テラーノベル
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私は勝てない。
元は私の強さは誰も勝てない程強かった。
だが、今は妖夢や他の戦士に勝てなくなっている。
悔しい。辛い。弱い自分が憎い。
強くなっていくアイツらが憎い!
気付けば私は深い森に来ていた。
息が苦しい。心が壊れそうになる。
??? 「やぁ、幻獣王様」
私 「誰…だ…?」
闇 「私お前の闇そのものだよ」
私 「闇…?私…の…?」
闇 「そうだ。他の奴らが憎いんだろ?だったら力を貸してやる」
私 「力…それがあれば…勝てるのか…?」
闇 「あぁ、お前は悪くない。自身を強化させない者、自分より強くなる者…そんな奴は破壊すれば良いさ」
私 「そうだな…私が求めるのは力だけ…それ以外要らない!」
闇 「あはは!良いぞ!ほらよ」
手に持っているのは黒い球体。これで…私は勝てる。
闇 「これに触れれば、お前の愛の感情は消える。代わりに強大な力を手に入れる」
もうどうでも良い。愛があろうが私は力さえあれば良い。私は球体に触れた。
私 「あ…あ…うっ…」
痛い。苦しい。心が何かに染まって、人への想いが消えていく。
あはは…これで…勝てる…
バハムートが最近私達の前に現れない。
だが私は思う事があった。最近アイツは何かに執着している様に見える。
カオス 「何だ!?」
突然大きな音が聞こえた。
外を見れば、バハムートが立っていた。
ゼロムス 「バハムート!?何してるんだ?」
バハムート 「みぃつけた♪」
バハムートは不気味な笑みを浮かべたかと思えば、私に近づき剣を振り翳して来た。
私 「なっ!」
カオス 「お、おい!何してるんだよ!?」
バハムート 「ゾディアーク…私は強くなったんだ…さぁ!戦おう!」
バハムートの瞳に光は無く、黒く濁っている。
もう優しかったアイツは居ない。強さを追い求める幻獣に成り変わった。
バハムート 「ぐっ…ゲホッ!」
あれからずっと戦い続けている。バハムートは血を吐いても戦おうとする。
やめろ…お前が壊れるのは見たくないんだ。
バハムート 「うぅ…うぅ!要らない!全部要らない!力以外要らない!
何で…何でどいつもコイツも倒れないんだよ!!」
ギュッ
バハムート 「…!?」
私はバハムートを力いっぱい抱きしめる。
堪えていた涙が溢れた。
アイツの苦しそうな顔。泣いている顔が耐えられなくて、
私 「苦しかったな…辛かったんだよな…ごめんな…一人で悩ませて…抱え込んで…
今度は…ずっと側に居るよ…」
バハムート 「あっ…あっ…ゾディアーク…」
バハムートはそこで意識を失った。
バハムート 「ん…此処は…」
エクスデス 「目が覚めたか?」
バハムート 「エクスデス…」
バハムートは私達を傷付けたことを後悔し、心を閉ざした。
私 「バハムート…大丈夫か?」
バハムート 「…ごめんなさい…」
どんなに声を掛けても、反応してくれない。
ただ謝り続けるだけだった。
私 「バハムート…どうして、笑ってくれないんだ?私じゃ…ダメかな…? 私が…
側に居るのは…嫌か?ねぇ…お願いだから…また…笑ってよ…私…ずっと… 待ってるから…」
バハムート 「ゾディアーク…」
私 「え…」
バハムートは、優しい声で私の名前を呼んでくれた。
バハムート 「ちゃんと…聞こえてたよ…あり…がとう…でも私は…
生きてちゃいけないんだ」
バハムートは諦めた様な顔で私にそう言った。
私 「何言ってるんだ…!私が側に居る!あの時そう言っただろ!
約束した事を忘れたのか!?」
バハムート 「…!」
あれは、私がアルテマに愛や優しさの感情を植え付けられた後の事だった。
バハムート 「ゾディアーク」
私 「…何だ?」
バハムート 「…!珍しいな、お前が反応するなんて」
私 「別に…何でも良いだろ」
バハムート 「ふふふ、優しくなったな」
私 「そんな訳ないだろ」
バハムート 「良かった。これからは本音が言えそうだ」
私 「は?」
バハムート 「私は…心から信頼できる人間が欲しかったんだ。いつもそうだった、周りから嫌われ続けて来たから、誰かを信頼するのが怖かった。だから…ありがとう。
そのままの私で居させてくれて」
私 「…じゃあ…飽きるまで側に居てやるよ。約束だ」
バハムート 「…!あははは!ありがとう!」ニコッ
気付けば涙が溢れていた。
私 「約束…しただろ…馬鹿が…」
バハムート 「…ゾディアーク…ありがとう…思い出したよ。聞いても良いか?私…側に居て良いの?」
私 「あぁ!ずっと一緒だ!!」
私はバハムートを愛しているから、これからもずっと一緒に居る。
大好きだよ。何があっても、私は愛しているから。
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