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雪綺羅の夢物語
第1話:森のゆるっと情報屋
「ん〜〜……今日も平和〜」
森の奥、小さな家の前。
少女はぐーっと背伸びをして、のんびり空を見上げた。
見た目はふわっとした雰囲気。
ちょっと眠そうで、ちょっとゆるい。
——でもその正体は。
(ま、前世で天使に殺されてるんだけどね〜)
なんてことを、心の中で軽く言うくらいには普通じゃない。
彼女は一度死んで、
神様にお願いして——350年かけてこの世界に戻ってきた。
しかも。
「名前も顔もそのままとか、神様サービス良くない?」
くすっと笑う。
ただし、ひとつだけルールがある。
——「前世のことは誰にも言っちゃダメ」
「いやまあ、バラしたら消されるとか怖すぎでしょ」
軽く言ってるけど、ちゃんと守ってる。えらい。
「さてと〜今日の依頼は〜……っと」
家の中に戻ると、机の上には紙がいっぱい。
・天使の出現場所
・執事たちの動き
・怪しい気配の記録
「いや〜情報って最高だよね〜。全部見える感じするし」
この少女、森で情報屋やってます。
しかも結構当たる。
なぜなら——
(全部知ってるからね〜前から)
執事たちのことも。
戦い方も。クセも。
「ほんとさ〜、相変わらず無茶するよね〜あの人たち」
窓の外、遠くの屋敷の方を見ながら、くすっと笑う。
本当は、会いに行きたい。
話したい。
でも——
「はいはい無理無理、契約あるもんね〜」
あっさり諦める。
……ふりをしてるだけで、ちょっとだけ寂しい。
その時。
空気が、ぴりっと変わった。
「あ、これ……」
少女は顔をしかめて外を見る。
「天使じゃーん。はいめんどくさ」
完全にテンション低い。
でも目はちゃんと鋭くなる。
(前と動き違うな〜……なんか変わってる?)
少しだけ真面目な顔。
——次の瞬間。
「……ま、いっか。あとでまとめよ」
秒で戻る。
コンコン。
「はーいどうぞ〜鍵空いてまーす」
ゆるすぎる対応。
扉が開いて、入ってきたのは——
執事の一人。
「いらっしゃいませ〜情報屋でーす」
にこっと笑う。
心臓はちょっとだけ速い。
(うわ〜変わってないな〜ほんと)
名前を呼びたい。
「久しぶり」って言いたい。
でも言えない。
だから代わりに——
「今日はどんな情報お探しですか?」
いつも通りの顔で。
知らないふりで。
「任せてくださいよ〜、だいたい何でも分かりますから♪」
——再会を、隠したまま。
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