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ーーー
屋上を出て真っ直ぐと玄関に向かう
…セイちゃん。会ってくれるんかな…
そんな不安が募りながらも
ナオの足は止まらへんかった。
エイキ「..ナオちゃん?どこ行くの。」
ふと後ろから声を掛けられ、
振り返ると焦った様子のエイキがいた
やけに視線が冷たい。
ナオヤ「ナオ、セイちゃんとちゃんと話すことにしてん..。」
真っ直ぐにエイキの目をみて言った。
エイキ「…セイト、またナオに酷いことするかもよ?」
ドキッとした。
あの日のセイちゃんが頭に浮かぶ。
ナオの知らないセイちゃんの顔、、。
ナオヤ「..っ。ずるいやん。」
そう言いながら唇を噛み
俯いてしまう。
怖かったのは本当だった。
でも..ナオが怖かったのは
セイちゃんだけ じゃない。
拒絶するとセイちゃんが居なくなって
しまうかもしれない。
それが何よりも怖かった。
エイキ「..俺ならそんな顔させない。ずっと笑わせてあげられる。」
そう真っ直ぐとナオの目を
見つめて言うエイキ
エイキ「わかってると思うけど、俺ナオちゃんの事…本気だよ。」
そう言うと微かに震える手で
ナオの腕を掴む
エイキ「…お願い。いかないで。俺のものになってよ。」
独り言のように呟くエイキ
ナオヤ「…っ。」
喉の奥がぎゅっと詰まり
何も言えなくなる。
エイキの事は嫌いなわけじゃない。
むしろ優しくて、いつもナオの
小さな変化に気づいてくれる。
そんなエイキの事は本当に大好きやねん。
でも…
ナオヤ「エイキくん、ごめんね。ナオは、エイキくんの事だいすきやで?でもな、それは友達としてやねん。友達として大切で、大好きやねん。」
言葉を口にした瞬間、喉の奥が痛んだ。
エイキの顔を見ていると、自分が酷いことをしている気がしてしまう。
泣きそうになるのをグッと堪えて
初めて心の中の本音を口にした
ナオの腕を掴むエイキの手に力がこもる。
エイキ「…それでも。セイトのとこには行かせられない。お願い。もうナオが傷ついてる所見たくないんよ、、っ」
″お願い、お願いやから″そう何度も
ナオを引き止める声が頭に響く
ナオヤ「傷つくかもしれんけど…ナオはセイちゃんに会いたい。」
″それがナオの答え″ そう言って
エイキの手をそっと掴んでギュッと握った。
ナオヤ「エイキ、ナオの為にありがとう。ナオ、行ってくる、、。」
エイキの顔を見られなくて、ナオはそっと視線を落とした。
胸の奥が苦しくて、何度も瞬きを繰り返す。
それ以上何も言わないエイキの
手を そっと離して、 学校を後にした。
ーーー
セイトの家が見えた瞬間、
心臓が嫌になるほど大きな音を立てた。
会いたい。
怖い。
会いたい。
怖い。
頭の中で正反対の感情がぶつかり合う。
ナオヤ「…。」
制服の裾をぎゅっと握りしめる。
こんなに緊張するのはいつぶりやろう。
ドアの前まで来たのに、
インターホンを押す指が動かない。
押してしまえば、もう後戻りできへん気がした。
何度も引き返したくなる衝動に駆られる。
ナオヤ「…大丈夫や。」
自分にそう言い聞かせて、ナオはゆっくりとインターホンを押した。
しばらくして
″…はい。 ″
インターホン越しにセイトの声がする。
ナオヤ「せ、セイちゃん…」
呼ぶだけのはずやのに、
上手く声が出なかった。
セイト「…。帰ってや。」
機械越しに聴こえるセイトの冷たい声。
手汗が滲んで指先が落ち着かない。
心臓がドクドクと脈を打つ。
息が上手く吸えない。
…どうしよう。
どうしよう、どうしよう。
頭の中で同じ言葉ばかりがぐるぐると回る。
落ち着かなあかんのに、全然落ち着けへん。
ナオヤ「…セイちゃっ..、お願い..開けてやっ..」
息を吸っているはずなのに苦しい。
絞り出すように、セイトの名前を呼んだ
セイト「…」
無言のまま、数分は経ったと思う。
″ガチャっ″
顔を上げるとドアを開けて
苦しそうに顔を歪ませたセイトがいた。
ナオヤ「..会いたかった、。セイちゃん。」
さっきまで喉の奥が閉まったように
出なかった言葉達。
セイちゃんの顔を 見た瞬間、
不思議と溢れでてくる。
ナオヤ「ナオ、会いに来たよ。セイちゃんに、。」
真っ直ぐとセイトの目を見つめて伝える
セイト「…っ。..お願いやから、帰ってやっ..」
ナオヤ「セイちゃん..、だいじょうぶやで。」
唇を噛み締め、言葉を絞り出す
セイトに、 そう笑ってみせる。
けれど目頭の熱だけは誤魔化せなかった。
滲む涙に気付いてか、
セイトがそっとナオの頬に手を添えて
目尻の涙を拭ってくれる。
ナオヤ「..セイちゃん。」
短く名前を呼んで、セイトの手に
自分の手を重ねる
セイト「…っ、、、ごめん。」
そう言ってサッと手を離すセイトの手を
追いかけるように手に取り、ギュッと握った
ナオヤ「お家、入れてくれへん..?」
恐る恐る問いかける
セイト「…」
セイトは無言のままナオの手を引き
部屋へと入っていった。
コメント
1件
うわあ、第21話、すごく胸が締め付けられました…。ナオがエイキに「友達として大好き」って伝えるシーン、あれは本当に勇気がいる選択だったと思います。エイキの「俺のものになってよ」も切実で、どっちの気持ちも痛いほど伝わってきました。そしてセイトの家の前で震えながらインターホンを押すナオの心情描写が細かくて、読んでるこっちまで息が詰まりそうでした。最後にセイトが手を引いて部屋に入れてくれたところで、やっと一息つけた気がします…。湊さん、この三角関係の描き方が本当に繊細で素敵です。続きが気になります!