あの子の名前はまだ分からない、ただ1つ「愛」という1文字が入ることだけ分かった。
『ふぅ、いつになったら退院出来るの〜?』
確か今日も幻太郎が来る。次はどんな小説を書くのだろう、たまには本屋にでも行って買いに行こうか…?
『幻太郎有名な小説家さんだしな〜残ってるかな?』
幻太郎なら「あげます!」みたいなことを言ってきそうだ、もし言われたとしても気が悪いのでちゃんとした対価を払って買いに本屋さんに行こう。
ガラガラガラ
噂をすれば何とやら早速幻太郎が来た、そう思っていたけど…
『乱数、昨日ぶりですね』
『よぉ!乱数!久しぶりだな!』
『だい、す?え、なんで?忙しいはずじゃ!』
幻太郎の隣にいたのは紛れもない、帝統だ。まだ東方天乙統女の息子ということで騒がれているのにこんな所に来て大丈夫なのだろうか?
『俺も倒れたってこと聞いたんだよ』
『え?帝銃もそれ知ってたの?』
『ったりめーだろ俺たちPosseだろ?』
『っ?!……あはっ、あっはは!』
なんだ、それ、久しぶりにそんな言葉を帝銃から聞いた、どれだけこの言葉を求めていただろうか、どれだけこの言葉が今、嬉しいだろう。
『そーだよね!ボク達Posseだもんね!』
あぁ、これがホントの友情なのかな、久しぶりな感じがする。この2人に会えて、よかった、中央区の指示とはいえこの2人と出会えて本当によかった。
『……あの、ですね、乱数』
『なーに?』
『決めました、もうすぐ貴方も退院出来ますし』
『え?どういうこと?何を決めたの?』
『あのなー!乱数、お前の探している相手、探すぞ!』
一瞬何を言っているのか分からなかった、やっぱりこの2人はアイツ等と違った。でも、傷つけたくないのではなかっただろうか?
『でも、傷つけたくないって』
『もちろん、その通りです。相手を見つけ出すまでその人の名前などは秘密ですよ、見つけて見た時に貴方の気持ちを聞かせてくださいね』
『おうよ!』
その言葉には不思議と魔法がかけられたかのように暖かく感じた。嬉しい、そんな感情で顔が自然とニヤけてしまう……変な顔になっていないだろうか?
『うん、うんっ!』
目に涙を溜めながら心からの笑顔を見せた。幸せという感情をまた新しく知る、クローンだから感情を持っているから失敗作だと、もう、そんなことも言われない、自由なんだ。
『貴方を否定する人はいません、またその心からの笑顔を見せてくださいね!』
『もちろんだよ、幻太郎』
『乱数、また泊めてくれ……』
『帝銃、またなの?呆れた〜!いーよ、その変わり幻太郎もね!』
『しょうがないですね、付き合いますよ』
そうだ、思い出した、このわちゃわちゃした時が本当に楽しかったんだ。こうやって今でも、
『やっぱり、FlingPosseが優勝だよね!』
『ええ、そうですね』
『だよな!』
『『『あははっ!!』』』
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