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夫とだけはしたくありません

34 - 第34話 母の気持ち

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2024年11月15日

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「ただいま」


「おかえりなさい、雅史さん、お邪魔してますよ」


「え、あ、いらしてたんですか?」


慌てたような雅史の声が聞こえてきた。


「突然ごめんなさいね。杏奈と話したいことがあってね。明後日土曜日の朝には帰るから」


「杏奈とですか?」


_____あ、もしかして浮気のことで私がお母さんを呼んだと思ってるのかも?


焦ったような雅史の声で、勝手に想像する。


「ちゃんとしたら、雅史さんにも話すわね」


「お帰りなさい、ご飯できてるから、先にお風呂入って」


わざと、なんの話のために母が来たのか説明せずに、いつもの会話をする。


「あー、わかった。圭太も入れようか?」


いつもはめんどくさがる圭太のお風呂を自分から言い出すのは、多少でも後ろめたいからだろうか?


それでも今はまだ、そのことには触れずにおくことにした。


「ありがとう、お願いね」


ホッとしたように、圭太を連れてお風呂に向かった。


「雅史さんは子煩悩みたいね」


「圭太のことは好きみたいだよ」


「え?」


「あ、なんていうか自分の子どもは好きって意味。よその子にはあんまり優しくないかも?」


思わず、“私のことは好きじゃないみたい”と言いそうになってごまかした。



4人で晩ごはんを食べていつもの団欒で過ごし、私はリビングに布団を敷いて母と二人で寝ることにした。


その間も、誰のスマホにも父からの連絡はなかった。


「ね、お母さん、明日、お父さんのところに行ってみるね」


「いいわよ、何も言ってこないことが答えなんだから」


「プライドが邪魔してるだけかもしれないし、念のためお父さんの気持ちも聞いておきたいから、一人娘として」


「ふぅ…。そうね、一人娘だもんね、お父さんにとっても。じゃ、行ってらっしゃい」


「圭太は見ててくれる?」


「もちろんよ」


父と母が離婚して別々に暮らし始めるかもしれない、そう考えたら寂しくなった。


私は大人なのにこんな気持ちになる、ということは圭太だったら?


圭太にそんな思いはさせられない、と思う母親としての私がいた。


晩ご飯を食べて片付けて、何事もなかったように過ごす。


母から、父とその相手との関係を聞かされて、ずっと考えていた。


“ 「私のことを、家政婦くらいにしか思ってなかったってことでしょ?気持ちはずっと別の女にあったんだとわかったら、虫唾が走るくらい嫌だと思った。もう顔も見たくない」”


そう言っていた母。


何年も信じて一緒に暮らしてきた人(父)が、ずっと自分とは違う人を見ていたということ。


_____ん?私が結婚して家を出る前から、そんなことがあったということ?


私は当時、自分のことばかり考えていて、そんなことなんか予想もしていなかった。


当時だけじゃない、ずっとだ。


_____もしも私がお母さんの立場だったら?


圭太と遊ぶ雅史を見て、考える。


_____体はここにあるのに、気持ちはずっと誰かを思ってる?私は子どもも育てる家政婦?



「うわ、気持ち悪い!」


想像での反応が、思わず言葉に出てしまった。


「なんだよ、俺の顔じっと見てさ」


「あ、ごめんごめん、その、圭太が持ってるおもちゃの虫が、やけにリアルだったから」


なんて言い訳をする。


「これか?ほら!」


ふざけた雅史が私にそのおもちゃを投げてきた。


「きゃっ!いや、だから、気持ち悪いって」


「おかーたん、これいや?」


バッタのおもちゃ、そんなに気持ち悪いわけじゃないんだけど。


「杏奈は昔からそういう昆虫が苦手よね?圭太ちゃんは男の子だから強いのね」


私たち3人のやり取りを、微笑ましく見ている母。


_____お母さん、もしかしたら私も同じことになるかも……



体だけの関係の方が……たとえばそれがそういう風俗のお店だったりしたら、気持ちが楽な気がする。


《ご主人、お借りしてまーす》


雅史の気持ちも、あんな写真を送りつけてきた京香の気持ちもわからない。


雅史の気持ちがどこにあるのか、私にとってはそれが一番大事なことのようだ。


土曜日、佐々木夫婦が来たらしっかりと確かめる。









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