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h「元貴ー!今日家行っていいー!?」
m「無理」
好きだけど嫌いなタイプな若井。
素直になりたいけど、なれなくて困っている。
よく体育の二人一組で誘ってれる。
友達がいない僕からしたら嬉しい。
でも嫌いなタイプだから眉を顰めていた。
今日も放課後の遊びに誘ってくれる若井。
本当は遊びたい。
でも嫌いなタイプだから。
m「今日は部活ないんだね」
h「うん!一緒に…」
m「やだよ。それに反対方向でしょ」
h「でも…帰る相手いない…」
m「…この前あの女子が、帰り道一緒だから帰りたいって言ってたよ。その子と帰れば?」
h「俺は元貴がいいの」
頬をわざとらしく膨らます若井。
ぶりっ子みたいで嫌いだけど若井だから可愛い。
本当は一緒に帰りたい。
でも帰り道反対だし、嫌いなタイプだから。
r「あっはは!今日も無理だったか!」
m「笑わないでよ…こっちは真剣なのに…」
二年上の唯一の僕の先輩、藤澤涼架。
若井についてよく相談させてもらってる。
帰り道も一緒だから長く話せて気が楽になる。
今日も遊び誘われた、とか、とにかく可愛かったってことを全部ぶつけた。
涼ちゃんは笑って相槌を打って聞いてくれる。
本当に話しやすい。
m「若井が可愛すぎる…!」
r「もう気持ち伝えたら?」
m「…でも、嫌いなタイプだから…」
r「その言い訳のせいなんじゃない?」
m「え?」
さっきまで笑顔だった涼ちゃんが、突然真剣な顔で伝えてきた。
なんか、いけないことを言ったかな…。
r「元貴はいつも嫌いなタイプだからって言って、若井から逃げてるよね」
m「でも、事実であって…」
r「元貴は一定のことに逃げすぎなの」
逃げてるつもりはなかった。
でも、若井から逃げるための口実を僕が作っていただけだったのだ。
r「嫌いなタイプなら、克服しなきゃね…?」
m「…〜ッ、わかったよ…!」
「告白すればいいんだろ!!」
m「あの、若井?」
h「んー?どうした元貴!」
m「その…今日、家来ない?」
h「へっ…」
「待って、じゃあ部活休む」
m「え、嘘。無理しないで…」
h「大丈夫。顧問、俺に甘いから。」
m「でも…大会も近いんでしょ?」
h「せっかく元貴から誘ってくれたのに!」
「元貴の勇気を無駄にするわけにはいかない!」
いつも若井の誘いを軽々と断っているのに。
なんで僕のことになると、こんな必死なんだよ。
そう言うところが大好きなのに…。
h「珍しいね、元貴から誘ってくれるなんて!」
m「うん、ちょっと話があって…」
家に近づくたび、心臓が高鳴って仕方ない。
振られたらどうしよう。
この関係は終わってしまうのかな?
それだったら自分が苦しんでいる方がマシだ。
告白はやめようかな。
r『元貴は一定のことに逃げすぎなの』
いや、駄目だな。
せっかく涼ちゃんが本心で話してくれたのに。
無駄にするわけにはいかない。
h「お邪魔しまーす!」
m「ただいま」
「おかえりーあら、滉斗くん?」
h「はい!今日はお邪魔します!」
「ゆっくりしていってね〜!」
m「母さん、お菓子ある?」
「あるよー用意しとくね」
m「ありがとう」
そう言って二階へ上がって僕の部屋に入る。
m「ちょっと待っててね」
h「はーい」
下に行ってキッチンへ行く。
m「母さん、ありがとう」
「んー。」
コップを二つ、お盆に乗せお菓子も乗せる。
空いた右手でジュースを持って二階へ行く。
m「お待たせ」
h「おー!今日も豪華なお菓子を!」
m「そうか?」
テーブルにお菓子にジュースを置く。
告白するまでの間、何するか考えてなかったな。
適当にゲームでもするか。
m「ゲームでもする?」
h「いいねー!しよー!!」
元気に返事を返される。
きっと若井だから可愛いと思えるんだな。
ゲームをセットしてコントローラーを渡す。
若井がすごく楽しそうな顔をしている。
本当に可愛いな、この人。
h「んんー…ちょっと疲れたな…」
m「結構やったからね」
気づけば部屋はオレンジ色に染まっていた。
若井が帰るまでまだ時間はある。
今しかない。
そう思って若井に声をかける。
心臓が飛び出しそうになりながら。
h「どうしたの?」
m「その…僕、若井のこと…が、」
m「好き、です…付き合って、くださいッ!」
h「へっ…」
ああ、言ってしまった。
若井の返答次第で今後の生活が変わってしまう。
全てが止まって見えた。
聞こえるのは自分のうるさい鼓動だけだった。
冷や汗が出てきた。
どうにかなってしまいそうだ。
早く、返事をくれよ若井。
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m「好き、です…付き合って、くださいッ!」
h「へっ…」
元貴に突然告白させた。
実はずっと前から好きだった。
でも、いつも素っ気ない態度だから
俺のことは嫌いなのかと思ってた。
けど、違った。
元貴は俺のことが好きらしい。
心臓がうるさくて耳障りだった。
顔が熱い。耳も熱い気がする。
いざ告白されると恥ずかしく思う。
冷や汗が出てきた。
決心して返事をしなければ。
h「俺でよければ…よろしく、お願いします…」
m「ま、マジで?本当に?いいの?僕で、?」
いいから言ったんに決まってるじゃん。
現実を受け止めれてない元貴が可愛らしかった。
あーあ、恥ずかしかった!
m「っ…若井、ごめんッ」
元貴が謝ったと同時に、唇同士が触れ合った。
初めてキスされた。
好きな人とするキスは、格別な気がした。
離れたとき、元貴と目が合った。
その目がなんと言うか、肉食獣のような目。
頭に焼きついて離れない、その目の虜になった。
今度は深いキスをされる。
舌も入ってきて、息をする暇がなかった。
今は目の前の元貴に夢中だった。
下半身が疼いて仕方がない。
唇は離され、息を整えているとき。
元貴は俺を軽々と持ち上げ、ベッドへ押し倒す。
まだ、早い気がするのに。
俺の身体は元貴を求めていた。
元貴が覆い被さってきた、と同時に扉が開いた。
「元貴、滉斗くん送ってこうか…」
m「か、母さんッ!!」
「あ…お邪魔しましたー」
そう言って扉は閉まった。
恥ずかしくて顔を背け、腕で隠した。
今年一番で緊張した。
やばい、次はどんな顔して会えばいいんだよ!
h「元貴のばか!!アホ!!」
m「いや、若井も乗り気だったじゃん!!」
h「ばかーー!!!」
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気づけば、窓には小粒の水が張り付いていた。
雨が降っていた。
ふられる予感は、しなかったな。