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雲一つ無い、大きく光輝く月が綺麗な夜に。
町外れだ小さな墓地で、私は蘇った。
いや、正確には産まれたというのが正しいのかもしれない。
それは、正解でもあり、間違いでもある。
腐った土から矧いでて、汚れた体を洗うため。
誰もいないと思われる教会に入った。
そこにある、聖水という名のただの水で土まみれの体を洗い流した。
しばらくして、墓地に捨てられたスコップを使って、別の墓を掘り起こして死者達の衣服を剝いで、身につけた。
自分には合わない、少し紳士的な服ではあるが、何も着ないよりはましである。
多少、傷んではいるが、後で直せばいい。
ようやくニンゲンらしい身なりになったが、これからどうしようか考えていた。
私は、何者なのか。
人間? 悪魔? 死人?
墓から這い出てきたところを見る限り人間ではないだろう。正しく言うならば、元人間。
しかし、何の理由があって蘇ったのか。
もう一度、自分に問いかける。
私は何になりたかったのか。
私は、純粋な悪の存在だ。
私は…。
私の名前は…。