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じゃぱるな
テストで学年1位ってすごいですよね。
明るくて、勉強頑張ってて、家事などもこなすって、普段はからぴちのかわいい妹ポジションだけど、本当はとってもしっかりしてると思うんです。すごい努力家なんだろうって思います。
「じゃぱぱさん!!」
「うわっ、びっくりした」
携帯から飛び出してくるるなの大声に驚いて耳元から遠ざけると、小さく笑い声が聞こえた。
端末に耳を当て直す。
「え、へへ。すみません…」
「ううん、大丈夫。それよりどしたの?」
「あ、そこまでたいしたことでは無いんですけど…」
「うそだ。めちゃめちゃ声うきうきしてるよ」
「えっ。そんなに分かりやすいですか?」
「うん。声のトーン上がってるもん」
まじですか、というるなの若干落ち込んだような声に笑みが浮かぶ。
誰だって大切な人が嬉しそうなら嬉しい。
「それで?なにがあったの?」
「心して聞いて下さいね?」
なんと…というアオリに俺も少しドキドキしながら待つ。一瞬の静寂が降り、るなの息を吸う音が聞こえて。
「るな、この前の中間テストで総合1位取りました!」
「…ええ!?すごっ!?」
「でしょ〜?」
多分、今はドヤ顔をしていると思う。るなはいつだって明るくて弱いところを見せない。
その裏にはどれだけの努力が隠されているのか。俺がそれを知る術はないけれど。
今の俺から出るせいいっぱいの温かい言葉を送りたい。
「めっちゃ頑張ったでしょ。お疲れ様。おめでとう」
「へへ、ありがとうございます」
はにかんだような少し照れているような声に心が温まるのを感じながら、るなが1位か、と余韻に浸る。
と、あの、と今度は申し訳無さそうな声が聞こえてきて、意識をそちらに寄せた。
「その…これだけなんです。電話したの」
「あぁ、そうだったんだ」
「すみません。編集とかで忙しいはずなのに」
そんなの気にしなくていいのに。
「いや、いいよそんなの」
「でも、じゃぱぱさんはリーダーで、いろんな仕事もあるだろうから。」
「本当は電話をかけようとは考えていなかったんです。でも、結果が結果だけに誰かに言いたくなっちゃって」
ああ、だからこんな時間。昼休み頃なのかな。
「それで、言うならじゃぱぱさんかなあって。何も考えずにかけてしまいました」
だから、すみません。
耳に響くるなの謝罪の言葉。きっと、俺を気遣ってくれているんだと思う。優しいから。
でも、それは。
「るな」
「っはい」
体を震わせたのか画面の奥から小さく物音が聞こえる。
「それはちょっっっと不服なんだけどー?」
おどけたように声を出すと、呆けたような声が小さく聞こえた。
「まあ?一番にこの俺を選んで伝えてくれたのは嬉しいけど?」
「ええっと」
「俺が迷惑だとか、謝ってほしいなんてまっっっっったく思ってないから!」
「そう、ですか?でも」
「でもじゃない」
「う…」
ね、るな。俺はさ。
「俺は、るなが嬉しそうでめちゃくちゃ嬉しいんだよ?テスト一番って幸せな気分だったのにるなが謝ってくるから〜」
「えっ…すみません」
慌てたようにまた謝ってくるるなを静止する。
「だから、るなが伝えたいって思ったら真っ先に連絡してよ。嬉しいから」
「…はい。ありがとうございます」
また、静寂が訪れる。分かってくれたかな、と少し息をついてから俺から声を出す。
「じゃあ、そろそろ切ろうか。お弁当食べる時間必要でしょ」
「あ、はい…その、じゃぱぱさん」
「うん?」
「ありがとうございました。実は、もし一番を取れたら、お母さんよりも、友達よりも真っ先に伝えたいと思っていたのはじゃぱぱさんなんです」
「え」
それって。
「だって、じゃぱぱさんは、誰がどんな事を言っても一緒になって喜んでくれるから。これでも、いっぱい助かってるんですよ?」
ふわっとした穏やかな声で伝えてくれている顔は今、どんなものだろう。
「今回も、るなのほしい言葉を沢山もらいました。嬉しいんです」
でも、よかった。
「本当にありがとうございます。また、次も頑張ろうって思いました」
だって。
「もし、また次。また良い結果を出せたら連絡するので、そのときはいっぱい褒めてください」
「…うん。もちろん」
「ありがとうございます。では、お疲れ様です」
「っはー…それはずるいだろ…」
この顔は、見せられないから。
#うり
コメント
1件
かふさんの小説言葉選びとかめちゃめちゃ好きかもです…!これからも楽しみにしてます!