内容が内容なので注意書きです
・過去一長い(5000字弱くらい…)
・モブ視点、目の付け所が気持ち悪い
・男→男
・片っぽが片っぽを性的な目で見ている描写
・書きたいところだけ書いてる
・繋ぎがなくて箇条書きっぽい
・全体的に投げやり
簡単に言うと、心を注いでいる人に当て馬として担がれた(その人にそんなつもりはない)モブが、それに気づいて、報復として好きな人の相手からその人を寝盗ろうとする話です。だいぶ下品だし色々倫理観が死んでます。
キッスシーンと軽い愛撫があって、語尾にちょっと♡付けてます
直接的な描写はありませんが、いわゆる分岐ルートの中の死亡ルートなのでそこも注意です…。
手癖で描くと目がデカくなりがちなオリキャラの追揮↑
机上に置かれた飾り気のないブルーグレーのペンケース。その中に細い指を入れ、 探り始める。
それはまるで、 着物の裾を手繰るように、強く握れば傷ついてしまいそうな壊れ物を扱うように、華麗で丁寧だった。
軽く中を探り、数秒後に手を止める。ペンケースから選ばれたのは、薄いラベンダーカラーの小洒落た容器だ。
可愛らしいデザインのそれは、極めて機能的なデザインのペンケースから出てくるには、些か不釣り合いである。見るからに女性ものだ。
カポッ
蓋を外すと空気を含んだ音が鳴り、上品な香りが鼻腔をくすぐる。
口紅…、いや、リップクリームか。
持ち手部分を少しずらし、筒から芯を覗かせる。それを口元へ運び、薄い下唇に押し当てれば、クリームがじわりと溶け、皺に染み込んだ。
それから表面を二、三度往復させた後、軽く唇を食む。
恥ずかしながら、俺は決して物の扱いが丁寧な方ではない。むしろ雑な部類だ。
全くもっておかしな話である。しかし、その為か否か、その一連の動作が酷く艶めかしく、意味深なものと見えてならなかった。
思わず魅入ってしまい、我に返ったのは彼がこちらに目をやった時だ。 蓋を閉める音が聞こえ、自分の瞳が、金色の瞳とかち合う。
その瞬間、どっと背徳的な罪悪感が押し寄せ、慌てて目を逸らした。
「なんだよ。」
目線を戻す。先程まで軽く開かれていた彼の口は、すっかりいつも通り、不機嫌そうに噤まれている。
十分に潤わされたそこは、滑らかになっているものの、所々赤く割れていた。
口元ばかりを見てしまっている。慌てて誤魔化すために、口を開いた。
「ま、マメなんだね!持ち歩いてるんだ。」
普段の俺の態度から考えると不自然な程に、精一杯明るく振る舞う。誤魔化すどころか怪しまれそうだ。
すると彼は、軽く俯く。そして、手をゆっくりと顎に当て、唇の淵を人差し指で触りながら、小さく零した。
「べろべろ舐め回されるから………。」
それを聞いた途端、心臓がどくんと音を立てた。
その理由には心当たりがあった。
犬を飼っていると、口周りを舐め回される。犬にはそういった習性があるからだ。
口数が少ない彼は、自分のことをあまり多く話さない。そもそも、彼が生き物を飼っているという話は、生徒の噂話でも聞いたことがなかった。
なるほど、犬を飼っているのか。
心臓の鼓動が速度を増す。
「そうなんだ…!犬でも飼ってるの…?」
必死に平静を保ち、確認を取る。
俯いていた彼が顔を上げる。手を降ろし、机に肘を着いて、目を細めた。
「あぁ、…とびきりデカくて、しつこいのをな…。」
彼の口角が上がったような気がした。
心臓が今までに無いほど力強く飛び跳ねている。 この高鳴りは、彼の艶っぽい表情や、動きのせいだけではない。
優越感から来る高揚。
その後、勢いで彼と近しい人物に、それとなく聞いて回った。
彼が生き物を飼っている。そう聞いたことはあるか?
結果は、誰も知らなかった。
あのガラの悪い後輩も、掴みどころのない変人気取りも、方角に妙なこだわりを持った女も。誰も知らない。
自分以外、誰も知らないのだ。
テンションのおかしな俺に、周りは明らかに引いていた。
しかしそんなことはどうでもよかった!俺の脳は喜びで満ち溢れていた!
