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3件
途中で送信してしまいました💦 フォローさせてください🙇♀️
リアルで色っぽくて‥ご馳走様でした‥‼️ 2人が可愛すぎました。 フォローさせてくださいごめんあ
side mtk
仕事終わり、足早に向かった先は若井宅。
明日の現場の関係上若井の家で一泊する運びとなった。
合鍵を使い家に上がると、生意気にも 洒落たインテリアが迎えてくれる。
鞄を適当なところに置き、ソファに座りくつろぎながら SNSの新情報と連絡ツールをすべて確認する。
自分の家ではないので他の作業は進められず、暇になってしまった。
そこで、若井の帰宅を待つ間部屋をじっくり観察してみることにした。
模様替えをしたらしく前回来た時とは少し違った様相が楽しい。
若井らしくきっちり整頓され、埃ひとつ見当たらない 室内に感心する。
ついつい楽しくなってしまい、他の部屋もガチャガチャとドアを開けて探検する。
すると、寝室に設置されているPCモニターが
目につく。
PC本体の電源ボタンが チカチカと点滅しており、 いつもはきちんと消されている電源が付けっぱなしになっていた。
マウスを軽く動かすとパッと画面が付く。
………。
「…へぇ。 」
自分でも驚くほど冷たい声が出た。
画面に表示されたのは裸の女性。
正確にはアダルトビデオの再生画面だ。
黒髪の豊満な体つきの女性が恥じらいの表情を浮かべながら服をはだけさせていやらしいポーズをとっている。
違法アップロードサイトではなくまともなサイトで購入している点だけは褒められるが、そんなことはどうでもいい。
冷ややかな目線を送りながらタイトルに目を通す。
『「あんまり…見ないで…?」服の下に隠された爆乳…地味な黒髪幼なじみが、脱いだら想像以上で…』
………爆乳、ね
「…すいませんね、”なにも”無くて」
性転換手術でもしなければ手に入らないものを若井が求めているという現実にムカつくやら悲しいやらで文句が口をついて出る。
…というか性転換手術をしても何も無いところからここまでの爆乳にするのは無理だろうけど
2時間ほどある動画をクリックするとあと数分で動画が終わるところから再生される。
しっかり最後の方まで再生された痕跡に募る苛立ちを抑え、シークバーを3分の1ほど再生したところまで戻す。
ちょうど女優が揺さぶられているシーンで、大きな胸を揺らしながら控えめに恥じらいながら喘いでいる。
一度大きく体がしなると、口元を抑えながら声を抑えて達した。
そこまで見終わると、動画を閉じ大きくため息をつく。
唇を尖らせ小さな声で呟いた。
「ぼくがいるのに、なんでよ」
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どんよりとした気分のままキッチンへ向かうとコーヒーを淹れ、リビングの ソファに座る。
「…浮気されるよりはいいけどさぁ」
そりゃもちろん、よく分からないその辺の女と浮気されるより何倍もマシだが、他の人の裸に反応させているのは気に食わない。
「だいたい、爆乳ってなんだよ気にしないとか言ってたけどちょっとは気にしてんじゃん」
『元貴の事が好きだから男だとか気にしないよ』
言っていた言葉を思い出す。
無論その言葉が嘘では無いことは分かっているが、元々女の子が恋愛対象なのだから多少は気にしているだろう。
…あー、ちょっと泣きそうかも
じんわりと目元が熱を持つ。
別にAVを見てたからと言って何処ぞのメンヘラのように怒り狂って叫び散らかすようなことはない。
それでも性別というどうしようも無いものが心にひっかかりチクチクと刺してくる。
涙を堪えながら、落ち込んだ気分を振り払うように大きく伸びをした。
「…シャワー借りよ」
未だ帰ってくる気配が無いので先にシャワーを浴びてしまおう。
風呂場へ向かい服を脱ぐ。
「…今日、するのかな」
正直アレを見てしまった後にする気は起きない。
「イヤって言ったら嫌われちゃうかな」
若井がその程度の事で恋人を嫌うような人間ではないと頭のどこかでは分かっている。
ふと横を見ると 洗面台の鏡に上半身が映る。
筋肉質で骨ばった男の体、膨らみのない胸に色気の無い小さな突起が付いている。
