テラーノベル
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主演 天馬司
エンドロールに映る愛しい恋人の文字。
その下には今話題の女優や新鋭な若手俳優の名前がピッタリとくっついて流れている。
このドラマは三角関係を綺麗に展開させていくことで注目を集めている。
僕も、一視聴者として、演出家として見ていた。
けれどあのひとつのシーンで何かが砕けた。
普通に見るなんて無理だった。
ドラマなんて錯覚。
恋人として見るあの映像は僕をひどく不安にさせた。
彼を手に入れている優越感よりも、弱い自分は不安になっている。
『__好きなんです!』
テレビの中の、ヒロイン役が叫ぶ。
ここまでは、学生の頃に何回か見た。
だから…
『俺も、本当は…』
『 好 き 』
「見たこと、ない…」
分かっている。ドラマだってこと。演技だってこと。
なのに。
彼の「好き」はあまりにも本物の「好き」に見えて。
分かっているんだって。司くんはそれほど上手に役に入り込み、掴んでいることを。
人をこんなにも乱せるほど本物のように演じられていることを。
知っているのに。
いつも僕のところに帰って来る。
僕にしか見せない、聞かせないものがある。
必ず続く言葉は
『恋はする予定がない』、から。
『好きな人がいるから』。そして。
『恋人がいるから』
______『ごめん』
「そうだったでしょ…?」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だこんなの絶対嫌!!
涙が目に溜まっていく。
情けない自分が嫌。
分かってるって言うくせに本当はちょっとも受け入れてない自分も嫌。
私情とのメリハリもつけられない自分も嫌。
司くんとの関係を信じられてない自分が嫌。
「あぁ…!」
ふわっと笑い自らキスをする司くん。
嬉しそうに女優が目を閉じ司くんと唇を重ねる。
恐ろしいほど整えられた主演と綺麗に飾られた女優。
恋人が、他人とキスをしているんだよ?
仕事柄上、やむを得ない。
ショーが好きな僕らだ、そこは割り切れるし。
僕だってショーや演出、演じることは好きだ。
何が言いたいのだろう。
文脈として繋がらない文字の羅列。
でもあまりにも自然に笑うんだ。あんな顔でキスなんてされたら。
これも女優さんに対する冒涜になるかもだけれど、考えてしまうのは当たり前だろう。
物語の時間は進む。
今もテレビの中の彼らは____お互いを愛し合っている。
「も、もう、むり…っ」
一人で小さく呟き、乱暴にテレビを消す。
あの物語がなければ、司くんは僕のもの。
涙がぼろぼろと零れ落ちる。
みっともないなぁ。
もう司くんが帰ってくる時間だというのに。
笑って、優しく迎えてあげないといけないのに。
疲れている司くんに気を遣わせるなんてあってはならない。
…だとしたら怒られるかな。
呆れられちゃう?
捨てられる、かも。
そしたら?
整えられた彼らが集まる踊り場は、逆を返せば綺麗な人とすぐに繋がれる環境。
こんな風に考えたら尚更彼に嫌われてしまうね。
そしたら、司くんは…
でもそれ以上に。
僕は司くんを愛している。
僕のものだから。誰にも渡さない。
先程までの不安が歪んだなにかに塗り替えられていく。
驚くほど強くなった気がした。
誰かに取られそうになったら監禁すればいいし。
僕は司くんがいないと生きていけないんだから、司くんもその際はそうなればいい。
僕がいないと生きていけないようにしちゃえばいい。
大好き。誰よりも愛してる。絶対渡さない。
司くんが返ってこれるのはここだけなんだから。
_______ここだけにしてやる。
これも愛だよね?
司くんをこんなに思っている、愛。靉。哀。隘。
それくらい俺は司くんが大事で好きなんだから。
「類〜ただいま!」
そして。
(あ…閉めた)
収容を籠めた鍵に赦しを。
コメント
3件
あ、しにます いや死んだら人生89週目になるから爆発で済ませときます ぼーん。
え、え、え、好き…🫶🫶🫶🫶 まじでこういうの大好き愛してる 最高ぅ👍️👍️👍️