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ぽん
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とうめい
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ぬぷっ。
「ぁっ……!」
抵抗する間もなく、二本の指が私の中へと入ってきた。
まだ十分に濡れていないはずなのに、いとも容易く、根元までずぶりと挿入される。
そこから、滑らせるような手淫が始まった。
「んっ、あ……っ、ちょっ……」
最初はゆっくりだったストロークが、次第にスピードを上げていく。
ぐちゅっ、じゅちゅっ、と、私の中から溢れ出した蜜が指に絡みつき、卑猥な水音が増していく。
「あ、ぁっ、だめ、ルシアンっ……!」
どんどん激しくなるピストン。このままじゃ、またあのパニックになるような激しい絶頂を迎えてしまう。
怖くて、私は必死にルシアンの右手を両手で掴み、止めようとした。けれど、彼女の腕はびくともせず、無慈悲なまでに正確なリズムで私の中を掻き回し続ける。
「いやっ、やだ……ぁ……あ゙、あ゙っ、いく……っ!」
だんだんと腕から力が抜け、ルシアンの手を抑え込んでいた私の手は、ただ彼女の腕にすがりつくだけになっていた。
目の前が白く弾け、私は絶頂の波へと突き落とされた。
「あ゙、ぁ……ぁぁ……っ」
全身が跳ね、膣口がルシアンの指をきゅうっと締め付ける。
――けれど。
今回の絶頂は、何かがおかしかった。
いつもなら、息ができなくなって、頭が真っ白になって、恐怖と虚脱感に襲われるはずなのに。
今の私は、意識がはっきりと保たれていた。激しい手淫から突き落とされた絶頂だというのに、波に揺られるような、どこか穏やかで心地よい痺れだけが全身を包み込んでいる。
息苦しさもない。ただ、純粋な快感の余韻だけが、じんわりと身体の奥で明滅していた。
ずるり、と。
私の中から、ルシアンの指が引き抜かれた。
彼女は私の背中から少し身を乗り出すと、指にべっとりと絡みついた私の愛液を、自身の皮膚から直接吸収するようにスッと吸い込ませた。
まだ私がハァハァと息を整えきれない中、背後からいつもの優しい声が降ってきた。
「どうだった?」
私はベッドに手をつき、ぐったりとしたまま振り返ることもできずに答えた。
「なんか……変な感じ。こんなイキ方……」
荒い呼吸の合間に、疑問が口をついて出る。
「なんで……?」
「あの薬、ちゃんと効果でたね」
ふふっ、と。
私の背後で、ルシアンが満足げに柔らかく笑う気配がした。
「あれって……何の薬だったの?」
「あれはね……抑制剤。ペア実習の時に部屋に噴出されるのと同じ効果のやつだよ」
抑制剤。
その言葉が頭の中で反復する。抑制剤って、繁殖を抑えるための……え?
「一旦、今日はおしまいかな。シャワー浴びて服着たら、もう一度おいで」
ルシアンに背中を軽くポンと叩かれ、私はふらつく足取りでシャワーブースへと向かった。
お湯を浴びながらも、私の頭の中は色んなことでぐるぐると渦巻いていた。
(抑制剤を飲んだら、あんなに穏やかに……? それって、どういうこと……?)
実習着に袖を通し、濡れた髪をタオルで拭きながらベッドへ戻る。
今度はルシアンと向かい合うようにして、ベッドの上にちょこんと座った。ルシアンは端末のカルテを閉じ、まっすぐに私を見つめてきた。
「実習のカルテとか見せてもらって、もしかしたらって思ってたんだけど……リルティ、ずっと『繁殖』を身体が意識しちゃってたみたいだね」
「そ、そう……なんだ……」
「リルティも知ってるでしょ? 私たち淫魔も、繁殖の時の絶頂は深くなったり、耐性も――」
(絶対、顔が真っ赤になってる……!)
ルシアンの冷静な解説が、途中からまったく頭に入ってこなくなった。
今すぐこの場から逃げ出したい。ベッドのシーツに穴を掘って潜り込みたい気分だった。
つまり私は、自分の知らない間に「繁殖」を求めるフェロモン――要するに、本能剥き出しの強烈な発情サインを、ずっと出しっぱなしにしちゃってたってことだ。
多分、今までの実習でも。
そして何より、ルシアンとのこの秘密の練習でも。
雲の上の存在だなんて、自分でもわかってたはずなのに。あんなに優しくしてもらっておいて、私の身体は勝手にルシアンに対して「種付けしてほしい」とでも言うようなフェロモンを撒き散らしていたのだ。
(なんて思われてただろう……っ。気持ち悪いって、呆れられてたかな……)
そう考えると、恥ずかしさと申し訳なさで、本当に消えてしまいたくなる。
「――ティ、リルティ……大丈夫?」
「え、あ……うーん…………」
顔から火が出そうで、俯いたまま両手で顔を覆い、唸るような声しか出せない。
そんな私を見て、ルシアンは「あはは」と楽しそうに笑った。
「大丈夫だよ。そんなに恥ずかしがらないで」
ルシアンの手が伸びてきて、私の濡れた髪をポンポンと優しく撫でてくれる。その手つきがあまりにも自然で優しくて、余計に泣きそうになってしまった。
それから、落ち着きを取り戻した私に、ルシアンは色々と今後の話をしてくれた。
これからペア実習の時は、事前にこの内服用の抑制剤を使うこと。空間に撒かれる抑制剤だけでは抑えきれなかった私の過剰な本能も、これならコントロールできるはずだという。
ただし、使いすぎると副作用が出たり、淫魔としての本来の感覚に異常をきたす恐れがあるから、絶対に頼りすぎないこと。
そして……いずれは薬に頼らず、自分の感覚だけでその『繁殖フェロモン』のスイッチをOFFにできるように頑張ろうってこと。
「特別、メニュー……?」
「うん。リルティの身体が、ちゃんと『ただの実習』と『繁殖』を区別できるようにするための練習。……ちょっとだけ、ハードになるかもだけど」
ルシアンはいたずらっぽくウインクをして、ふわりと微笑んだ。