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コメント
3件
居場所がすんごい😳❕
この小説の曲だったんですね…!!!(嬉) 歌詞を頭の中で歌いながら見るととても楽しいです…!!
Ⅰ宿命
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2022-6-29
knside
朝。7時に家を出た俺は、
綺麗に舗装されたアスファルトに
足を踏み入れる。
今日は雲ひとつ無い晴天で、
6月下旬にしては珍しいと感じる。
昨日や一昨日は土砂降りで、
あまり良い気分では無かったからだ。
だからといって
この空模様に喜んでいる訳では無い。
言ってしまえば
どうでもよくてつまらないものだ。
髪を揺らしていく風も
熱気を帯びた空気も
太陽の痛い日差しも。
全部どうでもよくて、なんでも良くて
俺には一切関係ない
ただ、たまに身を委ねて、
そのまま溶けてしまいたくなる
それだけだ
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今年の四月。
俺はこの高校に入学した。
1人で。
俺の事を裏切った奴がいたからだ
気づけばいなくなっていた
彼、nkは
入学式の日の朝、
信号無視をした軽乗用車に轢かれたという。
最初は悲しくもなんともなかった
多分、無いに等しい現実味を
素直に受け入れられなかったからだと思う。
でも時が経つにつれ、
喪失感というものを感じるようになって
最終的に俺の中には何も残らなかった。
寂しいだとか、苦しいだとか
そういう感情すらなかった
無くなった筈だった
俺は徐々に居場所を見つけた。
放課後の校舎裏。
俺の強さに
へらへらと寄ってきた奴から倒れていく。
残酷なことだ。
拳を振るい、足で捻り潰す。
そのどこかに何故か快感があった
毎日、毎日。
あっちの気が済むまで殴り続けると
血だらけになった自分を少々嘲笑う。
kn「あいつが見たらどう思うかなぁ…ッ…w」
きっと今の俺は、
人を殴ることで自身の価値を得ていて、
優等生の彼からしたら
胸の痛む行動だろう。
でもそれは仕方ないのだと、
俺が俺でいるための手段なのだと
言い訳で脳を埋め尽くす。
こんなのただの正当化だ。
彼がいなくなっていなかったら、
俺はまだ正常なままでいれたのだろうか?
それだけは間違いなくて。
彼のせいでこんなにも変わり果てて。
って…、阿呆らしい。
全部俺が悪いのに
解ってるのに
しつこいほどに縋り付いてくる相手を、
片付けなければならなくて。
これが俺の宿命なんだ。
そう思えてしまうほど、
この生活に溶け込めてしまいそうだった。