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夜の静まり返った廊下に、ハイネの必死な声が響き渡る。
「リヒト王子!!リヒト王子ー!!!!」
角を曲がった先、絨毯の上を滑るように逃げる金髪の王子。
「きゃー!!!センセーきたーー!!大丈夫ー!!誰にも言わないからーー!!」
手を振って叫ぶリヒトの声には、全く緊張感がない。
「そういう問題ではなく…!!!」
ハイネは全力疾走。
袖を翻しながら、教師とは思えないスピードで迫る。
「そもそも、なぜあの場にいたんですか! 勝手に立ち聞きするなんて、礼儀以前の――」
「えっ!だってなんか雰囲気よさそうだったから!ちょっとだけ!ちょっとだけ!」
「それがいけないんです!!!」
「やだー!俺たちのセンセーが恋愛してるなんて胸アツすぎるし〜!」
「してません!!!」
「してるって顔に書いてあったよ〜〜!!“ヴィクトール…”って!!ね!!」
「……っ、そこは聞いてなかったはずでは!?」
「え、やっぱ言ってたんだ!!」
「言ってません!!!」