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結局その後、何度も体内に精を注がれ、ようやく解放された頃には、カーテンの隙間からうっすらと日が昇り始めていた。 よほどスッキリしたのか、透は電池が切れたかのように深く眠り込んでしまったが、対する理人はひどい有様だった。
散々抱かれた身体は全身が汗と体液でべたついていて、特に下半身はドロドロに汚れている。
(あぁ、どうしよう……)
透にはダメだと言い聞かせたくせに、我慢できずに、あろうことか最後までやり遂げてしまった。 のろのろと気怠い身体を起こすと、安らかな寝息を立てている透の隣で両膝を立て、腕で抱え込んで項垂れる。
とてもじゃないが、自分自身が信じられない。いつからこんなに、分別の利かない身体になってしまったのか。 しかも相手は従兄弟だ。幼い頃から兄弟同然に育ってきた相手に欲情し、あまつさえ中で果てさせてしまうなんて、自分はどうかしている。 他人の精を体内に注がれて快感を得るなど、半年前の自分なら想像もしていなかったはずだ。
それにしても――。寝顔だけ見れば、まだまだ幼さの残る子供なのに、透にあんな獣のような一面があっただなんて知らなかった。
「童貞ってのは怖ぇな……」
蓮のように、巧みなテクニックと道具で理性を削り取られるのとは、訳が違う。相手を気遣う余裕など微塵も持ち合わせておらず、一心不乱に腰を振って己の快楽のみを追い求める。 あれではまるで獣の交尾と同じじゃないか。あんなにも荒々しく、剥き出しの熱に押し流されるような経験は、今まで一度もなかった。
(……あれは、あれで……中々……)
思い出すと背筋がゾクゾクと震え、何を考えているのかと、理人は慌てて頭を横に振った。
「……はぁ」
とりあえず、皆が寝静まっている今のうちにシャワーを浴びてこよう。もし誰かにバレたら、取り返しのつかない面倒なことになるのは目に見えている。 重い身体を無理やり起こして立ち上がると、熱を持ったドロリとしたものが太腿を伝い落ちた。
「チッ……どんだけ出したんだよ……」
舌打ちしながら、ベッドサイドに置いてあったティッシュで汚れを拭い、理人は逃げるように浴室へと向かった。
(透SIDE)
目を開けると、理人の姿はどこにもなかった。ベッドに寝ていたのは自分一人だけで、理人がいたという痕跡すら残っていない。
昨晩のことは、やっぱり夢だったのだろうか。
透はしばらくぼんやりと天井を見つめていたが、やがてゆっくりと起き上がると、大きな欠神をして首を鳴らした。
それにしても――。
「どうしよう……すっごい夢見ちゃった……」
夢の中での理人との交わりを思い出し、熱くなった頬を押さえながら慌てて自分の下半身を覗き込んだ。良かった。夢の中であまりの気持ちよさに何度も達してしまったような気がしたが、緩く昂ってはいるものの、下着の中は無事なようだ。
しかし、夢の中の理人の乱れっぷりときたら凄かった。
いつもはクールで涼しげな瞳が潤んで涙を零し、快楽に溺れきっていた。口元からは飲み込みきれない唾液が滴っていて、普段の理人からは考えられないくらい艶めかしい顔をしていた。
それだけでも充分すぎるほど刺激的だったというのに、理人の中は熱くて狭くて、きゅうっと締め付けられて凄く気持ちよかった。夢にしては妙に生々しい感覚が指先に残っていたが、現実でそんなことあるはずない。
昨夜のはちょっと、理人のキスマークだらけの裸を見てしまったから、それで変な気分になっちゃっただけだ。
うん、きっとそうだ。そうに違いない……。
透は自分に言い聞かせるように呟くと、もう一度布団の中に潜り込んで大きく深呼吸をした。シーツからは、微かに理人のものとは違う、お風呂上がりのような石鹸の香りが漂っている。
そういえば理人は一体どこへ行ったのだろう。 トイレかな? それとも……。
静まり返った部屋の中に、ドアノブの回る音が響いた。 ドキリとして、布団の中から音のした方へ顔を向ける。
「理人……」
首からタオルをかけ、濡れた髪を拭きながら理人が部屋に戻ってくる。その姿に心臓が跳ねたが、すぐに言いようのない気まずさが湧き上がって、透は慌てて布団の中に潜り込んだ。
ギシリとベッドが軋む音がして、理人の気配が近づいてくる。
「だるまさんごっこでもしてんのか?」
ククッと喉で笑う声が聞こえ、布団の上からポンポンと頭を撫でられた。
「ち、違うもん……」
目だけを出して理人を見上げる。いつもの理人だ。何も変わらない。
(……やっぱり、昨日のは夢?)
「なんだよ、宇宙人でも見たような顔して。俺の顔になんか付いてんのか?」
そう尋ねられ、透はフルフルと首を振った。
「あ、あのさ……理人。オレたち昨夜……」
「昨夜? あぁ、お前、俺を抱き枕代わりに爆睡しやがって! 重てぇし、おかげで俺は寝不足だぞ」
透の言葉を遮って、理人は不満そうに口を尖らせた。そして大きな欠伸を一つすると、床に敷いてある布団へと潜り込む。
「俺は今から寝るから邪魔すんなよ」
「え、あ……うん」
「……言っておくけど、変なことしたら絶交だからな!」
ピシャリと釘を刺され、心臓が跳ねた。夢の内容を見透かされた気がして、顔がブワッと赤くなっていく。透は慌てた様子でこくりと頷いた。
それを見て満足したのか、理人はフンと鼻を鳴らすと、背中を向けて眠ってしまった。
やっぱりアレは夢だったのか……。心のどこかでがっかりしたような、夢で良かったとホッとするような、色々な感情がぐちゃぐちゃになって押し寄せてくる。
「はぁ……オレももう一度寝なおそう……」
もしかしたら、あのエッチな夢の続きが見られるかもしれない。淡い期待を抱きながら、ドキドキと高鳴る胸を抑えて目を閉じる。
階下からは、ふんわりと甘い卵焼きの香りが漂ってきていた。
#すのあべ