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キャンセル…!?!?
すき
陽キャってすごい…
Ⅱ少年
______
knside
彼がいない今、俺は拳を振るい続ける。
そんな日々が続いた。
無い筈の寂しさを必死に誤魔化していた。
ある日それが馬鹿馬鹿しくなった。
この行為は彼を裏切っているのも同然で、
何よりヒトを自傷道具の様に
扱っているのだから。
だから、やめた
kn「俺はもう喧嘩なんてしねぇよ、」
そう吐き捨てて逃げ出した。
2023年7月9日。
それは儚い夏だった。
______
さぁ、何をしようか
この時間に家に帰っても居場所なんてない
だからといって
何か目処が立っている訳でもない
俺は、
“あの頃の自分”は、
一体何をしていたのだろう。
__「○○小から転校してきました、
[nk]といいます、
「好きな食べものは甘いもの、
好きな色は水色です。」
「よろしくお願いします、」
微笑んでいるというか、
ぱっと明るい表情というか、
そんな顔をして淡々と言葉を並べる彼。
それは間違いなく俺の脳裏に浮かんだ、
“あの日”の君だった。
小学5年の春だったかな、
少し頭のいい所から転校してきた
茶髪の少年らしかった
俺のクラスに来ると聞いて、
ちょっと期待してしまっていた。
どんな人なのだろう、
仲良くなれるかな、
そんな純粋なことばかり考えていた。
“あの頃”の俺は引っ込み思案で、
比較的落ち着いた性格だった。
周りに合わせることばかり考えていた。
それが今は………
いや、考えないでおこう。
『
nk「…ねぇ君、名前なんて言うの?」
kn「ぇ、あッ……[kn]………です…。」
nk「そっか!!僕nk。よろしく!」
kn君って呼んでもいいかな?」
kn「あ…いい、…よ……」
nk「ありがとう!!」
』
確か馴れ初めはこんな感じだった気がする。
彼は眩しかった。
澄み切った青空のような瞳だった。
儚いような、透きとおった笑顔だった。
俺は動揺した。
なんで俺なんかに話しかけてくるのだと
話しかけてくれる意味が、
俺にはわからなかった。
成績が良くなるから?
人と仲良くすればいい評価がもらえるから?
そんなことばかり考えていた
nk「ねぇkn一緒に組も!!」
「あ、ここの問題?それはね_」
彼は他の人にも愛想を振りまきながら、
親切にこっちにも気を配ってくれた
そんな2年間だった
気づけば互いに変わっていた
nk「なぁkn、中学どこ入んの」
kn「…別に、近いとこ。…適当に」
nk「え〜、つまんなくない!?」
「一緒にどっか受けようよ、ね?」
kn「…いや〜まあいいけど……、」
小6の秋。その彼の一言に酔って
毎日日が暮れるまで居残って勉強した。
分からないところはお互いに聞いて、
教えあって、
そんな日々を送りきったある日
不合格通知が届いた
落ちたのだ
ああ、もうあいつとは離れ離れか、
悲しくなった
もう一緒には居られないのだと、
悔やんで、悔やんで
迎えた春だった
nk「ね、俺キャンセルしてきた。中学」
kn「え……」
なんで…?