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ため息ばかり籠る暗く冷たい部屋の一部をぼんやりとした視線で見つめる。時刻は夜12時過ぎ。チクタクと硬い音を響かせながら進む時計の針とともに睡魔が遠慮なく私に伸し掛かってきて、頭の中がどんよりと曇っていく。

正直に言えば今すぐにでも眠ってしまいたいが、そういうわけにもいかない。


『…イザナのばか、遅い』


そう怒りを滲ませた溜息を吐き捨て、私はソファの背もたれに勢いよく体を預ける。その拍子にギシリと軋んだ音を響かせたソファは、それっきりうんともすんとも言わなくなり、またもや部屋は寂しい静寂に包まれる。


横浜天竺総長 黒川イザナ


そんな肩書を背負った彼に運よく気に入られ、特別に傍に居ることを許してもらった。

世界で一番大好きだし、一生一緒に居たいし、飽きられるなんて絶対に嫌だ。すぐに彼のことで息苦しいくらいに頭が一杯に詰まって、私以外の女の子のところに行ってしまったらどうしようなど考えると、どうしようもない独占欲が胸の内に雲のように湧いてくる。だがそんな重い本音をそう簡単に垂れ流せるはずもなく、嫉妬という苦く不味いものを大人しく飲み込んでいるうちに今日も彼は私を置いてどこかへ出かけてしまった。特攻服を羽織って出かけたということはきっと喧嘩なのだろう。

別に彼が私よりも喧嘩などを優先することは特に珍しいわけでもないが、どうしても寂しさを感じてしまい、ついつい不貞腐れてしまう。

せめてイザナが帰ってくるまで起きて少しでも一緒に居たい。

眠くて段々と重くなってきた瞼を素早くこすりながら時計の針がゆっくりと動いていく様子を眺めていた私の耳に、待ち望んでいたガチャリと鍵の開く音が飛び込んできた。


『イザナ!!!』


スッと胸に入り込んできた暖かい喜びに動かされるままソファから飛び降り、長時間座っていたせいでやや痺れている足を無理やり動かして玄関へと向かう。足の裏から感じる床の感触がひどく曖昧に感じた。


『イザナ、おかえり』


ちょうど靴を脱ぎ終わった直後であるイザナの近くに近づき、そう声をかける。

その声に反応するように絹糸のような柔らかな彼の髪が隠していた自身の目元をゆっくりとあらわにしていき、長い睫毛から覗く水晶玉みたいに綺麗で大きな紫色の瞳が私を捉えた。そして、私がまだ起きていることに驚いたのか一瞬だけ目を見開くと、数秒後には呆れたように目を細めた。


「…まだ起きてんのか?」


呆れの中にどことなく優しさを滲ませたその声は違和感なく耳に入り込んできて淡い嬉しさが心を温める。

さきほどまでうんざりするほど感じていた眠気は彼の顔を見た瞬間、いつの間にか吹き飛んでおり、静かな喜びだけが水のように体を埋める。


『イザナと一緒に寝たかったから』


素直にそう告げ、ギュッと機嫌よくイザナの首に抱き着いたその瞬間、ふわりと自身の鼻の中に入り込んできた甘ったるい香水の香りにハッとする。


『知らない香水の匂いがする!!!』

「蘭」


『香水の匂いが移るほど近くにいて何してたの!?』


「喧嘩」


興味がないと言ってもいいくらい淡々としたリズムで短い言葉を吐きながら宥めるように私の頭をやや乱暴に撫でるイザナに泣きつきながら声高くわめく。


『他の人の匂いつけてるのやだあああ!!!』


「風呂入るからどけ」


ずるずると私の体を引きずりながら無理やり進んでいくイザナは相変わらず不愛想でシュンと心が次第に暗く沈んでいくのを感じる。

やっぱりもうそろそろ眠ったほうがいいのかなと絡めていた腕をイザナから離して視線を俯かせたその瞬間、伸びてきた褐色の腕に頬を捕まれ、そのまま唇に柔らかな感触が触れた。耳のすぐそばでカランという聞き慣れたピアスの音が聞こえた瞬間、キスしてもらえたことに気が付く。


「…あっちで待っとけ」


それだけを短く告げ風呂場のほうへ向かっていったイザナの姿に胸がときめくのを感じた。黒かった感情がみるみるうちに溶けて、顔にパッと花が咲く。


『!…うん!』


私はそう言葉を落とすと同時に縦に大きく頷き、風呂場へと向かう彼の背中を見送った。その瞬間、頬が火照っていき、胸がどくどくと激しく弾む。


すきだいすき、あいしてる


そんな言葉が体の中から泡のように浮き上がってきて、全身の血が沸き立つ。あんな些細なことでこんなにも体が熱気を帯び始めているのに気付いた途端、羞恥心がブワッと沸き上がり、さらに体に熱を与えてしまう。


この時の私にはこれが本当に愛なのか、それとも依存なのか、はたまた“毒”なのかは区別できなかった。




続きます→♡1000












遅れました❕❕❕❕


すんません❕❕❕❕


部活決めとか提出物のアレコレで忙しかったんですт_т💧


部活は帰宅部に見せかけて放送部

毒々【黒川イザナ】

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