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前回のあらすじー…なんか、コスプレしてと言われました。以上。
episode5
ということで今、眼鏡くん(尚くん)の家に来ています。
類さんにはまた後で説明しよ…。
「っていうか、ショウくんのコス衣装、持ってたんだ…。」
尚くんはクローゼットをゴソゴソと漁りながら頷く。
「姉がコスプレイヤーで、ショウくんの衣装作ったらしいんだ。元々僕に着させるつもりだったらしい…。確か、ここに… あった。」
タンスの中からひっぱりだしたのは、まるで魔法少女が着るような衣装だった。
「え、待って、俺これ着るの!?」
「?そうだよ?」
なに当たり前の事言ってんの?って顔するな…!マジか…。
「じゃあ、着換え終わったら言ってね。」
尚くんはそう言うと部屋から出ていった。
いやいや…嘘でしょ…
まず、何処から着ればいいんだ?…よく見たらズボンになってるんだ…。すげぇ…よく作れるな、こんなの…。
って、俺は何してるんだー!
✿✿✿✿
家に帰れば、推しがいる。
今でも信じられない…。ショウにゃんが僕の家に居るなんて…!最高通り越して何がなんだか分からない感情になってきている。
スマホに写る時計は午後四時となっており、ワクワクが重なる。
「確か…ショウにゃんは十分くらいに帰って来るんだよね…。」
「何ニヤニヤしてんだ…?類。」
話しかけてきたのは中学からの友達、匠だった。
「なんでもねーよ。」
「なあ、このあとどこ行く?」
「俺はパス。」
「類が!?何で!?」
「今日は急いで帰らないとなの。んじゃね。」
「え!?ちょ、待てよ〜!」
「俺以外にもいるだろ〜」
落ち込んでる匠を置いて、家へ向かう。
ショウにゃんの方が大事なの。そうだ、帰りショウにゃんに何か買って帰ろう。
コンビニに寄り道し、スイーツを買い、家へと戻る。
時刻は四時十五分を指している。
ショウにゃん、もう帰ってるよね。あ〜…幸せだ〜…。家に帰ったら推しがいるとか…!ヤバすぎだよ〜…。
「ショウにゃん!ただいまー!」
シーン………。
反応がない。確かに四時十分は過ぎてるのに…。
「ショウにゃん…?」
✾✾✾✾✾
「めっちゃかわいい〜!♡天使降臨だよ〜!」
あれから、俺は衣装に着換え、尚くんのお姉さんに見てもらうという謎の行為を行っている。
「サイズも合ってるみたいだし、俺帰ってもいいすか…?」
「え〜。」
「姉さん、帰してあげなよ。写真いっぱい撮ったでしょ。」
「ん〜…そうね。笑くんありがとね。こんな弟のために。」
「いや、いいんすよ。もう俺尚くんの友達みたいなものなんで。」
「!…あ、ありがとう…///」
尚くんは少し照れた様子で俯く。
「なーに、照れてんのよ!この子ね友達出来たこと無いから、嬉しいのよ。」
友達…確かに、普通に口走ってしまったけど、俺も友達出来たことないんだよなー…。
まあ、言わなくていっか。
「んじゃ、麻衣ちゃんにはこの格好で会いに行けばいいんだな。」
「麻衣ちゃん…?尚、誰?」
しまった、秘密だったか…!
「あー…ま、麻衣ちゃんもコスプレが趣味で、さ、参考にしたいってー…な!」
目線で尚くんに必死に合わせるよう訴えると、尚くんはそれに気づき、激しく頷く。
「そ、そうなんだよ!麻衣ちゃんが、ぜひ、作ってみたいって!」
「そう…。」
なんとか納得してくれたみたいだ。
「んじゃ、俺は帰りますね!」
これ以上居座ると何を喋るかわからない。早く帰ろう…。
「わかった。じゃあ、脱いだらまた教えて。」
そう言うと尚くんとお姉さんは部屋を出ていく。
さて、着替えるかな…。…なんか忘れてるような…。
「お邪魔しました!」
「はーい、気を付けて帰ってね。」
「はい!ありがとうございます」
そう言って、猛ダッシュで類さん家へと向かう。
やばいいい!時間過ぎてるううう!
コスプレに熱中しすぎて、もう時刻は5時を指していた。
走れええ!もげるまで動け、足!
