※黒尾鉄朗 将来軸
「 黒尾くん、スペシャルマッチ。話通りそうだってさ。 」
「 マジですか?!よかったぁ…いやぁ、ほんと叶さんには感謝しかないです 」
「 いやいや、そんな。俺的には企画部もびっくりな企画案出してくる黒尾君の方が凄いと思うよ。きっと今の現役選手の近くでやってきたからこそのものだね 」
「 そんなことないですよ。人脈はあっても上に取り付けれるかは別なので… 」
「 人脈があるっていいことだよ…もう俺なんか人脈はさっぱりで… 」
叶さんは、あははっと笑う。
「 いやぁ…もうとりあえず一安心です。あ、あともう一つ企画考えてて…聞いてもらえますか? 」
「 ふふっ、もちろんだよ。じゃあ今日は飲みに行こうか 」
「 叶さん酔い潰れないでくださいね~息子さんもいるのに… 」
そして俺は話を始める。
「 今の小学生や中学生。もちろん全世代の人にバレーを楽しんでもらいたいです。それにはやっぱりまずバレーボールに触れてもらう事が最優先事項です。 」
「 …そうだね。バレーボールを知ってもらうのが僕達の仕事だもんね 」
「 俺は日々、ネットを下げるべくガンバッテます。 」
そして真剣に俺は叶さんの目を見る。
「 次世代にバレーを繋ぐために俺はここに来ました。なので俺はこういうものを考えました 」
そして俺は書類を机に置いた。
その内容をビックリするくらい簡単に言うと「現役選手とバレーをしてみよう」。
もちろん小学生向けのものや中学生向けも開催したい。
だが何を今一番したいかというと、高校生へのアプローチだ。
高校生の俺は何度もプロにバレーを教わりたいと願った。
それが叶ったら。
もしそれをモチベに頑張れたら。
インハイ、春高。
他にも高校バレーに大きく影響するだろう。
なにより「イイ選手」が生まれる。
それを俺は提案した。
その書類を見た叶さんは少し笑って言った。
「 黒尾くん、昨日僕の家居たでしょ? 」
「 は、はぁ?!居る訳ないじゃないですか。今や2週間ホテル暮らしですよ 」
「 あぁ、びっくりした。いやね、丁度昨日、息子がプロの映像見て一緒にバレーしたいー教わりたいーって言ってたんだよね 」
「 お、やはり現役高校生からも! 」
「 僕は大賛成だよ。丁度インハイ終われば夏合宿入る高校多いだろうしどこかで試してみるのもいいかもね 」
そして叶さんは言った。
「 なんせ広報ってそれくらいなら僕がお偉いさんに上手く伝えれば実行できるくらいの権力と財力はあるからね 」
叶さんの頼もしさと言ったら俺なんか比にならない。
「 よーし。明日絶対実行許可貰うぞ~!!今日は飲む!!黒尾くんも僕の奢りだからじゃんじゃん食べちゃって! 」
って案の定叶さんは酔いが回りもう立つのがやっと…
「 叶さーん。お家この近くですよね。俺送って行くんでもうちょい頑張ってくださいねー? 」
「 あ、え、う、うーん。黒尾くんもありがとうねぇ 」
「 いえいえ… 」
「 って…あ、父さん!!酔い潰れてる!! 」
すると明るい髪を揺らした緑の目の少年が声をかけた。
「 お、桜芽じゃぁーん。やっほぉ~ロードワーク中? 」
「 忘れ物取りに行くんだよ…もうお酒弱いの自覚してってば…あ、俺の父がすんません…!! 」
「 あぁ、いえいえ。 」
「 俺、背負っていくんで…!! 」
「 いやいや、送って行くよ。君だけじゃ無理だと思うし… 」
「 そうだよ、桜芽ぁ。黒尾くんは元々バレーしてて体力もあるんだからぁ 」
「 え、そうなんですか?! 」
「 まぁ、一応ね。 」
「 おぉすげぇ…!!宮城の人…なんですか? 」
「 東京東京。音駒ってとこなんだけど… 」
「 音駒…?! 」
「 あ、そういや桜芽合宿の最後試合するって言ってたねぇ…あ、黒尾くん桜芽はねぇ、烏野高校なんだよぉ 」
「 うん…レシーブすごかった… 」
まだ繋ぐバレーが受け継がれてるのか…嬉しいなぁ。
しかもこの桜芽くんは烏野…運命かなんかか?笑
なんて思ってると叶さんの家に着いた。
「 本当にありがとうございました、とっても助かりました…! 」
「 いえいえ~お父さんにお水飲ませてしっかり寝させてね~ 」
「 はい!ほんと夜まで有難う御座いました!! 」
「 いえいえ、こちらこそ~桜芽くんこそしっかり寝てね~ 」
「 はい!!あの…俺絶対全国行って有名になってすごい選手になるんで!! 」
そういう桜芽くんの目には闘志というか…強い意思を感じた。
「 ん、じゃあ叶桜芽って名前。しっかり覚えておく。 」
「 あざっす!! 」
また小さな巨人がまた育ってきてんだな…
俺は少し上機嫌でホテルに帰った。
「 もしもし~黒尾さーん。 」
「 はーい。黒尾鉄朗でーす。 」
「 それは知ってますよ。てかこんな時間にすんません… 」
「 良いって良いって。それに電話かけてくるなんてめずらしい。仕事は1人でがモットーの豊岡漱なのに… 」
「 いや、俺そんなの行ったことないんすけど… 」
「 もう…ノってきてよ。まあいいや。どうした? 」
「 いや、あのこの前言ってたスペシャルマッチ。話通りそうですよ。実行部に話しつけてきました。 」
「 もう豊岡君最高。大好き。 」
「 あとは選手層なんですけど、行けそうな感じの選手リストにして送っといたんでまた見といてください。黒尾さんの人脈なら余裕っすよ 」
「 仕事早すぎでしょ…一応叶さんにも話つけたか。めちゃくちゃ乗り気だったわ 」
「 さすが黒尾さん。まぁまたなんかあったら報告します。 」
「 はぁーい。ありがとー 」
そう言って電話を切る。
俺より一個下の豊岡漱くん。
元々大阪でバレーしてたらしくてその豊岡君の親友が今の研磨のマネージャー…
「 いやぁ、繋がってるねぇ 」
今日はめずらしくしっかり眠れた気がする。
コメント
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豊岡君って燕帝山高校の豊岡漱なんですよね。 広報部に行ってるなんて…