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スタンドの仕業かッ!
ニヤけてしまう
『お前じゃあないのか?花京院。』
僕は言葉が出なかった。ただ呆然と立ち尽くした。
何かの冗談?そんな訳はないか。少し間が開き、ゆっくりと口を開いた。
『どうして………僕を疑うんだい?確かに、目撃情報と、見た目は一致している。だけどー』
『見たんだ。』
『…………は?』
『昨日の夜、お前がうちの高校の生徒を殺すところを見た。』
『僕が…?』
何を言っているんだ。承太郎は。僕が…殺すところを見ただって?
『訳が分からないよ。何を言っているんだ。僕じゃあない!』
『今、正直に言ってくれ。やったのはお前か?』
『だからどういう事なんだッ?!』
『昨日の夜お前が公園で女を襲おうとしている所を見た。この間もだ。幽波紋でうちの高校の野郎をエメラルドスプラッシュで殺すところだ。』
『僕じゃあないよ!!本当にやっていないんだ!!信じてくれよ?!』
『お前と会話だってしたんだぜ……?』
『花京院がそんなことするような奴じゃないってのは分かってる。』
『なら!ー』
『俺は本当のことを聞いているんだ。』
『僕は………。僕は…何もしていないんだよ…。していないって言っているじゃあないか。信じて…くれないのか?』
とうとう情けない声を漏らしてしまう。
『なら…俺が見たのは…何だったんだ…。』
『何かの間違いに違いないよ…!』
お互いにうまく顔を合わせられない。
すると承太郎の方がスっと後ろを向いた。
『悪い…今日は1人で別の道から帰る。頭を冷やさせてくれ。』
『そ、そんなッ!話し合おうよ!』
僕を置いて、早くも立ち去ろうとする承太郎の腕を掴んだ。
『待ってくれ!まだ話はー』
『やめろッ!!!』
太い腕を掴んだ僕の手をすぐに振り払う。
『お前も今日は1人で帰れ。話はまた今度だ。』
『承…太郎…。』
彼の背中が遠くなってゆくと同時に、
視界が徐々にぼやける。1人の男に信じてもらえなかったくらいで、何を悲しんでいるんだ。こんなものはもう慣れたものだろう。何度も何度もそうだったじゃないか。
まるで、もう1人の自分にそう言われている気がした。僕は何か間違っていたのか…?
承太郎の言葉が理解できなかった。
とぼとぼと重たい足を家へと動かし始めた。
嵐のように一瞬の出来事だったものの、自分にとっては大ダメージだ。……殺人鬼?が僕だって?そんな訳はあるはずがない。昨日の夜だとか言ってたが、昨夜は外には出ていない。状況をゆっくりと整理していく。そんなこと前もあったじゃあないか。旅で承太郎が戦ったというイエローテンパランスが頭をよぎった。考えれば考えるほど胸が締め付けられるような気がした。
思い違いなんかじゃ…ないのか?信じてくれよ。承太郎…。
大きな雫が1粒、アスファルトを濡らした。