宝石魔道具教室の結果は上々だ。
私の話を、クライブは終始目を輝かせて聞いていた。自覚は無いようだが、好奇心が強いのだろう。是非彼には広い世界をその目で見て、知っていってほしいものだ。
宝石たちに心があることには不思議そうな顔をしていたが、その後私が少し席を外している間に私のバッグブローチに恐る恐る話しかけているのを見かけた。とても良い傾向だと思う。宝石たちは自分達を慮り、愛してくれる持ち主こそ強く守護するのだから。ただ、すぐ私に気付き真っ赤になっていた様子を思い出すと、本当に申し訳ないことをしたとも思う。以降気を付けよう。
講義を終えてクライブに宝石を見繕ってみた所、雷属性と聖属性が至適合であることが判った。その昔、本で読んだ歴代の勇者達と同じだ。疑っていた訳では無いが、クライブは本当に今代の勇者なのだと感じた。
特に相性の良かったダイヤのマント留めを送ると言うと、クライブはひどく恐縮していたが最終的には受け取ってくれた。 …よかった。クライブには黙っていたが、宝石からの「クライブ以外に私を手渡すなよ」という圧が凄かったのだ。受け取ってくれて、本当によかった……。
私の見立てた通り、マント留めは彼の、晴れた秋の朝の様な雰囲気によく似合っていた。
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