「理想の体じゃないんだからせめてエッチぐらいいつでもできないと」
__嫌われちゃうかも
そんな事ないと分かっているはずなのに、今の僕の脳は正常では無いらしく普段の僕では辿り着かないような結論に至る。
浴室へ入り求められた時に受け入れられるように後ろを解す。
体の隅々まで念入りに洗い、浴室を後にした。
リビングに戻りスマホを見ると新たにLINEの通知が届いていた。
『そろそろ着くよ』
10分ほど前に送られてきたメッセージに既読をつけたところで、玄関のドアが開く音と聞き慣れた声が聞こえてくる。
「ただいま〜」
「おかえり…先にシャワー借りた」
「そっか、俺も入ってこよ」
浴室へ向かう若井を見送り、寝室へ向かう。
真っ黒になったPCモニターが目の端に映り、先ほどの動画を思い出しまた気分が沈んだ。
落ち込んでいる事がバレたら面倒臭いと思われて嫌われてしまうかもしれない。
そもそも勝手にPCを見たのがバレたら軽蔑されてしまうかもしれない。
一度マイナスになった思考回路は次々と嫌な妄想を広げていき収拾がつかなくなっていく。
寝室のドアに背を向けてベッドに横になっていると、いつの間にか若井が風呂から上がっていたようでそっと僕の上に覆いかぶさってくる。
「元貴…していい?」
そう言うと触れるだけのキスを落とされる。
「……んっ」
僕がこくりと頷くと、キスを深くして手をシャツの中に滑らせる。
脇腹をなぞり胸の突起に指先が触れたところで息が詰まり、涙が込み上げてきた。
「…ぅっ……ふ…ぅ…」
ぽろぽろと頬を伝う涙に驚いて若井は手を止める。
「元貴…?どうしたの? 」
「…っ…う…ぅ……」
恋人繋ぎで手をぎゅっと握ると上体を起こされぎゅっと抱きしめられる。
「…今日は嫌だった?」
「……わかいは」
「うん…?」
「…っ………ぼくが女の子だったらよかったの…っ?」
「………………へっ?」
突拍子もない僕の発言に心底驚いた様子でポカンと口を開けている。
「…なんで?」
「…っ…ぱそこん…ついてた」
「パソコン………あ。 」
その一言で全てを理解した様子の若井が焦りながら弁解する。
「…あれは…その…なんというか……ひとりでする時用の…」
「…ぼくがいるんだから見なくていいじゃん」
「っいや、だからこう動画見ながら…元貴の姿と重ねてるから…ムズいんだって想像だけでするの」
「…そんなわけない」
絶対そんなわけない。
片思いでも無いし、そういう行為はいつもしてるんだから妄想だけで出来るはず。
「…そんなわけないってことは元貴って一人でする時何も見ないの?…妄想で抜いてるってこと?多分それ少数派だと思うよ」
若井の言う通り僕はひとりでする時写真や動画が無くても妄想だけで問題無かった。
自分がそうだったのでみんなそうだと思っていたのだ。
衝撃の事実に涙は引っ込み思わず赤面する。
「っ…僕にはあんなおっきいのついてないし!」
「…や、あの動画は胸とかじゃなくてシチュエーションが…」
「もうっうるさい!ばか!」
動画を見てたとかがどうでも良くなるぐらい、もうとにかく恥ずかしくてこの場から消え去ってしまいたい。
抱きしめられている腕の中から逃げようともがくといっそう強く抱きしめられ、ジッと目を見つめられる。
「…別に男とか女とかどうでもいいよ。元貴だったらそれでいい。元貴が俺のこと忘れちゃっても一生好きだから安心して。」
「不安にさせてごめん。動画もフォルダから消すし他の動画も二度と見ないから」
「…うん、分かった。 」
そう言うと優しくキスを落とされ、首筋を撫でられる。
「あ、その代わり動画撮らせてね? 」
「………は?」
突如投下された一言に言葉を失う。
「いや、だって動画無いとソロで出来ない派だもん俺」
「予定合わないことも多いし動画無くて一人で出来ないのは困るからちゃんと責任取ってくれないと」
「絶対誰にも見せないから!」
「そんなの当たり前だろ!!」
思わず大声を上げると同時に ベッドに押し倒され逃げられないように押さえつけられる。
スマホを取り出しにやりと笑う。
「元貴は撮られるの得意だもんね」
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終