「えー!何それぇ、私も知らないよぅ!生き物!?」
あいつが、知らないと言うまでは。
東女と話していたそいつは、彼の実の兄弟であり、彼とはもちろん、同じ家で同じ飯を食い同じ湯に浸かっている(羨ましい)。
要するに、”知っていなければおかしい人”なのだ。
「〇〇がでっかい犬ころ飼ってる!?ずるいよ!どこで!?」
今まで喜びで高鳴っていた心臓の鼓動が、負の感情に塗り替えられていく。嫌な汗が吹き出してくる。
どこでだと?そんなもの知るか。ただ俺は聞いたのだ、彼の口から。
隠れて家で飼っている、という線は無いだろう。なんと言っても大型犬だ。食事量も、トイレの問題もある。隠せるわけが無い。
「秘密基地で飼ってるとか…?」
東女の言葉にその線があったかと、素直に感心する。しかし、その可能性は直ぐに砕かれる。
「それはないよぅ!〇〇ってば、がっこー以外で、ほとんど外出しないんだよ!?」
こっちが連れ出さない限り。そう続けた。
犬は飼っていない?ならば何故あのような事を言ったのだろうか。勘違いをさせるようなことを、『俺に』言ったのか。
「あ、〇〇〇〇のことかも」
どんよりとした紫色の視界が、パッと赤く変色した。
そんなわけない…、そんなことあるはずが無い。
しかし、そう言われてみると心当たりがあった。
○○○○と呼ばれたのは、去年の夏休み前に突然転校してきた、彼のクラスメイトである。主に国語科の授業を選択しており、今は図書委員会に所属している。
もちろん俺は、そいつにも彼の飼い犬の存在を知っているか聞きに行った。
『〇〇さんが犬を?そうなんだ、知らなかったよ。』
耳ざわりの良い声でにこにこと応答するそいつは、いかにも当たりのいい、好青年といった印象だった。
俺のような人間が普通に生きていれば、全く関わることの無い分類の人間。
『口をよく舐める?あはは、確かに犬って口舐めるよね。』
しかし俺は知っている。こいつの普段からの言動、行動が、明らかに彼に対する並々ならぬ執着、もしくは信奉から来ているものだということ。彼を親友と自称しているものの、その視線の熱が、明らかに親友に当てられたものでは無いこと。
要するに、彼の存在に気付き、魅了されてしまった俺と同類。そう思っていた。
『…とびきりデカくてしつこいの、って……。そっか、そう言ってたんだね。』
数分のうちに交わした一言で、あの男は顔を赤くした。
気付かなかった、見落としていた。ただの妄想だと思っていたのだ。
俺は確信した。
当て馬にされた!
途端に頭の中のモヤが怒りに変わる。
そして俺の足は、いつも彼と話す旧校舎裏へ、 流れるように動き出した。
ベンチに座って本を読んでいた彼は、まだお互いの顔が見えない距離から俺に気付いた。頭の向きはこちらに向いているが、視線がこちらに向いているかは、今の位置からでは分からない。
少しづつ近づいて行き、いつも通り百葉箱の辺りで彼の表情が見えてくる。これもまた、いつもと何ら変わりない、穏やかで、温かみのない落ち着いた表情。軽く首に角度を付け、軽く手を振った。
その顔がどうしようもなく好きで、いつもは百葉箱をスタートラインとして、自然と俺の表情は明るく、足取りは軽やかになった。
こんなにも整った顔の男を、誰もが顔が見えていないかのように振舞った。殆どの人間が彼の存在一つ一つを視界に入れなかった。
取り憑かれてるのかもしれない。
俺以外にも彼の存在に気付いた人間はいた、しかしどいつもこいつも低俗で、品が無く、恐ろしい欲を孕んだ目で彼を見た。
だが俺は違う。
この綺麗な同級生と一緒に昼を過ごすことができる。それが自分が生きてきた一生の中で、なによりも幸せで代えがたい時間だったのだ。
自分は取り憑かれた人間なのだと思った。
それだけで十分だった。十分だったのに。
地面に捕らえられているかのように足取りは重かった。しかしその枷を引きずってでも確実に彼に近付いた、動きを緩めるどころか加速している。
彼は俺の様子に気付き、怪訝な顔をしてベンチから立ちあがり、荷物を持った。
逃がすものか。
彼に向って走り出す。俺は今、他の気付いた人間と同じ、獣のような顔をしているだろう。
すると、狩られると悟ったらしい。先ほど持ったばかりの荷物を再びベンチに置き、座り込んで諦めたように再び本を開く。
息を切らした俺が正面に立っても、手元に目をやり続けている。その他人事のような態度が気に食わず、力任せに腕を掴み上げた 。
本が乾いた音を響かせて地面に落ちる。
ようやく、四角い金色の瞳は、ゆっくりと俺に向けられた。
「何かあったのか?」
いつも通りの声色、何食わぬ顔。まるで激昂している俺の方が馬鹿みたいだと、そう言われているような。お前なんて何でもない存在だと言われているような…。
何かあったかだって?
