単行本4巻 第25話 ふるさと からにお視点でお送りします!
会津藩のお預かりになったことを記念し、八木家の当主・源之丞さんから樽2つ分のお酒をいただいた。
そのお酒を片手に、 “第ー回 ミブロ大酒飲み大会 ” が始まった。
僕と太郎くんは元服してないので飲まないけど、一くんは一口飲んで襖にもたれかかってしまった。
「皆さん楽しいこと大好きですもんね。可愛らしい」
ふくふくと笑うゆうさんの手に、お猪口はなかった。
「ゆうさんは召し上がらないんですか?」
「僕は今回何もしていないので、皆さんのお酒をいただくのは申し訳ないかなと。元々こちらの方が性に合ってるしね」
ゆうさんはお膳に味の濃いおかずをいくつか乗せてやってきた。左手のお膳には緑茶が乗っている。
その言葉を聞いて、皆さんは水臭いだのお前も仲間だの話していて、ゆうさんもそれを突き放す訳でもなく受け取っていた。
「どうぞ!」
僕が注ぐと、ゆうさんは「悪いねぇ」と一言言ってお酒を呑まれた。僕らに対してもしたからの態度を崩さないゆうさんは、きっと自己肯定感が低いのだと思う。柔軟な性格とも言えるそれは、ばぁちゃんに拾われた僕からしたらなんとなく理解しやすいものだった。
ゆうさんがお酒を飲む様子は不思議で、周りの皆さんのように笑い上戸にもならず、かと言って山南さんみたいに柱に話しかけることもなく、つまりまぁ、普通だった。いや、原田さんみたいに戻してしまうことがなくていいんだけども!
「お酒、お嫌いでしたら無理に飲まずとも、」
無理強いしたんじゃないかと心配になり尋ねると、ゆうさんは少し色っぽい顔で「ん?全然?」と話した。ゆうさんって普段あんまり自分のことをお話にならないから、ミステリアスなんだよな。
「そいつは酒好きだぞ。そう強くもないがな」
見れば、土方さんが片膝を立ててゆうさんを横目に見ていた。
「普段から果実酒を好むし、人と関わる仕事をしているなら宴にも参列するだろう。表情には出にくいから、普通に昼間から飲んだりする」
意外!!芹沢さんがお酒好きなのは知っていたけど、ゆうさんもだったんだ。
「おい、空腹で入れたんじゃないだろうな?」
「お酒は太らないからいいじゃないですかぁ」
「お前は肥えろよ」
「そう動けもしないのに肥えたって仕方ないですよ」
ゆうさんがお酒を飲む姿を見ると、ますます女性っぽいと思う。密度が多く、長いまつ毛を伏せ目にして、皆さんの様子を少し遠くから見つめるゆうさん。どこか寂しそうな、目を離したらいなくなってしまいそうな、この雰囲気はなんだろう…..。
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