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推しには近づくな!

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推しには近づくな!

4 - 推しとお話

♥

39

2022年09月10日

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「じゃあ、寝よっか!」

episode4

誰が予想していただろうか…。まさか類さんと寝ることになるなんて。

しかも、なんでこの人ウェルカムなの…。

「…なんかごめん。」

類さんの隣に寝転びながら言う。すると類さんがそっとタオルケットを掛けてくれた。

「何でショウにゃんが謝るの?」

「だって…。やっぱ何でも無い。」

だって、俺に甘えてほしいのはわかったけど、生活に支障が出るかもしれない。という本音は飲み込む。

「…電気、消すよ?」

「ありがとう…。」

カチッ

一瞬で周りが暗くなる。さっきの廊下の件もあり、情けないけど、ちょっと怖い。

そういえば、昔もこういうのあったな…。

その時は俺がまだ幼稚園生のとき、じーちゃん家で初めて生活するってのに、寝るときになって電気を消すと急に怖くなった。それで泣いちゃったんだっけ。そしたらじーちゃんがそっと頭を撫でてくれて…。

あの時、じーちゃんは何も言わなかったけど、すげー安心したんだよな…。多分、親元を離れて可哀想な俺にできる最大限の優しさだったのかな…。

そうだ…。じーちゃんは…

「?ショウにゃん?…また泣いてるよ?」

「え?」

類さんが心配そうな顔で見ていた。

「…なんかあった?電気付ける?」

「だ、大丈夫大丈夫!多分あくびだと思う!俺ってあくびしたらめっちゃ涙出るんだよね!ホント困ったよ!あはは…」

「…そっか…。何かあったら言ってね。」

「うん、ありがとう…!」

駄目だ駄目だ、類さんの前ではもう泣かない!もう…もう…。

『笑、大丈夫だ…。』

もう…泣かない…って決めてたのに…何で涙が…何でじーちゃんが入院したぐらいで…!

すると、そっと類さんが背中から俺を抱きしめた。

体が暖かくなっていく。

「類さん…?」

「大丈夫だよ、ショウにゃん。だから僕の前では我慢しないで。」

「…ごめん、俺、もしじーちゃんに何かあったらって思うと…すげー怖くなって…」

「うん。」

「父さんも母さんもいなくなったのに、じーちゃんまでいなくなったら、俺…どうしよう…。一人になっちゃうよ…!」

「大丈夫。僕がいる。僕は絶対にショウにゃんから離れない。ショウにゃんの事は僕が守るからね。」

類さんは俺から腕を離すことは無かった。顔が見えなくても、真剣に聞いてくれているのが伝わる。

「僕ね、最初君がぶつかって来たとき、奇跡かと思ったんだ。」

類さんの優しい声が耳を包む。

「僕にとってショウにゃんは人生そのもので、大袈裟だと思うだろうけど、ショウにゃんは生きる理由だった。それぐらい大好きでさ。だから君に会ったとき、信じられなくって…。」

「…うん」

「そんなショウにゃんにも活動休止する期間があって、もしかしたら辞めるかもしれないって不安になって…。…多分、その不安と笑くんの不安は違うと思うけど、1ミリでも合ってたら、僕は笑くんの側に居れる権利、貰えるのかな…。」

類さんは、もう俺の事、ちゃんとわかってくれている。だから、俺も類さんのことを分かりたいって思うんだ。

「ありがとう…。類さん…」

「スー…ピー…」

え?寝てる…?

まあ、いっか…。なんだろ、ちょっと、軽くなったな…。


目が覚めると、もう外は明るかった

「…朝か…。」

起き上がろうとすると体が動かない。

類さんは朝まで、俺を離さないでいてくれたんだ。

類さんの腕を剥がすわけにはいかないので、もうしばらく寝転ぶことにした。

類さん暖かいな〜。とりあえず何時か確認しよ…。

ベッドの先には時計があり、針はすでに7 時半を指していた。

「· · ·はあ!?普通に寝坊じゃん!」

居ても立っても居られず、類さんの腕を引き剥がし、体を揺すった。

「類さん!!、やばいって!寝坊してる!!起きて!るーいーさーん!」

「ん〜…。ショウにゃん…?」

「寝坊だよ!!」

「だあいじょうぶだよ〜…僕学校行かないもん…。」

そうだった…この人不良だった…。

てか、俺がやべえ!

