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「 木洩れ日の奥で 」
もりょき (虐待 嘔吐表現 有
涼架side
「 っ…..は、ぁ…..っ、ごめんなさい ….. 」
冷たい空気に、泣き声のようなうわ言が混じる。
放課後の裏庭、今日も元貴はひとりでうずくまっていた。
だが、今度は 様子がおかしい。
涼架は駆け寄ろうとして、寸前で足を止めた。
触れてはいけない。わかってる。
けれど、それでも。
「 …..元貴、大丈夫 ? 」
声をかけると、元貴の体がびくりと震える。
顔を上げた彼の額には、汗が滲んでいた。
「 …ッ …..あつ…….い 」
その一言で、涼架はすべてを理解した。
息を詰めて 震える手で上着を脱ぎ、そっと元貴の前に差し出す。
「 着なくていい。けど、せめて 寒くないように。……それと、水……買ってくる。待って 絶対すぐ戻るから 」
元貴は答えなかった。
ただ、ぶるぶると震える指先で、地面を掴むようにしがみついていた。
自販機までの道のりを、涼架はほとんど駆け抜けた。
息が上がる。喉が痛い。でも 構ってられない。
「 …..ちくしょう、もう…!! 」
戻ってきたとき、元貴はその場で嘔吐していた。
涼架は反射的に膝をついたが やはり触れられないことを思い出して、拳を握りしめる。
「…..っ…ごめん、ごめん …..!」
泣きそうな声で、涼架が水を差し出す。
ほんの少し、元貴の指がそのボトルを掴み、震える手で口元へ運んだ。
ほんの一口、だけど それだけだけで
「 …..ありが、と 」
その言葉に 涼架の胸が熱くなった。
苦しげな顔のまま、それでも元貴は 小さく礼を言ったのだ。
それだけで、報われた気がした。
病院に連れて行くことはできなかった。
元貴は、医者も、誰かの手も、まだ受け入れられない。
でも涼架は それでもいいと思った。
この日を境に、彼のリュックにはいつもタオルと水と薬用シートが入るようになった。
「 保健委員でもないのに 」なんて笑う友達の言葉なんか、どこ吹く風だった。
この子を 放っておける訳ないだろ。
元貴がくしゃみをしただけで、涼架の心は揺れる。
顔色が悪ければ、胸がざわつく。
そのくらい いつのまにか、気づけばもう、彼は誰より大切な存在になっていた。___
#2.「 熱と冷たさ 」
ほんとに儚い。これ以上に大森さんを表す言葉はあるのだろうか。
コメント
2件
え、見るの遅れちゃった😿 なんですか、この儚いお話は(( もう一個一個の表現の仕方が好き過ぎる💞 ほんとにこのお話でもりょき克服したわ(( 続きめためた楽しみ!!