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『変だね。いつもならもっとはっきり言うのに、今日はあんたらしくないじゃん。ゆっくりでいい。思ったことから話してみな?』
柔らかい口調が、私の心の隙間に入り込んで気持ちを落ち着けていく。
私は、すーっと大きく息を吸って、飲み込む。そして、吐き出すと同時に口を開いた。
今日あったことを、少しずつ。途切れ途切れになりながらも思い出す限り話す。
私が話している間、姫菜はずっと口を挟まなかった。
時々相づちを打ってくれ、その距離感が私には心地いい。
ようやく言葉がスムーズに出るようになった頃、話し終わる。
「……てことがあって。ていうか、そんなに怒ることないよね?女なんて嘘をつく生き物だって教えただけなのに。」
『………ふ…』
姫菜はしばらく無言になったあと、やがて小さな声が漏れた。
ふと疑問に思い、首を傾げた瞬間ーー
『ふふっ…あっははは…!!』
大きな笑い声が耳元で聞こえ、私は反射的に携帯を離す。
予想外の反応に呆気にとられながらも、真剣に話したのに失礼だな、とも思い再び携帯を耳に当てる。
これは文句を言わなきゃ気が済まなかった。
「姫菜…。笑うとかひどい。こっちはそれどころじゃないのに。」
『ご、ごめんごめんっ…くくくっ…』
口では謝っていても、やはり笑いが堪えきれていない姫菜。
普段クールな彼女がここまで笑うのは珍しい。
一体何がそんなに面白いんだろうか。
(相談相手…間違えた?)
後悔しかけた時、再び姫菜の声が聞こえた。