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お久しぶりです🥺🥺
やっと!やっと!3人目の叶編です…
どうやって書こうか悩みすぎて…
長い…けど皆さんが楽しんでくれているようで何よりなので、このまま定期的に出してゆきます!!
叶『』 葛葉【】
葛葉side
(何だ。何でいつも俺は…)
【叶を…】
ふと、声が漏れている事など気にならないくらい…
今の俺には叶を生き返らせる事は愚か、涙が出るのをこらえる事すらできない。
何で。と自問自答しても何も変わらないと分かっている、分かっているはず無のに。
二人目の叶を救えなかった瞬間から、
俺は現実逃避に走っていた。
数年後…
変わらない部屋、窓から差し込むは魔界の空と赤い光。
もう何年経ったのだろう?
最初の叶と合ってから、もう何十年と経っている。
でも、でもまだ、そこには諦められない自分が居た。
叶と過ごしていた時間がどれだけ充実していたのか、俺が知らない内に叶に少なからず救われていた自分が居た事は確かだった。
「パリッン!!」
朝の支度をするために、洗面台に向かった筈が、いつの間にか洗面台の鏡は真ん中から亀裂を作り割れていた。
鏡に添えていた自分の手からは赤く温かい血が流れている。
最近は自分の顔を見ることすら億劫だった…
何度生まれ変わっても俺を信じ、慰めてくれる叶を救えなかった自分自身なんて、見ることすら憎かった。
自分の手に滴る血の温かさは、あの時救えなかった叶の体から流れ出ていた物と同じだった。
こんな魔族の俺にも、人並みに血が流れているのだと、自分でこんな事をしておいて、自分で傷ついている俺も…
【気色が悪い…】
支度が終わり何時もの退屈な日々がまた始まってゆく。
ラグーザ家の仕事は俺には回ってこない。
何故なら俺は3人目だからだ。俺の上には2人の兄が居た。
当主の兄と、兄の手伝いで書類を片付けている二人目の兄だ。
仕事が回ってこない事にはこの上ないが、無かったら無かったで退屈なのだ。
暇を持て余した俺は、何を思ったのか人間界へと降りていた。
そんな俺でも心の中ではかすかに…
【(もしかしたら、またあの時のように叶が)】
分かっている。きっと俺はもう叶に会っては行けないとだと…
でも、この心の中の空白を埋める術はもう俺にはコレしか思いつかなかったのだ。
久しぶりに見た人間界の景色はガラリと変わり、人の装いも全く違っていた。
俺は人混みは苦手なので、通りから少し離れた小道に降り立った。
【(こんなにも人は変わるものなのか。)】
魔界では微かな流行りの変わり方は有るものの、こんなにも変わる事は少なかった。
ふと、隣の竹林に目をやると。
ガサガサと音を立てる何かが俺に向かって歩いてくる。
【????なんだ…?】
ガサッ!っと音を立てたそれは、俺には見慣れた動物だった…
【ロ…ロト…??】
そう、俺の前に現れた動物は俺が待ち望んでいた人間と共に過ごしていた猫だった。
主人の漢字を見立てて付けた名前は、俺の聞き馴染みのある声と共に俺の前へ現れたのだった。
遠くから彼奴に似た声が微かに聞こえる。
『おーい!ロト〜!!あまり遠くに行ってはいけないよ〜!!』
俺はその声に惹かれて猫を抱え茂みを通っていた。
「ガサガサッ」
ゆっくりと声の主を確かめるように歩き出す
茂みを抜け、ある屋敷の廊下にちょこんと座る男は…
【叶…??】
俺のそんな声が聞こえなかったのか、男は俺に駆け寄り礼を言う。
『ありがとう御座います!この子そんなに外へ出たがる子じゃ無いんですけど…今日は何だか僕がふすまを開けた瞬間に飛び出してしまって…猫とは気まぐれですね。』
俺の待ち望んでいた声。
落ち着いた低音で、耳障りのない優しい声色だった…
『あっ、ごめんなさい…僕ばかり。その装いは西洋の方でしょうか?日本語通じますでしょうか??取りあえず、ありがとう御座います。』
ニコリと微笑む男は、あの時のように暖かかった。
【通じる、日本語は分かる。俺は礼を言われる程の事はしていない。】
『!?そうでしたか。いえいえ、お礼を言わなければ。ロトは僕の家族ですから…』
彼奴に似た男を確認するように俺は聞く。
【お前、名前は?俺はアレクサン…いや、葛葉、葛葉と読んでくれ。俺の名前は葛葉だ。】
『僕は叶。叶わ無いと書いて叶です。よろしくお願いします、葛葉さん。』
あの時と一言一句違わぬ自己紹介を済ませた男は、確かにあの時と同じ…叶と言う人物だった…
コメント
4件
叶さんか、死ぬ度に目に水が、、、( ߹𖥦߹ ) 更新楽しみにしてます😊
なんでそんなの神作を書くのが上手いのかがめっちゃ気になるよ! 最高すぎる!!