たつるな
少ないので自給自足
るなさんマジかわいい好き
「メイド服着てみた」
・同棲済
⚡さんside
朝。枕元で響く目覚まし時計の音に反応して意識が浮上してくる。やけに音デカいな。
てかうるせぇ。なんで頭の真横にあんねん。鼓膜にダイレクトに響くんやけど。
うるさい機械をボタンを押して一蹴しベッドから降りる。
ふあ〜あ、ねみぃ。
寝ぼけ眼を擦りながら自室から出てリビングのドアを開ける。
と、目に飛び込んできたのはキラッキラの飾り。ほらあれ、よくパーティーするときに飾るごわごわの(?)紐みたいなやつ。
それからパンッとなにかが弾けるような音。なんだ、銃声か?(?)
とにかく目覚ましからのデカ音ラッシュで目が覚めてきたような気がする。
いやいや、なんやねんこの部屋。俺ん家のリビングってこんなんやったっけ。呆然と天井を見上げてる俺。少し…いや、結構間抜けじゃね。
てか、流石の俺でもこんなハデハデなのは趣味やない。
ってことは…
視線を落としたらそこには案の定。
「たっつんさん!」
「はぁ、やっぱりるなやん、か…」
恋人兼グループ内のメンバーであるるなを認識して数秒。見事に先程のアホ面に戻った。
空色の淡くて綺麗な髪は緩く巻かれてまとめ上げられている。柔い肌にはいつもより多めのチークが乗っていて今日は少しギャル風味のメイク。これも似合う。かわいい。
ここまでは、ここまではいい。イメチェンぽくていい感じだし。
でも、服装がおかしい。
「あの、るな…?」
「はい!」
あらいい返事。…ってそんな事はどうでもいいんよ。
「ドッキリ…やないやんな?」
「?はい!」
一瞬不思議そうな顔をして、元気に返事をするるなに少し頭痛がする。少しため息を吐いてから質問をする。
「じゃあ、なんでメイド服なんて着てるん?」
「え?ああ、これですか」
自分の服装を見下ろしてからくるっと一回転するるな。ふわりと短いスカートが広がる。危ないって。
エプロンが乗ったスカートの裾を持ち上げ腰をかがめながら上目遣いで微笑む。
「かわいいですか?」
真っ青な瞳に射抜かれグッと息が詰まる。
「いや…まあ、似合ってるけども」
「そうですか、良かったです!では、こちらに座ってください!」
いやいや待て待て。なんでそれを着てるんって話やったろ。そんな純粋な目をしてソファ指さないで。
「あ、そうでしたそうでした」
「っもー…ま、一旦座るけど。…で?誰の入れ知恵なん?」
「シヴァさんです!」
「っあー、そうよな、うん」
だいたい予想ついてた。こういう事言いそうなのあの人しかおらんもん。
「男の人はこういうのを着ておもてなしすれば喜ぶって聞いたので!」
「買っちゃいました!!」
…頭が痛い。なんでそう…素直に言う事聞いちゃうんかなあこの子は。いやまあ、そこが好きで付き合ったけども。
額を抑えて黙り込む俺にるなが横から爆弾を投下した。
「あれ、あんまり好みじゃなかったですか…?みんなに確認してもらったから変ではないと思うんですけど…」
…………
「は?」
いやいやいやいや。なんか聞き捨てならないことが聞こえてきた気がするねんけど。
「え、待ってるな。みんなって誰?」
「からぴちの、みんなですよ?のあさんと、えとちゃんと、じゃぱぱさんと…」
いやいや、普通仮にも彼氏の前に他のヤツに見せる?普通。
のあさんえとさんはまだいいけど他の男に見せる?メイド服を?俺より先に???
駄目やこの人。分かっちゃいたけどマジで危機感の欠片もねえ。
「ね、るな」
「はい?」
横に座っているるなの肩を掴んで顔を覗き込む。穢れを知らなさそうなおっとりとした表情に少し強めに注意する。
「こういうのは、俺以外の男に簡単に見せたらあかん。彼氏の特権とかにしてほしい」
「え、でも…たっつんさんに変なカッコしてるの見られたくない…ちゃんと準備して完璧の状態みてほしいなって…」
なんて健気なの!?この子!!!!俺のちょっとした独占欲が恥ずかしく思えてくるんやけど!?
