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うわあ、この第6話、めっちゃ良かったです……! 普段から距離が近いバンドメンバー同士の、罰ゲームで急に発生したキスシーン、若井くんの動揺がすごく伝わってきました。「柔らかかった」「もっと顔見ておけばよかった」って、もう完全に元貴に意識持ってかれてるじゃないですか(笑)。酔いが一気に覚める感覚、すごく共感できました。続きが気になります!
「お疲れ様でしたー」
「ありがとうございましたー」
番組の収録が終わり、イヤモニを取り外しながらテレビ局の中を歩き楽屋に荷物を取りに戻る。
「いやあ今日の収録めっちゃハードだったねえ」
「いや、本当に、涼ちゃんのあのポーズ何よ、逆に怖いんだけど!」
「ねえっ!やめて!もうっ!忘れてよお」
ケラケラと元貴と涼ちゃんが笑いながら今日の番組収録を振り返っている。
元貴はツボに入ったのか爆笑していて、涼ちゃんのポーズを真似していた。
俺たちは気がついたらあらゆる賞を頂戴し、冠番組をも持って活動しているバンドになってしまったわけだが、楽屋の雰囲気は変わらず、いや、以前より幾らか空気が柔らかくなっただろうか。
きゃっきゃと黄色い声が響く楽屋で各々着替えを進め、着替え終わってソファで寛いでいると、勢いをつけた元貴が俺の膝に座ってきた。
膝というか、勢い余ってお腹にも圧がかかり、ウッ!と声をあげるも、元貴は素知らぬ顔でスマホをいじっている。
当たり前のように俺の上に座ることが、どうしようもなく俺の心を高揚させ、文句を言わないまま、こちらもこちらで素知らぬ顔をしてスマホをいじった。
「ん!ねーねー、今日このあとオフじゃん。且つ、なんと、明日の午前も3人ともオフ、という」
「え、珍しいね、タイミング重なるの一ヶ月ぶりとかじゃない?」
「そうね、明日の午後以降しばらくは、また真っ赤赤で真っ黄黄で真っ青青よ」
そう言って元貴はメンバーカラーごとにスケジュールが書かれている共有カレンダーを俺にも見せてくる。
「えーみんなで久しぶりにご飯とか食べちゃう?」
「んー、僕それでいうと今ちょっとダイエット中なんだよね」
「そうだっけそういえば、じゃあ、若井ん家でスマブラ会とかはどうよ、Uberとかして」
「え!アリ、いいじゃんそれ。若井、お家行っても良い?」
もちろん、と明るく答えれば、元貴が俺の膝の上から立ち上がり、「じゃ、行きますか!」と号令をかけるので、わーいと声をあげてみせた。
「ねえっ!ねえっ!僕ビリ!!なんで元貴僕にばっかり意地悪すんのお!」
「んふふふ、ふはは、ちょっと、弱すぎるって」
「ちょっと、もう!」
テレビ画面からスマブラのカラフルな光が飛んで、部屋がピカピカと照らされるのを見ながら、涼ちゃんの泣きっ面をニヤニヤとしながら横目で見る元貴を見ながら、少し冷めたピザをひと齧りしながらソファに横たわる。
「あー、ちょっと、若井は飲みすぎね」
「いやぁ!そんなことないよ!」
「いやいや、酔ってる酔ってる」
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いつの間にか空いて転がった缶を横目に、ゴロゴロとして見せる。
ゲームは接戦を極め始め、本来スマブラにめちゃくちゃ強いはずの元貴も酔ってることを示していた。
「お、今回は、涼ちゃんが勝ちね」
「やったあ」
「ん〜〜なになに、罰ゲームはなんですかあ」
「若井、明日スタジオ遅刻したら怒るからね」
いつの間にか導入された罰ゲームルールはゲームのスリルをより押し上げ、俺たちは更に白熱していた。
「んーじゃあ、元貴がー、若井に、キス!」
「えっ」
「え〜若井にキスぅ?」
ったくしょうがねぇなあ!と元貴は演技がかっていうが、俺はホワホワとした酔いの感覚からいきなり目が覚める思いだった。
「え、なになに、元貴さん、え?」
「ほら、顔こっちよこしんしゃい」
グイ、と顔を元貴に向けられ、顔が近くなる。
ハッとさせられるような黒い双眼がこちらを見つめていて、唾を飲む。
少しだけ空いた唇に目を取られて、凝視してしまう。酷く形の整った唇。
思わず恥ずかしくて目を強く瞑る。
「きゃあ〜っ、元貴くん、口にしちゃうんですかぁ!大胆!!」
涼ちゃんの黄色い声と、唇に残ったあまりにも柔らかすぎる感覚に、自分は、唇にキスをされたのだと、後から理解した。
ガッと火照る顔の感覚を猛烈に感じながら目を慌てて開けるともう元貴はいそいそと自分の場所に戻り始め、はい、次々〜なんて、次のゲームの話をし始めていた。
「ちょ、ねえ、なんで口にしたの?!」
「こーゆー時はしないほうがダサいの」
「流石元貴、おっとこまえ!」
動揺する俺を前にゲームコントローラーでガチャガチャとキャラクター選択している元貴は、あんまりにも酷い。
涼ちゃんは涼ちゃんで、まぁ確かに普段から距離の近い俺たちではあるけど、あまり気にしていないようで、楽しそうにポテチを摘んでいた。
俺は柔らかかった、とか、もっと顔見ておけばよかった、とか、やっぱり元貴はわかっててやったんじゃないか、とか、湧き立つような感情の嵐を持て余していて、誤魔化すように近くにあった缶チューハイを飲み干した。