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館長が口を開く 「明日は、この星のみなが休みだそうですね。なにか、嫌な予感がします。」
淡々とした口調で館長が話す。
「兄が、エンジニアの兄が政府から招集されたんです。その前に兄とこんな話をしたんです。数週間前に戦争の噂話があったのは館長もご存知だと思いますが。」
私の滅茶苦茶な話の順序、途切れ途切れの声、とても聞き苦しいはずなのに館長は静かに聞いてくれている。
「その噂の元が、兄の友人で、いや…兄の友人の母で、兄の友人が、ポコリンポス星に留学に行ったらしく、そこの星王が若く荒れていて、星の全体までもが荒れていて、この、ペペロン星を攻めるって言ったらしくて、そして、その話を家族が面白くなって、特にお母さんのほうがご近所の人に言ったらしくそれに付け足されたやつがどんどん大きくなって…」
私はいつの間にか息を切らしながら話していた。
「つまり、お兄さんのご友人が、ポコリンポス星から留学を終え帰ってきた際、ご家族に、ポコリンポス星が私たちの住むペペロン星に攻めようといていると言った話をした際、信じてもらえず、更にお母様がご近所の方に話してしまい、話題が話題だったために付け足され広まってしまった、と。」
館長が私の支離滅裂な話を簡潔かつわかりやすくまとめてくれた。
「そう、です。」
私は、なんだか情けなくなって、どうしようもない気持ちが込み上げてきて、涙が溢れそうだった。
「起こってしまったからには、どうしようもないね。」
「でも、兄が、エンジニアが、招集されたってことは。」
「そうだね、それはみんなが恐れていることの前触れかもしれない。明日がどうなることか…」
館長は何かを考えている様子で返事をする。
目の前にそっとハンカチが差し出され私は、自分が泣いていることに気がついた。
きっと、いや、私はこの不安と恐怖から涙が止まらなくなっていた。
その後、静まり返ったスタッフルームで館長は何も言わずただ私のそばにいてくれた。
他のスタッフが休憩時間の交代のためスタッフルームに入ってくる。
彼女は悪い噂こそ絶えない子だったが、彼女自身は決して悪い子ではなく、真面目なスタッフだった。
私と館長を交互見た後
「かんちょ〜女の子泣かせたらダメですよぉ〜」
と茶化すように言った後ドアを閉めた。気を使ってくれたのだろうか。
「ハンカチ洗って返します。お話、聞いてくれてありがとうございました。」
そう言いながら仕事に戻ろうとする。
「大丈夫だよ。明日何事もないといいね」
館長の優しい一言を背に、私はスタッフルームを後にした。