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見つけた。
草むらに隠れながら、雪乃はその3人組の居場所を突き止めていた。
少し開けた場所に、その男子生徒3人と、チラーミィ。
チラーミィは怯えた様子もなく、いつものように楽しそうに笑っていた。
さて、乗り込むか。
チラーミィの無事を確認した後、雪乃はこっそり奴らの背後を取るために動こうとした。
「待て」
突然、背後から肩を掴まれた。
素早く振り返り、裏拳をお見舞いする。
しかしパシッと片手で受け止められた。
そしてその人物の顔を見て、固まる。
「ストップ。俺や」
そこにいたのは、天の人。
緑の悪魔たちと一緒に来ていたのは知っていたが。
「…何でいるんですか」
裏拳を放った右手を下ろしながら、相変わらず顔にかかった紙で表情が見えないその人を見つめる。
「俺もあいつらを追ってたんや」
そう言いながら指差す方向にいたのは、チラーミィを攫った3人組。
「何か昨晩からコソコソ動いとったから、怪しいな思って見張ってたんや。
あれ、チーノのチラーミィやろ」
「…知り合いなんですね」
「え?まぁ、そりゃ…って、おい!」
続く言葉を聞かず、雪乃は動き出す。
世間話をしている場合ではない。
「どこ行く気や!」
「あの人たちに用があるので」
「お前、1人で乗り込むつもりか!?」
「声が大きい、静かにしてください」
しーっ、と口の前で人差し指を立てれば、自ずと黙り込む。
「別に1人でも大丈夫です」
「3人相手に無理に決まってるやろ」
「…じゃあここで見ててください」
説明するのも面倒だ、と雪乃は姿を消す。
隣から忽然といなくなった雪乃に、天の人…ロボロは驚いた。
「あいつこねーな」
男が1人呟く。
「ビビって逃げちまったんじゃねーの?」
もう1人が笑いながらそう言う。
「もう日が登るけど…こいつどーする」
更にもう1人が抱えていたチラーミィを見つめながら2人に聞く。
「そりゃあ、約束通り…」
「約束通り、なに?」
背後から突然聞こえてきた女の声に、3人は驚き振り返った。
しかし、そこには誰もいない。
「な、何だ、誰だ!?」
「あいつの事なんてどーでもいいけど」
再び声が聞こえてくる。
今度は頭上から。
パッと男たちは上に視線を向ける。
やはり誰もいない。
「おいこら!出てきやがれ!」
そんな恐怖体験に怖くなった男たちはポケモンを出して臨戦態勢になる。
「ポケモンを傷付ける奴は許さない」
今度はどこだ!?とキョロキョロする男たち。
そんな中、中央にいた男子生徒が突然倒れた。
「ひっ」
「誰だ!?」
そこに現れたのは、赤い髪に黒いマフラーを巻いた少女。
「返してもらおうか」