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コメント
5件
思ったよりまともで草www
お〜いなぜアカウント名あだ名じゃない?
咲弥=わしの兄
かつて、この世界には一つの「絶対的なルール」があった。魔王を倒す勇者は、神から授かる「聖なる翼」で空を駆け、天から雷を落として悪を裁く。それが何百年と続く勝利の法則だった。
しかし、今代の勇者として選ばれた少年・レオンには、背中に翼がなかった。
「……また失敗か」
レオンは崖の上で、ボロボロになった自作の「凧」を見つめて呟いた。魔王軍が空から街を襲う中、彼は地を這うことしかできない。人々は彼を「飛べない勇者」と呼び、期待を捨てた。聖剣すら、空を飛べない主人の呼びかけには応えず、錆びついた鉄くずのように重いままだ。
そんなある日、レオンは街の端にあるガラクタ屋で、一人の偏屈な老技師と出会う。
「坊主、空を飛びたいなら神様に祈るのをやめな。あんなのはただの贅沢だ。俺たちは、この『泥臭い地面』を蹴って進むんだよ」
老人が差し出したのは、翼ではなく、何十ものバネと歯車で組み上げられた「鉄の靴」だった。
レオンは気づく。神から与えられた力がないのなら、人間が積み上げてきた知恵と、鍛え抜いた自分の足で戦えばいい。彼は聖剣を背中に括り付け、翼を持つ魔族たちを見上げた。
「僕は飛ばない。……跳ぶんだ」
次の襲撃の日、レオンは地面を爆発的な力で蹴った。翼で優雅に舞う魔将のさらに上へ、一瞬の「跳躍」で到達する。驚愕に目を見開く敵の懐で、彼は初めて聖剣を抜いた。
これは、空を諦めた少年が、誰よりも高く一瞬を駆け抜けるまでの物語。