右京の頬を、また一粒、涙が伝った。 それでも、彼は逃げなかった。
震える体を龍水に預けて、くったりと背を反らしながら、息を詰めている。
「……ぁ……ん、ふ……ぅ……」
声は、か細く甘い。
最初の緊張も、痛みも、どこかに消えて、
ただただ龍水の動きに、心も身体も揺らされていた。
その姿が――
あまりにも、あまりにも可愛くて。
「……右京……」
名前を呼んでも、右京は目を伏せたまま。
赤くなった瞼の下で、まつ毛が濡れて揺れている。
「……可愛すぎるだろ……貴様……」
思わずこぼれた声に、右京が少しだけこちらを見た。
その目も、少し潤んでいて――
もうだめだ、と思った。
胸の奥が、ぶわっと熱くなる。
我慢していたものが、一気に崩れそうになる。
そして、龍水はぎゅうっと右京を抱きしめた。
深く、熱く、まるで、彼をこの胸に閉じ込めるように。
「……可愛すぎて……俺を殺す気か……右京……っ」
「……え……?」
右京がきょとんと顔を上げる。
その瞳の、何気ない仕草すらも愛おしいと思ってしまって。
「……もう……無理だ」
抱きしめたまま、龍水は腰を深く沈めた。
右京の中に、じわりと熱が広がって――
「あっ……や……ぅ、んっ……!」
「すまない……右京、もう……ダメだ……!」
囁くような声と同時に、龍水の体が強く震える。
奥まで埋めたまま、右京の中で、ゆっくりと達した。
息が重なり合って、
互いの鼓動が、肌越しに伝わってくる。
しばらくの間、二人とも何も言えず、ただ抱き合っていた。
右京の涙は、まだ少しだけ、頬に残っていたけれど――
「……君、すごい顔してたよ……」
「貴様もな……」
二人は顔を見合わせて、ふっと、笑った。
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