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しんと静まり返った部屋。 さっきまでお互いの名前を必死に呼んでいたとは思えないほど、静かな時間。


 ベッドの上、右京は龍水の腕の中でぼんやりしていた。

 髪は少し乱れて、白い首元にはうっすらと赤くなった跡。

 顔もまだほんのり赤いままで、涙の名残がまつ毛にくっついている。


 そんな右京が、急に小さな声で、ぽつりと口を開いた。


「……君……」


「ん?」


「……中に、出したでしょ……」


 その瞬間、龍水の体がぴくりと固まる。


「……ああ……すまん……っ。でも、お前が可愛すぎて……」


「ちが……そういうことじゃなくて……っ」


 右京はむくれて、ぷいっと顔を背けた。

 でも、耳まで真っ赤なのは隠せていない。


「……初めてだったのに、君……あんなに……」


 そこまで言って、言葉を飲み込む。

 きゅっとシーツを握りしめて、震える声で続けた。


「……僕、変な声出したし……泣いちゃったのに……っ……」


「泣いたのも、変な声も、全部……可愛かった」


「~~~~っ!」


 右京の顔が真っ赤になった。


「っ、ばか……ばか……君のばか……!」


 涙で潤んだ瞳をにらみつけてくる。

 でも、怒ってる顔が全然怖くない。

 むしろ、それすら愛しすぎて、龍水はそっと右京の頬に触れた。


「なあ、怒るなよ。可愛すぎて、反則だっただけだ」


「……っ、ぜんぶ君のせいなんだから……」


 右京はしゅんとした声で呟き、龍水の胸に額を押し付ける。


「……責任、とってよね……」


「……とるさ。何度でも、とる」


 やわらかく髪を撫でながら、

 龍水はそっと右京の額にキスを落とした。


 右京の怒った顔は、どんどん甘えてくる顔に変わっていって――

 それを見ながら、龍水は胸の奥からため息のような愛しさをこぼした。

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