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「咲ちゃん」――そう呼ばれた余韻がまだ胸に残っていた。
いつもの「妹ちゃん」じゃない。名前に“ちゃん”がついただけなのに、景色が違って見える。
イルミネーションの光を見上げながら、悠真がふと呟く。
「……もうすぐクリスマスだな」
「……そうですね」
返事をしながら、咲は自分の吐息まで赤く染まりそうで、視線を逸らした。
少しの沈黙のあと、悠真が言った。
「……もし予定が空いてたら、一緒に出かけないか?」
「え……?」
「妹ちゃんの受験勉強もあるし、長い時間じゃなくていい。……でも、俺と過ごしてほしい」
照れくさそうに視線を逸らす悠真。
胸が高鳴って止まらない。
咲は小さく頷いた。
「……はい。ぜひ」
冬の夜空の下、二人の間に温かな約束が生まれた。