⚠捏造ヘタリア2Pカラー
⚠92名表記
⚠歴史にわか、間違ってるとこ多分ある
⚠暴力表現あり
⚠日本語へたくそ
自解釈2P親分子分のおはなし。
dame amor!!
「スペイン、貴方にこの子の兄の支配権をあげましょう」
ローマのじいさんの忘れ形見、その片割れを指さしながらオーストリアは言う。
正直、ただでさえ子分が増えて窮屈になったうちに、さらに人が来るのか…と、憂鬱な気持ちにはなったが、勢力が増えるのはありがたい。…オーストリアの隣でびくびくしている片割れの方を見るに、おそらくその兄とやらも、まだ子供なんやろうけど。
何日かが経ち、ついにその「兄」を貰い受ける日が来た。オーストリア曰く、名を「フラヴィオ」というらしい。
目の前にちょこんと立つ、小さな子供。
こちらをどこか恐ろしげにちらちらと視線を送っている。
ぱちりと開かれたターコイズブルーの瞳。そこに光が当たって、きらきらとしている。
…希望にあふれた、俺の嫌いなタイプの目。
「今日からお前の親分の、スペインや。せいぜい役に立ってな。」
不機嫌が声に滲み出る。まあいいだろう。
そうして俺の言葉を聞き終えると、忘れ形見は先程の強ばった様子から一変、軽く会釈をし、人が変わったように話し出す。
「…お名乗りいただきありがとうございます、スペイン様。」
「僕の名前はフラヴィオ・ヴァルガスといいます。お役に立てるよう、精一杯頑張らせていただきます。」
…驚いた。子供特有の言葉のたどたどしさはあるものの、礼儀を感じる、きちんとした挨拶だった。
「…よろしゅう。」
その流れでフラヴィオに軽く家の案内をしてから、俺は気づく。
…まだ仕事が全然終わっていない。このままではまたあの狂った女王に罵られる。そう思うと、頭が痛くなる。使用人に案内をさせればよかったか、と今更後悔した。
「じゃあフラヴィオ、俺は仕事せなあかんから。」
そう言って立ち去ろうとして、思いつく。
「…そうだ、俺の部屋の掃除、しといてや」
こいつがどれだけ働けるかを見る、良い機会だと思った。こいつが危ない奴かどうかも、俺の部屋になにか仕込んでないかを見れば早期に判断できる。
フラヴィオは少しびっくりしたような表情をした後、自信なさげに言った。
「は、はい!頑張ります…」
「…どうしよう…」
額に汗を感じながら、頭をぐるぐる回す。
さっきは断るわけにもいかず引き受けてしまったけど…掃除の仕方なんて、知らない。かといって、テキトーにやったら逆に散らかしてしまうかもしれないし、もしかしたら、掃除に関してこの家のルールがあるかもしれない。どうしよう。マジでどうしよう。
「うーーーーん…」
唸り声を出しながら、必死に考えて、自分に考えつく限りの最適解にたどり着いた。
………そうだ!
「ええと、使用人さん、ちょっとよろしいですか…?」
「はぁ…やっと終わった」
ため息をついて、軽く伸びをする。外は先程より少し暗くなっていた。どっと疲れたので、すぐにでも眠りたい。
ぼんやりとした頭で部屋まで歩く。
…そういえば、フラヴィオはきちんと掃除ができているだろうか。
「!」
自室に着くまで、あと5m。視界に映ったのは、使用人達と仲睦まじく話すフラヴィオだった。
そして距離があと3mとなった時、フラヴィオと使用人達は俺の接近に気づいた。フラヴィオはこちらに向き直り、使用人達の方はそそくさと立ち去っていった。
そのまま歩き続け自室の前…言い換えればフラヴィオの目の前に辿り着く。
「お疲れ様です、スペイン様。」
「お恥ずかしながら、掃除のやり方を知らなかったもので…使用人さんたちにやり方を教えてもらいながら、何とか片付けてみました。」
開かれた扉から覗く自室は、完璧と言えるほどに綺麗になっていた。
「不都合なところは…ございますでしょうか?」
少しどきどきした表情で、俺にフラヴィオは話しかける。
ーーーバチン。
「…えっ?」
次の瞬間、俺はフラヴィオに掌を叩きつけていた。
嘘みたいに綺麗な打撃音が屋敷内に響く。
「…あっ、あの、僕、なにか…」
衝撃を受けた右頬を手で抑えながら、ぐらぐらと揺らいだターコイズブルーの瞳は、こちらを見上げている。
ーー自分でも、無意識での行動だった。
でも、フラヴィオに叩きつけた右の掌の痺れと、いやに冷静になった頭で、すぐに結論に辿り着く。
…羨ましかったのだろう。この子供が。
未だに自分に懐かない使用人達とあっという間に仲を深め、初めてだと言う掃除も、完璧にこなして見せた。
そんな、自分に持ちえない輝きを持つこいつに、嫉妬を覚えてしまった。
「…自分の部屋に戻り。」
「は、はい…」
(…僕、何かしたっけ…)
それからも、フラヴィオは殆ど初めてやることでも、命じられたら完璧にこなして見せた。
それに耐えられなくなった俺は、次第にフラヴィオに何も命じなく、何も教えなくなっていた。
本来なら教えるべき俺の家の言語も、畑仕事も、料理の仕方も。他にも、いろいろ。
そうすれば、この子供が俺を惨めにさせることはないから。
それに、いつまで経っても畏怖の感情を露わにするこいつが気に入らなかった。
…どうせ、使用人も、子分達も、こいつも、誰も俺の事なんて愛してくれない。
そう分かりきってしまった。
初めてフラヴィオと出会ってから早400年程が経つ。途中でオーストリアに奪われたり、気まぐれで奪い返したりなど、中々に色濃い年月が過ぎたが、フラヴィオはあの時と変わらず、小さいままだ。
南イタリアに対する搾取を続けているのだから、まあ当たり前なのだが。
ーーーそれから少しして、フラヴィオが北イタリアと統一し、独立した。
最後の日、フラヴィオは俺になんとも言えぬ視線を向けた後、軽く会釈をして、去っていった。
その瞳からは、もうかつての輝きは失われていた。
フラヴィオを失ってから数日間、ずっと考えていた。
フラヴィオが瞳から輝きを喪った理由。
最後まで俺を愛してくれなかった理由。
そして、辿り着く。
それはきっと、同じ理由。
…
「…はは、」
「俺ってほんと、馬鹿やなぁ…」
愛情を向けられなかった者が、その相手に愛情なんて向けるはずがないのだ。
使用人も、子分達も、フラヴィオも。
俺が愛さなかったから、もちろん向こうも俺を愛してくれなかった。
ようやく、理解することができた。
気づくまでに無駄にした時間は、致命的に長かった。
ならば、「これから」だ。
「あんまり愛情表現なんて得意やないけど、これからは」
「おまえも…おまえの大切な、弟も」
「ちゃんと守ったげる。愛したげる。」
ーーーせやから、俺の愛に気づいて、報いようと思った時には。
俺に、溢れんばかりのーーー
dame amor!!
コメント
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1P親分は勿論自己愛もあるとは思うけど他に向ける愛情の割合がクソデカだと思ったので、自解釈2Pの親分は自己愛マシマシ自己中思考にしてみました。1Pが見返りを求めない愛だとするならば、2Pはバリバリに見返りを求める愛です。そのくせツンデレ。(どっかの海外での2P設定集的なので見た)クッソネガティブなので自分のこと棚に上げつつ病みます。