眉を寄せて悲しげな表情をするのヤメテ!?罪悪感湧いてくるから!!
…もうやだ、俺泣きたい。
「俺は、どんなるなでも可愛いし好きだから。な?頼むわ。俺より先に他の男の目に入ってるって思うと嫉妬で死にそう」
ちょっとストレートに伝えすぎたかもしれへん。小っ恥ずかしいわ。でも、これくらい言わないと理解してもらえへん。
俺らしかぬ真剣な声で伝えると、るなはぱちぱちと瞬きをして。普段より目立つ頬のピンクが朱に染まった。
瞳が戸惑ったように左右に動く。分かりやすく照れている彼女に愛しさを感じながらお得意のニヤリ顔をする。眼の前のるなの顔がなにかを察したのか少し引きつった。
すっとその場から離れようとする所作を見逃さずに手首を掴んでソファに戻すと諦めたように小さく息を吐く。
「今のるなはメイドさんやんな?」
「…そう、ですね。ハイ」
「んじゃ、メイド喫茶あるあるの美味しくなるおまじないかけてもらおか」
キッチンカウンターの上に置いてあるオムライスを指差すとなんで、という顔をして俺の顔を見つめる。 ほんまに分かりやすいやつやな。
「最初に部屋に入った時から見えてたわ」
「まじですか…」
「はー、楽しみやなぁ、るなメイドの萌え萌えきゅん」
「いや、あの…そういうのは恥ずかしいというか…」
「ん?ここはメイド喫茶なんやろ?しっかりせえへんと。な、店員さん?」
俺の今の顔は見なくてもわかる。絶対意地悪そうな顔しとる。
「…なんてことしてくれたんですかぁ…シヴァさん…」
「止めなかったメンバーもほんま、ノリが良くて最高やわー」
「たっつんさん!!」
「っはは、すまんな」
ぷくっと頬を膨らませて睨まれるが全然怖くない。
「んじゃ、どーぞ」
「…そっ、そこまで言うなら仕方ないですね!たっつんさんにそういう趣味があるんですもんね!かわいそうなのでるながやってあげます!」
そこまで一息に言い切って少々の焦りが混じった煽り顔を向けてくるるな。ほーん。
「いい度胸やな。俺はるなのしか興味あらへんで」
「んぇっ」
「っふwほんまおもろいな」
赤くなった顔をパタパタと仰いでから、急に真剣な顔になってオムライスを取って戻って来る。
「はぁい♡おまたせしましたぁ!るな特製の萌え萌え?オムライスです♡」
恥ずかしさが抜けていないのか少しばかり紅潮した頬にあざとい笑みを浮かべ、何トーンか高くなった声で全力でかわいこぶっているるな。
「思ったより破壊力強いかもしれへん」
正直めちゃくちゃ良い。
「あぇ?…えー、では!美味しいオムライスを更に美味しくする魔法をかけます!」
覚悟を決めたようにすぅっと息を吸って…
「美味しくなあれ!萌え萌えきゅん♡」
手でハートを作った状態のまま固まるるな。
「るな、かわい…」
「うわあああああ!!!!!」
「おうぇっっっっっ!?」
なんやねん!?びっっっっっくりしたわ!!
驚いている間にソファに丸く突っ伏して体を揺らしている。髪から覗く耳は真っ赤だ。
「ほんとにっっっっっ!!!やばいですぅううう!!!」
「ちょっとるな声デカいわ!!!!近所迷惑!!!!!!」
「たっつんさんに言われたくないです!!!!」
リビングに響く二人の大声。
今日も家は騒がしい。
コメント
1件
えやばいやばいやばい… やっぱたつるなも良すぎる…!!!たっつんがからかってたり嫉妬魔なのも良き!👍