「山はいい景色ですね。電車でもよく分かります。」
俺は渋沢さんと一緒に湯原温泉へ向かっている。
温泉ってこんな山道の奥にあるんだとびっくりしたけれども、三十世紀だから1時間でついた。
湯原温泉に着いてみると、すごくきれいだった。
渋沢さんも初めて来たみたいですごく楽しそうだった。
温泉に入ると、すごく気持ちが良くて1時間待った甲斐があったような気がした。
温泉で渋沢さんにトイのことを色々教えてもらった。
1つ目は知らない人の名前がトイには分かるということだ。
専門家の人に何か尋ねる時にいちいち名前を聞かなくても分かるように作られたシステムらしい。
もちろん悪用したらすぐにばれて、刑務所に5年、罰金約三十万円という罰を科されるらしい。
2つ目はトイの人ならある技術を覚えれば、トイの人の個人情報が分かってしまうということだ。
そのある技術は、北里さんと津田さん(?)、渋沢さん、あと数人使えるらしいけど名前を忘れたらしい。
技術は高度なもので、渋沢さんは5年10か月かけて覚えていたらしい。
3つ目はもともとトイだった人の子孫はトイになりやすいということだ。
実は俺のじいちゃんはトイだったらしい。だから、俺もすぐにトイになれたということらしかった。
渋沢さんと津田さんと北里さんは東京大学トイHチームに所属しているらしい。
東京大学トイHチームは、トイ全国大会準優勝。トイ世界大会では予選通過したが一回戦で負けて結局26位になったというすごい歴史があるチームだ、と渋沢さんは話していた。
渋沢さんは温泉マニアで、次は熊本県の黒川温泉に行くとか言っていた。
いろいろ教えてもらって、俺は心の中である決意が固まった。
俺は世界を探検して史上最高の経歴を持つトイになる。
翌日、渋沢さんと岡山駅でお別れをした。
新幹線に乗ると・・・
ん、toyバッジをつけている人がいる。
「あれ、北里さんが言っていた人はあの人じゃない?」
後ろには北里さんもいた。
「君が岡山まで行ってしまったと聞いて心配していたよ。びっくりして津田さんと向かいに行ったけど渋沢さんがいたことを忘れて岡山まで来ちゃった。」
津田さんは俺をまじまじと見つめていた。そして突然、
「ああ、思い出すわ。野口翔を。」
えっ津田さんって俺のじいちゃんを知っていたんだ。
俺は、津田さんたちと一緒に座席に乗って東京まで帰っていった。
こうして、岡山事件は終わったのだった・・・