「希咲さん、おはよう!」
「望、今年もよろしく!」
廊下を歩くだけで、たくさんの声が飛んでくる。
私は笑って返事をする。
「おはよう。」
昔から。
こうだった。
勉強を教えてほしいと言われる。
相談をされる。
頼られる。
嫌じゃなかった。
むしろ。
誰かの役に立てることが嬉しかった。
「望。」
後ろから声がする。
振り返ると。
清水潔子がいた。
「おはよう、潔子。」
「今年、同じクラスだね。」
「うん。」
清水潔子。
私の大切な友達。
綺麗で。
落ち着いていて。
でも優しい人。
私が唯一、無理をしている時に気づいてくれる人だった。
教室に入る。
そして。
席を確認する。
「……。」
少し驚いた。
私の席の隣。
そこには。
「よろしく。」
優しい笑顔の男の子が座っていた。
菅原孝支。
名前は知っている。
バレー部。
生徒会。
誰にでも優しい。
#音駒高校マネージャー
アウラウラ
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でも。
今まで。
ちゃんと話したことはなかった。
「こちらこそよろしく。」
それだけ。
この時の私は知らなかった。
この人が。
私の人生で。
一番大切な人になるなんて。
🌼
放課後。
生徒会室。
「希咲さん。」
「はい。」
先生から渡された書類を見る。
「今年の生徒会。」
「会長は菅原くん。」
「副会長は希咲さん。」
「よろしく頼むね。」
「はい。」
隣を見る。
「よろしく、望。」
初めて。
名前で呼ばれた。
「……え?」
「あ、ごめん。」
菅原が慌てる。
「嫌だった?」
私は首を振る。
「ううん。」
「大丈夫。」
少し不思議だった。
まだ数時間しか話していないのに。
この人の声は。
なぜか安心する。
🌼
その日の帰り。
私はいつもの場所へ向かった。
ガーベラの丘。
海辺の小さな庭園。
色とりどりの花。
私はここに来ると。
少しだけ肩の力が抜ける。
「今年もよろしくお願いします。」
花に向かって呟く。
「お母さんが元気でいますように。」
「みんなが笑っていられますように。」
いつもの願い。
その時。
少し離れた場所。
一人の少年が立っていた。
菅原孝支。
「……。」
偶然だった。
母親の手伝いで訪れた。
ただそれだけ。
でも。
夕日に照らされながら。
花に向かって願う少女を見た瞬間。
胸が高鳴った。
(綺麗だ。)
それは。
顔だけじゃない。
誰かのために願える優しさ。
その姿に。
心を奪われた。
この日。
菅原孝支だけの。
ガーベラ記念日が始まった。
コメント
1件
みぅです、読ませてもらいました🥀 「ガーベラが咲くころに」第1話、すごく好きな空気感でした。 まだ隣になっただけなのに、菅原くんが「望」って名前で呼んだ瞬間、胸がぎゅっとなりました。それだけで、この人の声はなぜか安心するって気づく希咲さんの感覚、すごくわかる気がします。 そしてガーベラの丘のシーン、夕日に照らされて誰かのために願う少女を見て、菅原くんが「綺麗だ」と思う気持ちが丁寧に描かれていて、この先がすごく気になります。 続き、待ってますね🌼