記憶力には自信があるから道はわかるが…。
やばいやばいやばい!類さん絶対お腹空かしてるよ!わかるもん!なんか!
「くっそ…俺が時間気にしてれば…!」
…でも待てよ?…類さんならワンチャンコンビニでなんか買ってそうだな…。
なら、大丈夫か…?
ー『ショウにゃんは僕の生きる理由なんだよ。』
いや、駄目だ!走れえええ!
すると道が開けた所で、男子高校生がウロウロしているのが見えた。
間違い無い。
「類さん!」
その男子高校生は、ゆっくりとこちらに振り向くー…
その顔に見覚えがある。
「ショウにゃん!」
類さんは泣きながらこちらに走ってきた。
もしかして類さん、俺のこと心配してくれてた?
頭を引っ叩たかれると思い、体をできる限り丸くする。
その瞬間、全身が優しさで包まれるような感覚になった。
「る、類さん!?」
類さんは力いっぱいに俺を抱きしめると、俺の肩が濡れていく。
「良かった…良かった…!どこ探しても、ショウにゃん、いないから。俺、すごい心配して…!」
…確かに、体が冷たい。
「…ごめんなさい…。」
「友達の家?」
類さんにあらかじめ、事を話した。
「うん、急遽行くことになっちゃって…。」
すると、類さんは浅く俯き、目線を逸らした。
「…類さん…?」
「…俺よりも友達優先なんだね…。」
「え?」
「あ、ごめんね。お腹空いたでしよ?それとも先にお風呂入る?」
「じゃあお風呂で…。」
「はーい!」
さっき何か言ったような…。
脱衣所に行く類さんの背中を見る。
気のせいかな、類さんの背中が少し寂しそう…。
「え?今、何て?」
「今日みたいなことが起きないように、スマホ、ショウにゃんに持たせようと思って!」
風呂に行く途中、類さんに呼び止められたと思うと、急にそんな事言い出した。
いやいや、スマホって…。
「ただ、申し訳ないんだけど、近所のスマホ店が今休業中で…。俺のお下がりになるんだけど…。」
何でそこまでするんだよ…!
「いや、スマホは要らないって!明日からはちゃんと時間通りに帰るから!」
「ええ〜…。」(早く帰ってほしいとき連絡出来ないじゃん…。)
ええ〜…って、俺信用されてない?
もう、俺の歳でもスマホを持っている人が多く、多少の憧れはあったけど…
流石に…
「流石に、スマホは大丈夫…。」
すると、類さんは頬を膨らませた。
「だーめ!ショウにゃんは反省してないの?」
「いや、反省してないとかじゃなくて…」
「じゃあ、スマホ持って!僕、また今日みたいな日があったら…」
…類さんは泣くほど心配してくれてた。
確かに、そういう考えに至るのも仕方ない。だったら…
「わ、分かった!持つ!持つよ…」
類さんの顔がパアっと明るくなる。
「本当!?良かった〜!」
仕方なしにだけどな…。
あれ?そういや、尚くんもスマホ持ってたっけ…。友達だし、連絡先交換したいな…。
「ねえ、類さん」
「何?」
「俺の友達もスマホ持っててさ、連絡先交換したいんだけど、いい?」
「友達…?」
「え?う、うん。」
何だ?類さんのテンションが格段に下がったぞ?
「…駄目だよ…。」
「え?何で?」
「これは、僕とショウにゃんを繋ぐ物だよ?その中に関係ない人を入り込ませたくないよ…。」
「え…で、でも…。」
すると類さんは立ち上がり、そっと俺の肩を掴む。
「る、類さん…?」
「ショウにゃんはその子に気があるの?」
「は!?そんなんじゃねーよ!ただ、友達で!もし、またコスプレすることが…あ。」
あ、やべっ…。
「コスプレ…?」
どうした…俺…最近口を滑らせることが多いぞ…。
ってことより!
「ショウにゃん…コスプレしてるの…?その友達の前で…?」
「ち、違くて…!その友達がコスプレ用の衣装作ってて、俺手伝ってて…!」
「ショウにゃん」
「はいっ!」ビクッ
すると、何故か類さんは優しく微笑んだ。
「そういうことか…なら、仕方ないね。」
…ホッ…安心安心。
「でも…」
「え?」
「念の為、調べさせてもらってもいいかな…?」
え?