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🖤「あのー、俺なんかしました?」
事務所の人通りが少ない裏廊下。大体、そこに呼び出される理由は把握しているつもりだ。
入所した時から、それは変わらなかった。目をつけられたのは、運悪く 事務所内でもトップの実力を誇る売れだしグループの1人だった。ジュニアが口を出したところで、状況は変わる所か、悪化する一方、他人事のように淡々と過ぎる地獄の日々を乗り切ってきたが、今日は一味違うようだった。
🖤「ちょっ、は?やめ、やめてください!」
ひとりの大柄男を羽交い締めにするように 数人のジュニアと名もそこそこ知れる先輩らに手足を拘束され、必死の覚悟で藻掻くも鳩尾に力強い一撃が繰り広げられるだけだった。
次第に視界が狭まると同時に、遠くの方から幻聴が聞こえ始めた。数人の怒鳴り声と慌て出す先輩たちの声。解放された身体は、力なく地面に倒れ込むようにして顔から一直線に落ちていく寸前に、
💙「おまえ、大丈夫か?」
🖤「んっ、あれ、 俺いつの間にか寝てた?」
小窓から覗く、夕焼け空と遠くから聞こえてくるお昼のチャイム。それと同時に室内に鳴り響くアラーム音が時刻を知らせる。自身の胸元にすっぽりと収まる ミニサイズの愛しき彼。ふわふわで俺の理想の抱き枕そのもの。
🖤「、ほんとあの頃から変わってませんね」
好きになるきっかけは単純。思春期真っ最中だった俺には理解不能な単語のひとつでしかなかった。
耳をつんざくようなアラーム音が鳴り響く携帯を止め、彼の頬へと手を伸ばす。無防備にも微かに開きかけの口元に、そっと 唇を重ね合わせた。苺のように甘く、何処か甘酸っぱいそんなお味。