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幸せそうな家族が突如として残酷に変わった。
「祐華起きなさい!」
いつも朝はお母さんに起こしてもらう。なんの変哲のない朝。そして、お姉ちゃんの運転で学校に行って、お母さんの作ったお弁当を食べて、部活の後は、お父さんの迎えで家に帰る。私達は、周りから羨ましがられるほど幸せな家族。
「歩いて帰るから」と家から近いコンビニの前でおろしてもらい、姉には先に帰ってもらった。
「本当の幸せは何だと考えますか?」道端で通りかかる人々にそう呼びかけている人がいた。いかにも怪しい雰囲気だ。ふと目があってしまった気がして、早足でその場をあとにした。
「ただいま、今日の練習キツかったぁ!」休憩がてらソファに寝転がる。鍵を占め忘れたことに気づいたけど後でいいや。
みんなから「おかえり」が返ってくる。
「汗臭いから早くシャワー行ってよ」
「お姉ちゃんうるさい、お姉ちゃんは居候やめたら」
「な、生意気な」そして私の上に座る。重いと思ったけど、ソファを占領した私が悪いし、悪い気もしない。
「あと少しでご飯よ!」
「今日は何だ?何だ?」
ほんとに仲のいい夫婦だな。喧嘩した姿を見たことがない。
玄関の扉が開く音がした。こんな時間に、お隣さんだろうか。前々から思ってたけど少しずれてる人なんだよな。キッチンにいたお母さんとお父さんが向かった。
ドアのすりガラスに赤色の花が咲いた。それと同時に甲高い悲鳴。瞬時にそれも無音へと変化した。
神経がぶつかり合い、体が動かない。
ドアが開き、誰かが入ってくる。ドアの先は壁の影になって見えない。ただ、姉には見えたのか顔が赤くなり、震えている。
姉の頭にナタが光る。そして、私に倒れ込んできた。姉を邪魔だと思った。これじゃ私も。苛つく気持ちと閉め忘れの後悔。
幸せがほしかった。
「速報です。〇〇市にある一軒家から4人の死傷者が見つかりました。3人は、死亡が確認され、一人は意識不明の重体です。また、犯人は未だ逃走中と見られています。」