知らないフリしやがって。
「よくそんなこと言えるな!!!」
ここまで担がれてなお、落ち着いたままの人間が、こいつには相応しいのか?
あいつか?そんなにあいつがいいのか?
顎関節の奥が痒い。善人ぶったあの顔を思い出せば、喉が広がるような感覚と共に叫びを上げたい衝動に駆られる。
「何のことだよ」
惚けた顔を、唸りながら力のままに殴り付け、怒りに身を任せて地面に引き倒した。
手首を頭上で押さえつけ、顎を掴んで顔をこちらに向ける。その顔は、左頬が赤く腫れ、口角が切れていた。
彼は一切抵抗しなかった。振り解こうともしなければ、こちらを睨みつけることもなかった。
ただ、呆れたような、悲しそうな表情をして言った。
「人に見られたら終わるぞ、俺もお前も」
暴力を受けてなお、こちらの身を案じる彼に、罪悪感が胸の中でひしめく。それでも、彼を自分の手で穢そうという欲望は揺らがず、むしろ肥大していく。
「来ないよ。いつも誰も来ないこと、○○くんが一番よく知ってるよね?」
そうは言ったものの、本当に誰も来ないのだろうか?一抹の不安を拭うよう、周りに集中する。
聞こえるのは、風の音、それから風に乗せられた草木が揺れる音だけ。
そうだ、今までここで彼以外の誰かと出会ったことがあったか?
憶測が確信に変わった時、俺を縛るものは何も無くなった。
厚手のカーディガンのボタンを1つづつ外し、前を開ける。
「ずっと、ずっとこうしたかった。もう我慢できない」
それからは必死だった。夢中で舌を合わせ、啜り、奥に奥に入り込もうと彼の口内を貪り食った。溢れ続ける欲を、穢れた手段に乗せて彼に注いだ。溺れまいと必死に飲み込む彼が、可愛くて愛おしくて仕方がない。
今まで触れたくても触れられなかった場所を触った。唇、首筋、鎖骨、胸骨付近と通り、腰回りを撫でる。
「ちゅ…ん、ぷ…っ…ぢゅ〜…っ、んぁ…♡」
舌を一際強く吸い上げながら、尾てい骨から背中にかけて撫で上げる。無反応だった身体が軽くしなる。その細い曲線は、今まで見たどんなポルノよりも興奮した。
高まった感情に任せて、左の臀部をしつこく揉みしだき、シャツの上から右の乳首を噛む。
「…♡」
物語のような甲高い声は上がらなかったが、控えめな吐息と、背徳的な行為は、十分に俺の興奮を煽った。
頭と体内がぼんやりと熱い。彼と触れた場所が熱い。上がる体温と共に、思考まで熱が奪っていく。
防寒具をはだけられた彼は、さぞかし寒いだろう。俺は再び彼の口を吸い上げながら、熱く昂ったそれを、彼の腹に思い切り押し付けた。
彼と身体を密着させながら擦り付ける性器からは、今までになくカウパーが溢れ出す。
「ん、っふ…ちゅ、っは…♡はぁ…♡」
槍を突きつけられた彼は、必死に息をした。 その瞳は、さながら焦らされた女のように蕩けていて、俺の中でどす黒い支配欲が巡る。
「○○くんが悪いんだ、もっと早くこうすればよかった」
離した唇は、甘くて、少しだけ血の味がした。