急いで服に着換え、顔を洗い、髪はボサボサのまま朝食を食べる。

やばいい!

「行ってきます!類さん!…俺多分四時十分頃に帰ると思うから!」

トビラを開け、外に出ると同時に微温い風に包まれる。

正直、学校に行くのは怖い。

また笑われるんじゃないか。

また変な人に会うのだろうか。

『ショウにゃんの事は僕が守るからね。』

…でも大丈夫。

大丈夫だ。


「笑、ごめんな。」

教室に着いても笑われることは無かった。なんでだろと思い先生に聞くと、どうやら、俺が窓ガラスを割った時、俺に怒ってたあの担任(佐藤)が叱ってくれたらしい。

感謝を言いに職員室に行くと、佐藤先生は俺に謝ってきた。

「え、なんで先生が謝んだよ。」

「いや、俺が気づいていればお前に嫌な思いさせずに済んだな…って思って…。悪かったな…。」

「先生のせいじゃないって。」

「…話は変わるが…お前、お兄さんが居るらしいな。」

「!何で知ってんの?」

「いや、妹が看護師でな…。話を聞いたんだ。」

看護師って、じーちゃんが世話になるあの看護師か!

「え!?そうなの!?すげー偶然じゃん!」

「全く、そのせいでお前の兄貴がイケメンやら何やらで話されて…。1時間は返してもらえなかったな…。」

「あははっ、確かに類さんはイケメンだもんな!!…あ…」

「類さん?お前、兄貴のこと、さん付けで呼んでんのか?」

やべ、ついポロッと…。

「あー…さん付けで呼ぶ練習…?的な?ほら、俺、先生にも基本タメ口だろ?だから、そろそろ礼儀学んだ方が…ってことで兄貴にも協力してもらってるんだ!あはは…」

嘘うますぎ!俺!

「そうか…。お前も成長したんだな。」

先生はどこか寂しそうに微笑んだ。

「先生…?」

「とにかく、礼儀は学んどけ。」

そう言うと俺の頭をワシャワシャと撫でた。

「うわっ!やめろよ!」

「…ったく、あんま無理すんなよ。あの時みたいになんねえようにな…。」

「…分かってるよ…。」


教室に戻り、いつもの席へと座る

俺はこれといった友達はおらず、いつも静かにしている。班のときもできるだけ話さないし、目も合わせない。

いつだって、ずっと独りで…。

「笑くんだよね?」

「え?」

突然、眼鏡をかけた大人しそうな少年が俺の前に現れた。

「えっと、はい、笑ですけど…?」

「ほ、放課後、隣の空き教室に来てくれませんか!!?」

声でかっ

「え、うん。分かった」


「で、何?」

その日の放課後、言われた通りに隣の空き教室に行くと、眼鏡の少年が待っていた。

「…ごめん、その…相談があって…!」

「相談?」

「実は、僕、いじめられてて…。」

「!いじめ!?誰から!?」

「麻衣ちゃん…」

「え、女子?」

しかも隣のクラス陽キャじゃねーか。

「うん。ずっといじめられてて…。」

「…で?俺に相談したってこと?」

「うん。相談っていうか、お願いがあって…。その…彼女、ショウくんのファンみたいで…。この前、ショウくん連れて来て。って。」

無理があるだろ。だってネット活動者で今や有名人だろ!?

「連れて来なかったら…?」

「僕の母さんにも被害が…って…。僕、どうしたらいいんだろ…?」

脅しか…。

「だからね、笑くんに、なりきってほしいんだ!」

「· · ·はあ!?」

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