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夏休みの初恋

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夏休みの初恋

6 - 第6話

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2023年07月02日

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「本当に、すっくん?」

「うん、この歳でそう呼ばれるのは恥ずいけど。」

匡は書庫の壁に寄りかかる。

「私ほんの少しだけ期待してた。

あの手紙をくれたのがすっくんだといいなって。」

なっちゃんは書庫に並んだ本を眺めながら言う。

「ごめん。俺、この本のことすっかり忘れてて、、」

「そっか。そうだよね。」

なっちゃんは少し悲しそうな顔で笑う。


「その、、捜し物っていうのは、、?」

「いいんだ。別に大したことないから。」

なっちゃんは匡に背を向ける。

「あの、俺思い出したことがあって。」

「なに?」

なっちゃんはまだ背を向けたままだ。

「あの頃、なっちゃんの作る話を聞くのが毎日楽しかった。

だから、その、、約束を破ってごめん!」

匡がそう言うと、なっちゃんが驚いた顔で振り向いた。

「覚えてくれてたんだ、、」

なっちゃんは少しうつむいて言う。

「なっちゃんの名前を見て思い出した。」

「そっか。」

なっちゃんの目は少し潤んでるように見える。


「ねえ、この本の結末覚えてる?」

「えっと、、最後は確か、、、

成長した少年は、夢の中で出会った少女と現実の世界で再会する、、?」

「そう。なんか、、今みたいだね。」

なっちゃんが昔と変わらない笑顔で笑う。

「そうだね。」

匡も笑う。


「実はあの約束、まだ破られてないんだ。」

「え?」

匡は驚いて聞き返す。

「私が初めて作った話、まだ誰にも見せたことない。」

「そうだったんだ。」


「もしよかったら、初めての読者になってくれませんか?」

なっちゃんがまっすぐこっちを見て紙の束を差し出す。

匡もなっちゃんを見つめて答えた。

「もちろん!」



受け取った紙の1番上にはこう書いてあった。


“夏休みの初恋”

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