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第3話 敵は身内に
翌朝、私は首相官邸からの電話で目を覚ました。
受話器越しの声は、冷たかった。
> 「すぐに党本部に来ていただきたい。青山会長がお待ちです。」
沈んだ声――だが、その静けさが何より怖かった。
私はカーテンを開ける。東京の空は、昨日と同じく晴れていた。
だが、肌に当たる空気は明らかに違う。
“裏切り者”となった男に吹きつける風は、鋭く、乾いていた。
◆ 自民党本部・会議室
青山幹雄、野川広務、亀田静香。
そして、顔をしかめた福本康夫が、私を睨みつけていた。
ここにいる全員が、森谷政権を守ってきた男たちだ。
そして、ここにいない全員が、私を見捨てた者たちでもある。
「お前は、何をしたかわかってるのか?」
野中が言った。声は低く、しかし怒気を抑えきれていなかった。
「派閥の領袖としての責任を果たしたまでです。党の未来のために。」
私はそう答えたが、喉の奥が震えていた。
> 「未来?お前にそんな器があると、本気で思ってるのか?」