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龍「一緒にいたいってからって・・・。父さんどこに住むつもりなんだよ。個人だから退職金もないのに」
洸「あっ、それは僕も気になる」
父親の退職と帰省の理由をきいて驚きを隠せない兄弟たちは、父に一番の疑問をぶつける
隆一はそれなら心配ないと四人に家の写真を見せた
隆「母さんの病院から近い地域にある家を後輩が紹介してくれてな。ここにするつもりだ。そしてお前らには別で仕事をしてほしい」
えー、と疑いの目を崩さない龍季に対して残りの三人は写真を見つつ関心していた
龍「いや待て!俺たちはどうなるんだよ!親父が建てたここは?豪と小春のことも追い出すのか?ぼるとはどうなる?」
龍季の質問攻めに、父は静を貫いていた
隆「もちろん。俺のことに着いてくか否かを決めるのはお前たちだ」
和「小春が私のところに戻るのも選択肢にあるってこと?」
和子が割って入ると、隆一はああと返す
龍「それが親父がここに来た言い訳かよ・・・。ひでぇ話だ」
隆「そうだ。すぐに決めんでもいい。ただ母さんには必ず伝えるからな」
父はそれをいうと兄弟の家を出ていった
四人は黙って隆一の背中を見ていた
その日暗い空気の中四人の仕事は終わった
数日後、エイ・アールには休業の貼り紙が貼られていた
龍季が今後と自分の過去のもう一つの記憶を、豪と小春に話したいと店の全員で外出していたのだ
小「店長どこへ行くおつもりですか?」
洸「僕らのお気に入りの場所に二人を連れていきたいんだ。ね、兄貴?」
龍「おう。話はそれからだ」
兄弟の反応に小春と豪は顔を見合わせる
しばらく歩いていると店から少し離れた所の川に到着した
小「さむっ」
橋に足をおろした途端の冷たい風に小春の身体は思わず縮こまる
小春の様子に洸がカイロを差し出した
小春がカイロを受け取って間もなく豪が周りの景色に反応する
豪「あれ?この橋って・・・。あっ!」
豪の気付きの声に洸と小春は少しぴくっと体が跳ねる
豪はすぐに「すまん 」と謝ると龍季が時計をみつつ、やっとと言うように口を開く
龍「さぁ、もうすぐだな」
洸「だね」
そう言って兄弟が橋の欄干に手をかけた時、四人の目には沈んでいく夕日が輝いていた
夕日は山の頂点あたりの部分に斜めにかかるように光っている
豪にはこの景色に覚えがあった
兄弟と豪が子供の頃、悩むとここで叫んだり話したりしていた場所だったからだ
龍「俺さ、この前親父がきた時ものすっごいモヤモヤしてこの景色が恋しくなって久しぶりにみんなでみたいなぁなんて考えてたんだよ。どうだ?小春」
小「すごく!暑いです!」
小春が風に負けない精一杯の声量で叫ぶと龍季はだろ?と返す
そして龍季は深呼吸すると二人に例の話をする
龍「俺が思い出したのはこの景色のことだけじゃないんだ。子供の頃の夢のことなんだ」
小「気になりますね」
かけていた薄い赤色の眼鏡をくいっとあげて小春が反応する
豪「ちなみに俺は、野球選手で」
洸「僕は特になかった」
盛り上がる三人に、龍季は緊張を抑えるかのように咳払いをする
龍「俺はずっと父さんみたいな探偵になりたかったと思ってた。でもそうじゃなかったんだ。」
小「え・・・」
龍「俺が大事にしたいのは、父さんのことじゃなく。洸のことなんだ」
洸「えっ」
龍「洸、中学の文集に書いた俺の夢覚えてるか?」
洸「うん。”兄弟でお店を出すこと”だったよね」
龍季は洸の答えに満足そうに頷いたが小春は納得しなかった
小「あれ?叶ってますよね?」
龍「意味としてはな。でも俺がやりたいのは便利屋じゃない。俺は・・・。」
そこまで言った時龍季のスマホが鳴った
龍「んが!なんだよ!」
機嫌悪く電話を取り出すと相手は隆一だった
舌打ちをしつつ龍季は電話にでた
隆「おう龍季。答えはでたか?」
龍「ああ、今から仲間に話すとこだったんだよ!いつもタイミングわりぃな親父は!」
隆「まぁ、そうカッカするなよ。とりあえず、答えがでたなら丁度いい 」
龍「あ?何が丁度いんだよ・・・」
悪の親玉のような口調で話す父にいつもの態度ながら少したじろく龍季に父は答える
隆一の電話の理由は、兄弟の母・史江(ふみえ)についてだった
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