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伊藤彩は、あの日を境に人生が変わった。
原宿で声をかけてきてくれたマネージャーに連れられ、小さな芸能事務所を訪れたとき、金髪の美少女社長は最初こそ少し意地悪な笑みを浮かべていた。
けれど、紐ビキニを着せてみた後の彩の恥ずかしがる様子や、歌声を聴いたときの真剣な瞳を見て、社長の態度は少しずつ軟化していった。
「……君、本当にアイドルになりたいの?」
社長はそう尋ね、彩が真っ直ぐに「なりたいです」と答えると、しばらく黙ってからこう言った。
「それじゃあ、まずグラビアから始めようか。身体を武器にするのも、一つの道だから」
彩はFカップのグラマラスな体型を少しコンプレックスに思っていたが、社長はそれを「魅力」だと断言した。こうして彩は、その事務所の所属となり、グラビアアイドルとしてデビューすることになる。
撮影は最初こそ緊張の連続だった。
さまざまな水着——白いフリルのビキニ、深い青のハイレグ、黒いストラップの大胆なもの——を次々と着せられ、カメラの前でポーズを取る。
最初は顔が真っ赤になっていた彩も、回数を重ねるうちに少しずつ慣れていった。社長は毎回現場に立ち会い、撮影の合間に優しく声をかけてくれた。
「もっと肩の力抜いて。彩の笑顔は、自然なのが一番可愛いから」
その言葉が、妙に嬉しかった。
半年が経った頃、社長が突然提案した。
「南の島でロケをしよう。二人きりで」
表向きはグラビアのロケだった。
けれど、二人だけの旅になることを、彩はどこか察していた。
南国の島は、青い海と白い砂浜が広がる美しい場所だった。到着したその日、二人はホテルの部屋で軽く休み、夕方近くになってビーチへ出た。
彩は白いクロシェのビキニ、社長は黒いシンプルなデザインの水着を着ていた。
金髪を結った社長の姿は、いつもスーツを着ているときとは違う、柔らかな印象を与えた。
波打ち際を並んで歩きながら、彩は勇気を出して聞いた。
「社長……私のこと、どう思ってるんですか?」
社長は足を止め、彩の方を向いた。夕陽が金髪をオレンジに染めている。
「名前で呼んで。『社長』はやめよう」
「怜美社長?」
「呼び捨てでもいいよ」
彩は顔を赤らめた。
「怜美さん、で……」
社長は小さく笑い、彩の手を取った。
「彩のことは、最初から気になってた。強引に引っ張ってきたのは悪かったと思ってる。でも、今はちゃんと……好きだよ」
その言葉に、胸の奥が熱くなった。彩は俯きながらも、小さく頷いた。
二人はそのまま浅瀬に入った。
腰まで水に浸かり、波が穏やかに身体を揺らす。
社長が彩の頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づける。唇が触れた瞬間、彩は目を閉じた。
最初はそっとしたキスが、次第に深くなっていく。舌が触れ合い、互いの呼吸が混ざる。
「ん……」
彩が小さく声を漏らすと、社長は優しく背中を抱いた。濡れた肌同士が密着し、Fカップの柔らかな感触が社長の胸に押し当てられる。
水の中で身体を寄せ合いながら、二人は何度もキスを重ねた。
波の音だけが聞こえ、社長が彩の耳元で囁いた。
「ここなら、誰も見てない」
彩は恥ずかしそうにしながらも、自ら社長の首に腕を回した。水着の隙間から肌が触れ合い、熱が伝わってくる。社長の手が彩の腰を抱き、ゆっくりと引き寄せる。水しぶきが上がり、二人の笑い声が小さく混じった。
その夜、ホテルの部屋に戻った二人は、まだ肌に残る塩の匂いをそのままに、ベッドの上で改めて抱き合った。今度は急がず、互いの身体を確かめるように。彩のピンクの長い髪がシーツに広がり、社長がそれを優しく撫でる。
「綺麗だよ、彩」
その言葉に、彩は本当の意味で安心した気がした。
グラビアアイドルとして歩み始めた道の先に、こんな関係が待っているとは思ってもみなかった。
けれど、悪くない。むしろ、とても嬉しい。
二人は恋人として、南の島の夜を静かに過ごした。
伊藤彩はその後、「南国の恋人」という曲を歌いCDを出した。あまりヒットしなかったが伊藤彩と美少女社長にとっては思い出深い曲になった。
めでたしめでたし。
コメント
1件
第45話読み終えたわ!彩がグラビアから始めて、社長との距離を縮めていく流れが自然だったな。南の島のロケで夕陽の下でキス、その後のホテル…って展開は王道だけど「ここなら誰も見てない」って台詞はちょっとエモかった。「南国の恋人」って曲がヒットしなかったってオチも、まあそういうこともあるよなって思えたし。二人の恋が成就して何より。次はもっと日常のラブラブシーンも見たいな!
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